押見修造先生の表現はどこまで進化するのか
押見修造先生の最新作。新たな代表作である「血の轍」も出身地の群馬県が舞台になっていて実体験がベースにあるような気がしましたが、今作「ひろみ」はよりそれを感じました。ペンタッチがいい意味で力が抜けているのも、頭の中の朧げな記憶をそのまま描き表したい意図があるように思えました。すでに「血の轍」の時点で、研ぎ澄まされた心理描写は誰も真似できない地点にありましたが、押見先生の表現がこれから更に進化することを予感させられますね。物語の展開としてもちろん後編が気になりますが、その前に子供である主人公に罪悪感を植え付けた女教師はマジ許すまじ…!
連載中に読んでいたが久しぶりに単行本で読み返した。改めて読み返すと同じ芳崎せいむ「テレキネシス 山手テレビキネマ室」に近く映画ではなく、本と物語が絡んで進む。連載時は怪力の女の子がもっと活躍していた気がするがそうでももなかった。一番心に残った話は、本を収集している男性が病気をして本の置き場などで揉めて最終的には寄贈するが男性は最後のページで本屋に向かうというちょっと俺の未来っぽいなと思わせる良い内容だった。部屋に本が大量にあるので売りに行ったが、売った本と同じ数ぐらい買って帰ることがある俺には他人事ではない