本宮ひろ志、政治家を目指す
今ならウケると思うんだけどなあ。時はロッキード事件で日本が揺れていた1980年代初頭。漫画家・本宮ひろ志本人がなんと参議院選挙に打って出て、その過程をルポ漫画として描くという意欲作。ですが、一般人にはわかりにくい政治の実態を漫画に、という面ではこの発表形態では失敗だった、と思います。なにせ掲載が少年ジャンプ。子供向けではないし、文字も多く詰め込み過ぎてこのページ数では読みづらい。ただ、大人になってから読むと違和感はそれほどでもない。政治家に真正面から斬り込む姿勢に好感を持てるし、むしろ漫画として深い内容になっていると感じます。一般誌で時間を割いて、というのが一番でしょうが、それができる時代ではなかったのでしょうね。30年早かったか。田中角栄との会談や、編集部とのやりとりなど内幕暴露話として面白い部分もあって、見るべきところは多いだけにもったいない(あと若き日の菅直人も)。当時の少年は一度読んでみるといいですよ。また後の『大いなる完』『実録たかされ』にこの経験は生かされているので、そんな面から見るのも一興です。
他の漫画家先生からの応援コメントで
永井豪先生が
「奥さんを質に入れても頑張ってください。
質流れしたら僕が引き受けます。」
と言っていたのが強烈に印象に残っています。
御同業の漫画家の先生方だけでなく、
各分野の方々がそれぞれ意見を述べていて面白かったのも。
今なら完全にアウトな発言ですね。。演出と信じたいですが家で暴れてる描写とかも。。
漫画家の先生方は絶妙に「らしい」コメントで味わい深いのと、当時の漫画家の社会的な地位が窺い知れる貴重な資料だと思います。