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深室レストラン

深室レストラン

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私の2020年No.1読切がもう決まってしまいました。あと3カ月ありますけど、これが1位でもう決定です。ジャンププラスに掲載された、森朝日先生の『深室(ディープスペース)レストラン』。間違って後編から読んじゃったのに無茶苦茶面白く、読後感が良すぎてしばらく放心状態になってしまったくらい最高でした…!

まずこの作品のすごいところは、「少女漫画のモノローグが少年漫画のコマ割りの中に書かれている」ところなんですよ。それでちゃんと漫画が成り立っているのがすごすぎる…!

絵が美麗なのはもちろんのこと、この会話とかモノローグの文章がホンッッットに良くて、小説を読んでるみたいな心地よさがたまらない。

キャラについても、自分の足で立っている意志の強い女の子2人がとにかく自分好みで…もう何もかも好き…という気持ちしか残っていません。

好きすぎてまともな文が書ける気がしないのですが、「みなさんはどう思うかわかんないけど、私はこんくらいメッチャ好きで〜〜〜す!!」!という気持ちを、書くだけ書いておこうと思います。
 
この作品に登場するのは、

お寺の娘で霊感が強い黒髪が麗しいつれない美少女・マイ。
名探偵コナンの園子っぽい見た目でジョジョみたいな喋り方するガラの悪い女の子・ラン。
黄金色の肌をしたふわふわした髪の毛とガラス玉のような目が美しい少年・クロード。
そして、レストランに100年前から囚われている妖しい美しさのある男。

https://i.imgur.com/8yh1qWb.png

(『深室レストラン(前編)』森朝日)

主人公のクロードは、最愛の幼馴染・マイに告白するも「いくじなしとは付き合いたくない」と振られてしまう。
自分は度胸があると信じてもらうため、夜中に怪談本で知った平坂レストランに心霊写真を撮りに行く。

しかしクロードはあの世のレストランである平坂レストランでヨモツヘグイを犯してしまい、あの世から帰れなくなってしまう…。100年前からレストランに1人で閉じ込められているという先人の男は、初めての仲間として喜んで歓迎する。

あの世の住人となった人間は、人々の記憶から徐々に消えてしまう…。
クロードは自分の名前すら忘れてもなおマイの元へ戻ろうと必死であがくが、男はそれで何も変えることは出来ないと悟った目で無感動にただ眺める。

一方、この世にいるマイはマイで、失った記憶の人物は誰なのか突き止めようと、犬猿の仲であるランに協力を依頼し調査を始める。

もともとクロード・マイ・ランは、幼稚園からの幼馴染。
クロードはいつもランにべったりで、お似合いな2人の姿を見て嫉妬したランは、いつもマイに冷たく当たっていた。

しかしクロードが消えたことで、現実がどんどん修正されていく…。

https://i.imgur.com/KHl79LG.png

(『深室レストラン(前編)』森朝日)

互いに密かに相愛だったマイとランは、ランの嫉妬の原因となっていたクロードが消えたことで、急速に距離を縮める。

そんな2人を、クロードはガラスの向こうから謝ることすら出来ずに眺めるのだけど、そんな虚しさは地球の終わりまで永遠に続くこのレストランでの生活の始まりに過ぎなかった…。
 
はぁ…………もう全部好き…………。

怪談、神話、文明の崩壊。
目が浄化されそうなほど美しい絵で「滅び」を描いているところに言いしれない良さを感じる。

作中にバンバン登場する、折れそうに細い腰、艶々した髪、ガラス玉のような目と瞬きしたらバサバサ音が鳴りそうなまつ毛、宝石のような涙は、それこそ永遠に眺めていたいほど美しい。

https://i.imgur.com/4wKYeCW.png

(『深室レストラン(前編)』森朝日)

この美しさが、死の世界の妖しい魅力をガンガンに引き立てていてホント最高だった。

そして後編の最後が、新しい住人が犬を連れてやってくるところで終わるのも格好いい。
クロードと男の背中には翼が生えていて、2人が人ならざるものへ変わってしまうほどの時間が経っていることにゾッとした。
 
さらに、1回目に読み終わって放心状態になったあと、冷静に読み直してみると、いろいろな気付きがあってさらに唸らされた。

・前編の冒頭でマイとクロードが読んでいた雑誌の記事は男が投稿したもの
・レストランを見たマイが言う「今も窓からあんたをじっと見てる」人物も男のこと
・マイがクロードを自分と同じ度胸がない臆病者だと決めつけ、クロードの告白が本心ではないと思ってしまった理由は、手酷く嫌われてしまっているランのことが好きだったから

もうあんまりにも作品がよくて、「森朝日先生って誰!?」となったのですが、絵柄とジョジョっぽさでピンと来た絵師さんの商業アカウント(別名義)をチェックしたところドンピシャで、「あ、あの方か〜〜!! ずっとお慕いしております…!」と感無量でした。

森先生、こんなにも素晴らしい作品をありがとうございます。
この作品は私にとっての2020年No.1読切ですし、森先生ご自身がこれからガンガン商業でご活躍してほしい作家さんNo.1です。メチャクチャ応援しています…!!

【前編】


【後編】

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でぃーぷすぺーすれすとらん
深室レストラン
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