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寿司 虚空編
よくわからなくても面白いが、そこで終わると非常に勿体ない
寿司 虚空編 小林銅蟲
完兀
完兀
今や狭い世界で広く知られることとなった数学的題材「巨大数」を扱った、世にも奇妙な寿司漫画である。 ぶっちゃけ読んでもよくわからない人がほとんどだと思う。でもよくわからないまま読んでも面白いのだからすごい。このことは、本作を読むのに巨大数への理解が必要ではないともいえるのだけど… でもよくわからないまま読み進めるだけじゃなく、扱われている巨大数への理解を深める挑戦もしてみてほしい。でなければ大きな機会損失になりかねない。 この漫画が提供してくれる機会、それは「世界が広がる感動と衝撃」である。 物心ついた頃、普段目にしている家周辺の空間の外へ初めて飛び出たときに体験するあの感覚。 小さかった頃、自分の知っている世界は実は地球上の非常にちっぽけな範囲だけなのだと気付いたときに得たあの感覚。 利口になってきた頃、あんなにも大きいと思っていた地球の外には、全知識を動員してもどうにもならないぐらい広大な宇宙が広がっているのだと思い知らされたときのあの感覚。 人生でそう何度もないような、あの劇的な感覚を与えてくれる可能性がこの漫画にはある。私は味わった。まさに『わかり』の状態だ。 この漫画、絵やストーリーが最高だと評価される可能性は極めて低いだろう。 しかし「最高の体験を導いてくれる漫画」になる可能性は充分にある。少なくともクラス1の数の逆数で表される範囲ぐらいはある。 それがどれぐらいの大きさになるかは、本作を読み進めて確かめてみて欲しい。単行本未収録の話がpixivコミックに公開されているのでそちらもお忘れなく。
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