今では載せられないだろう‥
ジャンプの三大原則と言えば、努力、勝利、友情というのが有名です。 しかしこのブラック・エンジェルズは真逆を行くような作品です。 当時は勢いもあり、かなり緊迫感のある作品だったように覚えていますが、今改めて読むとかなり行き当たりばったりですね‥。 最後もかなり駆け足だったけど、続編があることで救われたラストでした。
主人公の雪藤は自転車で全国を旅している。旅の最中、彼は被害者から金銭を受け取ることなく、法律で裁けぬ悪を殺していく。彼はなぜ弱き者を助けるのか?ブラックエンジェルとはいったい何なのか!?連載当時、ジャンプ誌上で絶大な人気を誇った平松伸二作のバイオレンスアクション漫画がついに登場です。雪藤洋士や松田鏡二の活躍にこうご期待!
一般的に「現代版仕置き人」という認識の本作。第一部にあたるパートはまさにそうで、ヤクザにチンピラ、汚職刑事に悪徳政治家、金持ちのバカ息子に結婚サギ野郎と、わかりやすい悪党を黒き天使たちが打ち倒す、という日本人が大好きな勧善懲悪ストーリー。法で裁けぬ悪に天誅をくらわす、しかもその手段が暗殺、という昨今の少年漫画ではまず見られない内容です。またこの悪党が、まるで改心のかけらも見せない”ド外道”なんですよね。なので死んで当然と割り切ってしまえる痛快さがこのころにはあります。この第一部の印象が強くて以降のストーリーは忘れられがちですが、この後、革命をもくろむ竜牙会との死闘を経て大震災後の日本へと舞台は移り内容は一変。少年ジャンプの王道パターンともいえる力のインフレ化を起こし、やがては超能力バトルにまで発展してしまいます。ここまで無茶苦茶しなくてもとも思いますが、やはり漫画の本質はよくできたウソですものね。延々と暗殺を繰り返す内容でも、ちゃんと虚構とわかって読まれていた、良い時代に存在した奇跡的な名作だと思っています。