父の善良さが鍵 #マンバ読書会 #泣けるお父さん
難民の殺し屋女性が、一般女性との愛を貫けるかを試される物語。さまざまな思惑が錯綜するスリリングな物語ですが、その思惑の中には、殺し屋の恋人の「父親」のものがあります。 そしてこの父親の「善良さ」が、物語を複雑にしてゆきます。 父親は神父さん。彼はどんな内容の告解も……たとえ殺人の告白でも、誰にも漏らさない。そんな善良さを見込まれ、彼は告解の常連から殺害予告をリークされたり、教会上層部に利用されてしまう。 一方父親としては寡黙だが心配性。ついデートを尾行しちゃったり。それでも真摯に思いを告げるため、娘にも信頼されている様子。 彼はついに恋人と対面する事になる。二人は娘の人柄の良さで意気投合する。しかしこの邂逅は、一寸先の読めない大きな争いをもたらす。その火種が、ちっぽけな父(父親・神父)の「善意」である、という皮肉と複雑さ。それは間違いなく「面白い」!
移民の殺し屋・ローズと、恋人の女子校生・紅華、そして紅華の父は教会の神父で、日頃からローズが告解している相手である。
それぞれがそれぞれに、自分の正体を隠したり人には言えない事情があるので、実はとんでもない三角関係(というのか?)の中に自分が置かれているというのを誰も知らないという構図。
そんななか、ローズは自由と引き換えに教会の神父を全員殺すという任務が課されます。もちろんいつも話を聞いてもらっている神父が紅華の父親だとは知らないままですが、ローズは言われたとおりに使命を果たすことができるのか。そして、紅華との関係はどうなるのか。紅華は同性の恋人が居ることを父親に話すことはできるのか。
ローズの殺しのシーンが冷静で的確で面白い。暗殺組織の検死担当者?にも完璧な仕事ぶりで「100%ちゃん」と呼ばれるほど。
シリアスなストーリーではありますが、すこしわがままな紅華にローズや父親が振り回されている様子には笑ってしまうようなコミカルさがあります。1巻の最後には「ああ、ついに…」という展開もあり、誰も不幸にならないでくれ、という気持ちで2巻を待ちたいです。