コロナへの怒りを原動力ににコメントする
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GOAT HEAD

アフターコロナのウイルス駆除バディアクション

GOAT HEAD 安堂維子里
兎来栄寿
兎来栄寿

コロナ禍になり、世界中の人々が外出する際にはマスクを着用するようになると、マンガの中でマスクをしていない姿が非現実性を際立たせる要素になってしまうのではないかという話もありました。 『バタフライ・ストレージ』安堂維子里さんの最新作であるこの『GOAT HEAD』では、現実と同様にウイルスに脅かされた人々が外では常識的にマスクをする世界が描かれます。 ただし、この世界のウイルスは現実のコロナよりも凶暴で、物理的に巨大化して襲ってきて命を脅かしてきます。 そんな未知の「ゴートウイルス」に組の親兄弟を殺されたヤクザの九頭(くず)が、復讐のため民間初のゴートウイルス退治会社を立ち上げて対峙していく物語です。 喧嘩が得意な九頭と、その舎弟で口が回り詐欺が得意な五味(ごみ)。得意分野を生かして、元ヤクザであることは巧妙に隠しつつ新たなシノギに取り組む彼ら二人の「ゴミクズ」コンビがまず良い味を出しています。 そこに、厚生省ゴート対策課の隊長であり家族をゴートに殺された美人の吉月も加わって凸凹なキャラクター関係が楽しめます。 「密」という言葉が常用されていたり、交通機関でソーシャルディスタンスを空けるようにしたり、またウイルス検査をしていても陽性者が出てしまう様子や、陰性者であっても都会から来た人に厳しい田舎の感じなどは現実と地続きです。 一方で、「非接触握手」という新習慣や、ゴート専用採集キットがフリマサイトで闇取引されている様子などは、現実にはなくとも非常に有り得そうと思えるリアルさがあります。 シリアスなメインストーリーがありながら、各話のラストでは思わず笑ってしまうような勢いの良さも。ゴートウイルスとのバトルシーンのアクションは前作に引き続き派手で気持ちよく、深刻になりすぎず楽しい読後感が残ります。 喧嘩で手榴弾からロケットランチャーまで出てきてしまう「(ピー)」の治安の悪さも好きです。

BLUE GIANT SUPREME

ジャズは深くて難しくてカッコいい

BLUE GIANT SUPREME
さいろく
さいろく

まず主人公のダイはすごくすごく熱がある。 周りのメンバーもそれぞれ真っ直ぐで、熱量が高い。 で、出会うその他のジャズやる人達も同様に熱い。 向き先は少し違えども、ジャズに対する熱量の高い人達を描いているんだけど、やり続けるとどういう葛藤があるのか想像もつかない。 ※もちろんコレだけが正解じゃないし特殊なんだけど 前作「ブルージャイアント」で感動と、落胆に近い憤りとを感じた人がほとんどだと思う。シュプリームではさすがに同じことにはならないと信じたい(今でもアレは本当にハッキリ憶えてるぐらいツラく、「ふざけんなーー」と口に出たぐらい熱中というか没入していた) 前作からそうだけど、途中途中で後にダイのことを語る人々(恐らくインタビューを受けている)が出てくる。 そこからは当然、未来がある程度想像できるワードがいくつも含まれており、それを踏まえて読む事でまた口角が上がってしまうのを抑えきれずに先を楽しみにして待とうと思えるそんな漫画。 ジャズが苦手であろうとわからなかろうとそんな事はどうでもいいぐらいに、五感を揺さぶってくるすごい漫画なので絶対読んだほうがいいし出来ればネタバレは見ないほうがいい。 ググると「ブルージャイアント ひどい」が一番上にサジェストされて笑ったけど、シュプリームがなかったら本当にただひどかったかもしれない。 ただ、ひどかった(と私含む多くの読者が思っている)のは本当に後半の、割と最後の方の展開の一部でしかなく、それは本当に衝撃的だったけど、その衝撃が大きい人ほどこの作品をちゃんと読んだ人であるのは間違いない。 大好きなので是非多くの人に読んでもらいたい。

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