細かいこだわりがたくさん詰まった作品
まず目につくのはそのメタリックな装丁。そしてなんだか作画密度の濃い建築物や背景、それに不釣り合いなほど登場人物らしきなにか。そのすべてをボールペンのみで描かれているというから驚き。いざ中身を読んでみると、その作画密度のアンバランスさはそのままに、会話劇はタイトルの通り飄々としていながら、時にクスッと笑えるような、時にとんでもなくドラマチックな、でもいずれにしてもあまりに非現実的な摩訶不思議な世界観が広がっている。 ネルノダイスキさんはもともとはコミティアで活動されていたマンガ家さんで、文化庁メディア芸術祭で新人賞を受賞されてもいるけど、私の知る限りでは商業誌での活動は全くされていない方。そして出版社のアタシ社は神奈川の三浦市で夫婦お2人だけで活動されている出版社。そんな、メジャーな場所ではなかなかできないようなこだわりがたくさん詰まった珠玉の1冊。 そして、帯のスチャダラパーBoseさんの推薦文が素晴らしくエモい。内容に全く触れずに内容を端的に表してるし、この推薦文に惹かれたならば読んで間違いない作品。
ネコのほんわかフォルムからは想像できない圧倒的な画力とストーリーがそこにはあります。
そして、一話目を読んでみれば、そこからは最後までノンストップで読み切ってしまうことでしょう。その瞬間、はやく他の人にも読んでもらわないと!!!という気持ちが湧き上がるはずです。
短編集ですが、基本的には表紙のネコのようなキャラが主人公です。
ファンタジーのような、近未来のような、なんとも言えない世界観の話が多いですが、一見、訳のわからない設定に思えても読んでみるとしっかりまとまってます。そしてわりとしっかり笑えます。
説得力があってすべて身近な出来事のようにも感じるんですよね。柴犬の話とか、実際にありそ〜、というかあったら良いな…みたいな