権力欲の巣窟で育む愛とは
イングランド王国の覇権を争う薔薇戦争。両性具有で産まれたヨーク家の三男・リチャードが王位を目指す物語だがそこには、執着から起こる裏切りに次ぐ裏切りがこれでもかと詰め込まれ、恐ろしい。 男も女も欲に狂ってゆく。権力に連なる欲の形は様々だが、狂ってゆく表情は歪み、神や悪魔といった文言と相まって恐怖を増す。 リチャードは母に蔑まれ、自分の体を愛せず、誰も寄せ付けない。ついに女性を信じられなかった彼は、男性と様々に親愛の情を交わす。 その交わす情も、父への過剰な親愛、年上の友と穏やかに育む性無き愛、そして身を焦がす様な体も心も許す愛と様々だが、それはほんの僅かな夢の時。 彼の結末は、史実通りならあまりにも悲劇的で切ない。産まれて来ただけで悪魔と罵られた彼の幸福は、果たしてどこにあったのだろうか……。
男女どちらともなりきれない性を持つ主人公。
中世、人と違うことは悪魔憑きとされてしまうところで明かせない身体をどこまで守ることができるのだろう。
時にたくましく、時に艶めかしく見える姿は男女ともに魅了されてしまう。
戦いの中に身を置くが、自分を愛せない主人公にに心の平穏はあるのだろうか
シェイクスピアの原作は読んだことないけれど、話の展開が面白く繰り返し読んでおります。