85歳老女の秘められた過去
85歳認知症のおばあちゃんが、過去に何かをやらかしたのでは?という謎と混沌に満ちたエピローグ。 雰囲気もストーリーも文学の匂いを感じる。 今どきの(普通の)孫娘視点から読み解かれるのはどんな真実なのか、続きが楽しみ。
「結婚することになっちゃったけど私のこと見捨てないで」 心中未遂後の70年――。時代に許されなかった女性同士の恋と人生を、令和から戦後まで遡って辿るドラマチック一代記!伊藤貴代子、85歳。認知症で家族の顔さえわからなくなる日々の中、突然訪ねてきたのは、忘れるはずもないかつての恋人・園田ミツだった――。貴代子とミツは、戦後の女学校時代に心中を図った恋人同士だった。心中が失敗しても恋愛関係は続いたが、貴代子は28歳で見合い結婚を決めてしまう。ミツは傷つくも、貴代子の悲壮な理由を知り、婚前最後の旅行を提案するが――?
冒頭、85歳まで会って話せる距離にいたなら良いじゃない、と思ったんですけど、どんどん2人の歩んできた道を遡るほどに、いろんな葛藤や後悔があったんだなというのがわかりました。と同時に、少しでも何かが違っていれば、どこかのタイミングから一生再会できなかった場合だってあり得る。思うようにいかないことだらけだったかもしれないけど、なるようになったとも言える。教科書に載らないような人の人生だって、立派な歴史だなと思い知った。
決して結ばれなくても、「死ぬ気で愛した人がいた」という経験は、死ぬまで離さず持っていたい宝ものだと思います。
過ぎたことは変えられないけど、出来るだけ後悔のない人生を生きたいものです。