押見修造先生の表現はどこまで進化するのか
押見修造先生の最新作。新たな代表作である「血の轍」も出身地の群馬県が舞台になっていて実体験がベースにあるような気がしましたが、今作「ひろみ」はよりそれを感じました。ペンタッチがいい意味で力が抜けているのも、頭の中の朧げな記憶をそのまま描き表したい意図があるように思えました。すでに「血の轍」の時点で、研ぎ澄まされた心理描写は誰も真似できない地点にありましたが、押見先生の表現がこれから更に進化することを予感させられますね。物語の展開としてもちろん後編が気になりますが、その前に子供である主人公に罪悪感を植え付けた女教師はマジ許すまじ…!
アキオは冴えない中年でありながら、年下の美人妻と結婚し、愛娘と何不自由なく幸せに暮らしていた。しかしそこへ妻の元カレが現れ、とてつもなく辛い現実を突きつけられ…。
ここまで男としての情けなさを味わえる漫画はそうないと思います。「最強伝説 黒沢」とまた違う情けなさと言いますか。主人公アキオの泣きっぷりがもう凄いの何の。読んでるこちらまで、泣きたくなるような気持ちになります。
相対する妻と元カレは、容姿も性格も恵まれており、アキオが身を引くしか無い状況へと追い込まれ、もう感情をどこへ持っていったら良いのやら…。
そして、同級生で探偵の”広瀬”と再会し、物語は一段と面白くなっていきます。アキオの決断が思いもよらない状況をつくり、最後まで目が離せないストーリーになってます。