自分に嘘をついてはいけない。
ひょんなことから自分の作品(自分では作品とさえ思ってない)が独り歩きして、やりたいこととずれたり周囲から過剰に期待されたりして、ドタバタする話。 嘘は心を殺します、のようなセリフがあり、ほんとにそうだよなと共感しました。仮病や忖度なんて誰しもしたことあると思いますが、人に対して嘘をつくと、その後の自分も引きずるし、嘘をついた相手の顔をまともに見れなくなるし、心は死に、孤独になっていくよなと。 が、本作の本質はそういう罪悪感的なことじゃないんだと最後まで読んで気付きました。むしろ自分に対して嘘をついている状態の方が苦しいということなのかなと。 沁みました。再読すると思います。 ネタバレにならないよう抽象的な物言いになりましたが、ぜひ読んで欲しいマンガです。
絵のタッチと話の内容がマッチしすぎて病室のシーン読むのがしんどかった…。最初は32歳で学ランを着てるという設定でギャグなのかなと思い読み進めたらマジでとんでもない目に遭いました。
読み終わって、人間のザラザラした感情を描いたスゲー作品だ…と打ちのめされた状態で新コミのページ見たら著者のプロフィールが16歳となっていてもうぶったまげました。(扉絵の「16才、鬼才。」の文字に気づかず読んでました)
死の淵にいるサキちゃんの虚ろな表情、卒業式でサキを忘れるという現実を受け入れようとして頭が肥大し顔がデフォルメされてしまうサトル。
人間の感情の大胆な描き分けが凄まじい。
細い線・太い線・絵の具みたいな塗りと、画面が様々な線の強弱で埋め尽くされ隅々まで描き手のエネルギーがギュウギュウに詰め込まれていて、それが物語に緊張感を与えているのかもしれないなと思った。
浄土るる先生のときも驚きましたが「この歳でこれ描いちゃうの…?」と、今回またとんでもない10代の新人が現れたなと慄いています。未読の方はぜひ自分の目で読んで味わってください。
【第87回新人コミック大賞 青年部門 入選作】掲載ページ
第87回 青年部門 入選「独善的人生」剛田洋(16歳・島根県)