政治実況中継漫画としては魁的な存在かもしれない。
本人の出馬するしないを絡めながらってのも斬新だった。
そう考えれば価値ある作品。
ただ、この漫画には一つ、最大にして致命的な欠陥が
あったと思う。
政治家のインタビューを忠実に文字に置き換えるだけで、
それらを漫画で絵的に表現する部分が弱すぎた。
せっかく大勢の政治家が意見を述べてくれたのに
それを文字におこしているだけのコマが多くて、
なんでそれを本宮先生流に漫画で表現しなかったのか?
本宮先生ならやれば出来ただろうに、と思う。
ただ政治家の顔のイラストとセリフばかりのシーンが多い。
たとえば、小林よしのり先生のゴーマニズム宣言が受けたのは
政治問題や各種の意見を小林先生が漫画の形で
良くも悪くも絵とセリフで小林流に表現したからだと思う。
本宮先生の判断で、自己流で表現したり脚色したりすることに
なんらかの制限をかけてしまったのだろうとは思うが
漫画って、文字だけで情報を伝える媒体ではないからこそ
漫画なんだろうと思う。
だから、文字ばかりになってしまったこの漫画は
読者アンケート最下位も、わかるような気がする。
少年ジャンプで体当たりの政治を扱った意欲作
自身が参議院選挙に立候補してその様子を漫画にするという企画で、「選挙活動を漫画化するのは事前運動にならないか」「漫画界のハジ」など集英社のみならず業界を巻き込んだ一大プロジェクトになっていく(有名漫画家達からの応援、批判コメントも見どころ)。 担当編集になった堀内さんは後に集英社の社長になっていること(2020年から会長)、当時の政治家達のインタビュー、最後の作者の台詞など、非常に考えさせられるものがある。 終盤は文字が多く漫画としては読みにくいが、少年誌だからといって手加減せず、難しい内容もそのまま載せている。当時の作者の限界だったのだろうけども、そこをごまかさないところに好感を持った。大人にこそ読んで欲しい作品。