押見修造先生の表現はどこまで進化するのか
押見修造先生の最新作。新たな代表作である「血の轍」も出身地の群馬県が舞台になっていて実体験がベースにあるような気がしましたが、今作「ひろみ」はよりそれを感じました。ペンタッチがいい意味で力が抜けているのも、頭の中の朧げな記憶をそのまま描き表したい意図があるように思えました。すでに「血の轍」の時点で、研ぎ澄まされた心理描写は誰も真似できない地点にありましたが、押見先生の表現がこれから更に進化することを予感させられますね。物語の展開としてもちろん後編が気になりますが、その前に子供である主人公に罪悪感を植え付けた女教師はマジ許すまじ…!
ある日、墓場から赤ん坊の泣き声がする。どうやら埋葬された若旦那の妻が産んだらしい。よく見ると確かにヘソの緒が繋がっている。死人の腹の中で育った赤ん坊を、後妻は執拗に気味悪がり見向きもしない。実は妾だった後妻が若旦那をそそのかし、意地の悪い妻を殺したのだった。赤ん坊は女中が育て3才になったが、不気味さも増していく。イラつく後妻に何度も折檻され女中は、通夜の晩に見たものを白状し始める…。