火消しの鳶

火消しの鳶

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350年前の江戸に住む人々を繊細に描きつつ、魅せるアクション部分は迫力のある見開きとセリフ回しで、非常に読み応えのある一作

江戸時代の「火消し」をテーマに取り扱った本作品

当時の江戸は紙と木で出来た世界的な人口過密都市
そのため、火事は人々の命取りです。そんな人々を火事から守るのが町火消でした、彼らは町人で構成された消防隊で、普段は大工などの本職をこなしつつ火事の際には現場へ急行します。
※タイトルの「鳶」は「鳶職(とびしょく)」の事を表していると思います

そんな町火消は江戸の人々のヒーローだった!

■この作品の魅力
『その1:画力とスピード感』
表紙にもなっているシーンが当時の消火方法
「建物を壊して火を止める」まさにそのシーンとなっています。
建物を壊すまでの流れがスピーディー&ダイナミック&カッコイイが揃っています。
流れるように壊していくのですが、そのスピードに自分も巻き込まれるような引き込み力があります

『その2:書き込みと読み応え』
もしお手元にこの作品があるのであれば、最初は勢いに任せて読み
そのあと、ひとコマひとコマ絵画を見るように見てください
おそらくこの作品にはモブと言われる登場人物は存在しません、描かれている江戸の人々全員に生活が見えてきます。
この部分は元々作者さんの二年間の火消しの研究成果としてアウトプットが本作品の出自ということがあると思います。

『その3:鳶の目線で描かれる江戸』
主人公たち火消しは「鳶職」をしているため、作中に高い目線での江戸の町並みがこれまた繊細に描かれます。
自分はあまり、江戸という町をこの目線で多く描く作品を見たことがなく新鮮でした。

■こんな人にオススメ
シンプルなヒーロー物作品としても読んでもいいですが、味わえば味わうほど味が出る作品で、1話読み切りでありながら色々な想像を膨らますことが出来る作品です。
普段同人誌読まな無いけど、読み切り作品が好きな人に是非読んでもらいたい一作です。

この作品は2020年2月のコミティア131にて発行された同人誌です
※同人誌にも関わらず登録してくださったマンバさんに感謝、ありがとうございます

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①高度経済成長期から平成初期を歩み続けた四コママンガ ②サザエさんとは朝日新聞の朝刊・夕刊の先輩後輩 ③社会の教科書では知ることのできない当時が面白おかしく知識として得ることができる 小さい頃、私の家には2つのマンガがありました、「ボロボロのサザエさん」と「いい紙で作られたフジ三太郎」です。 サザエさんは母がフジ三太郎は父が好きで読んでいた本でした。 私は両親共にマンガが好きで自然とマンガが好きになったマンガネイティブではなくて、この二冊を本当にボロボロになるまで読んだおかげで、今もマンガ好きでいられています。 新聞四コマの良いところは、シンプルに”全年齢”を対象にしている笑いと当時の社会の"風刺"がたった四コマで表現されているところです。 正直、新聞四コマの単行本を買っている人はほとんどいないと思いますが、単体のマンガとしても十分に面白いです。 このフジ三太郎の生きた時代の延長に我々の生活があるので、「あー当時はこんな感じだったんだ・・・」などの感覚を両親・祖父母から聞く感覚に近いものがあります。 この作品でマンガの読み方と社会を学ばせてもらいました、ありがとう また、この口コミを書くきっかけとなったのがこの間、NHKの番組「あの人に会いたい」にて作者のサトウサンペイさんを特集していたのを目にして、電子書籍版の存在をしり電書版でまた集め始めました。 https://www.nhk.or.jp/archives/people/detail.html?id=D0009250644_00000 電書版を出版するにあたって、80歳近い作者のサトウサンペイ氏が自ら液晶タブレットに向かって線を引き、言葉や表現を現代でも通用するように変更を加えているとのことが衝撃でした。惜しくも昨年2021年にお亡くなりになってしまったとのことです。 このフジ三太郎は1965年から1991年までの約26年間連載された作品です。 サザエさんが1946年から1974年までなので、10年ほどサザエさんと朝刊・夕刊を支えていたことになります。 実はお互いの作品でクロスオーバーしている部分もあり、そこら辺は長谷川町子氏の「サザエさんうちあけ話」でも語られています。 新聞の四コママンガの代名詞である「サザエさん」で、それ以外の四コママンガの知名度が圧倒的に低いですが、このフジ三太郎も新聞四コマの完成形だと思っています。「全巻買って読んでみて!」とは言えない作品ですが、あなたの記憶の片隅にどうか・・・
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