私も似たような経験があったのでとても共感できる内容でした。焦燥感や勢いだけで、自分のことを誰も知らない土地に引っ越したとしても、なかなか友達が増えるわけでもなく、ひたすらキツい仕事で精神を削られるだけの日々。そういう経験のある方は意外と多いのではないでしょうか。転勤族の方はもっと大変だと思いますが、ここで描かれている人間関係は大なり小なり、誰しも経験したことのある苦労であるように感じました。忘れかけていた苦い思い出を誰にとってもわかりやすい形で表現された山本さほさんはやはり凄いです。新天地で頑張って暮らしてみたけど合わなかった人、理不尽な仕事や、職場の人間関係に馴染めない人が読むと苦しいけど、自分の経験も振り返ることができるので、何か得られるものがある気がします。神戸(兵庫)に対して偏見を持たれててしまう箇所があるのは少し残念でした。都市名は伏せたほうが良かったかも。単行本のあとがきでは、神戸はとてもいい街だよ、というフォローが入ってますけどね。

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知らない町に住んだ記憶にコメントする
美は乱調にあり
大正破天荒ラブストーリー
美は乱調にあり
無用ノスケ子
無用ノスケ子
瀬戸内寂聴さんの小説を漫画化したもの。史実を踏まえた歴史マンガの面白さと、愛憎入り交じったラブストーリーの描き手として、柴門ふみ先生はこれ以上ない適任者であると感じました。しかも「東京ラブストーリー」のキャラクターは「美は乱調にあり」から刺激を受けてのものだそうで、その繋がり方には妙に納得感があります。 本の主な内容としては、大正時代の雑誌「青鞜(せいとう)」で活躍されていた、今でいうフェミニストの先人となる女性達、平塚らいてう、伊藤野枝、神近市子、そして革命家で、プレイボーイの大杉栄を中心とした、それぞれの人間模様が描かれています。 主人公・伊藤野枝は、若くして結婚して子どもを出産しますが、不倫して家を出てしまう所など、瀬戸内寂聴さんの人生とも似てます。そして、不倫を超越した恋愛を「フリーラブ」と称し、互いに自立した男女関係こそが古い価値観を壊し、革命に繋がるのだ!と熱弁。当然、こうした思想・価値観は政府からの反発を受け、世間からはスキャンダラスな扱いを受けるわけですが…。 後半になるほど歴史的には面白くなるはずが、昼ドラみたいになってしまったのが少し残念。ページが足りなかったのか事実の羅列だけで、最後に甘粕さんが出てきても誰?状態になる人続出だと思います。私も村上もとか先生の「龍―RON―」で描かれた時代の知識しか無いので、この時代の事はもう少し勉強せねば。
空っぽのやつでいっぱい
初期の作品を読んでみました
空っぽのやつでいっぱい
無用ノスケ子
無用ノスケ子
名前は耳にしたことはあるけど、実際に手に取る機会がなかった作家「アボガド6」さん。(読み方はアボガドロクさんだという事を最近知りました)表紙がオシャレで雰囲気も良いし、なんとなく面白そうな短編を描かれてそうなイメージがありますが、いわゆる「漫画好き」と言われる人達からの評判をあまり聞かないのが不思議です。漫画家というよりイラストレーターの印象が強いからでしょうか。本屋でも見かけたことがなく、ここマンバでもクチコミが0件の状態でした。とりあえず1冊だけ読んでみようと、初期作品と思われる『空っぽのやつでいっぱい』(KADOKAWA、2017年)(※タイトルが阿部共実作品っぽいのが何か気になる)を買ってみました。 絵はシンプルな線で上手いイメージが強かったのですが、初期の頃は、絵が荒くて意外でした。ストーリーは中盤まで面白い話とそうでない話の差があり、若干辛くなりましたが、ラストに向けて各話の繋がりが見えてきて、最後まで読むと群像劇としてよく出来ています。一応の満足感は得られましたが、それでも短編モノとしてはややパンチが弱い印象を受けてしまいした。初期作品だけで判断するのも良くないので、もう少し最近の作品も読んでみようと思います。
本場ぢょしこうマニュアル
80年代女子校の日常
本場ぢょしこうマニュアル
無用ノスケ子
無用ノスケ子
「その女、ジルバ」で手塚治虫文化賞を受賞した有間しのぶ先生のデビュー作。デビュー雑誌はヤングマガジンだったんですね。しかも、2巻で「作者は女子高校を卒業して大学生になりましたが」とありますので、もしかしてデビュー当時は現役女子高校生だったのでしょうか!?驚きです。1982年から8年間に及ぶ長期連載だったそうですが、青年誌で女子校日常マンガなんて、当時のヤンマガ読者さんに受け入れられていたのか気になります。絵について少し触れますけど、大変失礼ながら絵はほとんどノートに描いたような絵でした…。(漫画原稿用紙でもない?)トーンも使われてないようで、落書きにしか見えないコマもありました(←ホント失礼!)でも、絵がどうこうより、漫画に描かれている人達が面白いんです。淡々と学校や周りの出来事を描いてるように見えて、実に多種多様な生徒たちが漫画に登場します。よくある思春期の一コマであっても、一人ひとりの内面に踏み込んで描かれています。だからギャグ漫画なのにどこか嘘っぽくなくて、その人の本音を感じるのです。このような人間への観察力・洞察力こそが、有間しのぶ先生の凄いところなのだなあと思いました。
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