『ネオ・ファウスト』を読もうかなと思っていたのですが、手塚は何度か『ファウスト』をテーマにしたマンガを描いていると知って、本作から読むことにしました。
作品の詳細は公式サイトに詳しいです。アニメーションチックなキャラクターデザインや動きはフライシャーなどが参照されているとのこと。
手塚治虫公式WEBサイトです。マンガについてご紹介
そして物語の方はなかなか難しい…。正直言ってファウストの言動が破天荒すぎてついていけないところがありました。
気の向くまま欲望の赴くままに悪魔メフィストの力を振るい、メフィストすらも道具として割り切って扱う冷徹さはほとんど悪役。「満足」を知らない彼は暴走を続け、罪なき人を手にかけた段階でようやく後悔し始めます。
もとの老人の姿に戻ったファウストは「満足するための努力」をしてきた自分を誇ります。努力の尊さを噛み締めたことで最高の満足を味わった彼はいよいよメフィストとの契約で地獄に連れ去られそうになるのですが、そこを天使に救われ天国へ辿り着きハッピーエンド。
この「努力」、作中ではさまざまな人への迷惑をかけてきた行為でしかないので、正直ピンとこず…。天使の正体もファウストのせいで死んでしまったマルガレーテ王女だし。
人は迷い過ちを犯すものであり、それを認めたうえで本人の絶えぬ努力(野心)に加えて、純潔の象徴たるマルガレーテの弁明があることで救われる…というのが原典ですが流石に端折り気味なのでは…と思ってしまうところもありました。
とはいえ「ファウスト」が大まかどんな話なのかを掴むのにはピッタリの作品だと思います。児童向けに描かれたというバッググラウンドもあってか、非常に分かりやすいです。
本作を踏まえた上で、次は同じくファウストがモチーフになっている『百物語』も読んでみたいと思います。
いたずら悪魔のメフィストが神様と賭けをした。大学者ファウスト博士を地獄に落せるかどうか?犬に化けた悪魔が博士に近づいて、妖怪・美女入り乱れるファウストの冒険がはじまる。名作文学の世界に挑む傑作漫画!!
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