毎度現れる強敵に対しピンチに陥る女勇者をガチャで強化して敵を倒していく、メタ的ソシャゲ風バトル漫画。コスの着せ替え的な楽しさと、ピンチ時のサービスカットが売りなんだと思いますが、後者のピンチの種類というか内容が、そういう方向で攻めるんか…という上級者向けでびっくりしますw単に露出が多かったりなら「とらぶるダークネス」や「なんでここに先生が」などを読んだほうがよほど充実していますが、ソシャゲーをモチーフにしているだけあり、ゲームのステータス異常(毒や麻痺、石化など)を色っぽく描くというマニアックな内容です。

こういうジャンルって、薄い本などでもそう頻繁に見かけませんが、成人向け商業コミックの市場だとKのつく出版社のほぼ寡占状態なんですよね。かなりニッチ!w全年齢向けでよくやるなぁ、、と思ってるうちに8巻まで出てしまっていた。潜在的な需要はあった……??

読みたい
MA・MA・Match

映画『怪物』みたいな構成の話だった

MA・MA・Match
mampuku
mampuku

いい意味で誤解や異説の飛び交いそうな、多層構造のストーリーだったように思う。 主人公の一人である芦原(母)は、生意気な息子とモラハラ夫を見返すべく、息子の得意なサッカーで勝負を挑む。 前半は、ママさんたちが友情や努力によって青春を取り戻しながら、悪役(息子と夫)に挑むという物語で、この悪役というのがちょっとやり過ぎなくらいのヘイトタンクっぷりなのだ。その場限りのヘイトを買うキャラクターは、ヒーロー役の株を上げるための装置として少女漫画では常套手段だ。だが『マ・マ・マッチ』はそういう物語ではないため、話はここで終わらない。 後半は時を遡り、息子と夫の目線で描かれ直す。母目線ではイヤ〜な輩にしか映らなかった彼らにも彼らの言い分や考えがあったのだと明かされる。 真っ先に私が思い出したのが、是枝監督の映画『怪物』の主人公の一人、安藤サクラさん演じるシングルマザーの早織である。 息子が教師に暴力を振るわれたことに抗議するため学校に乗り込むも学校側からぞんざいな対応をされ不信感を募らせる早織。その後教師や子供など、さまざまな視点が映し出されることでやがて全体観が像を結ぶ。 『マ・マ・マッチ』でも、後半部分を読んだあとに最初から読み返すと些か感想が変わる。息子や夫がイヤな奴らとして描かれているのは確かだが、先入観によって印象が悪化していたのも事実だ。なにより、序盤に出てくる夫のコマは母を嘲弄するような不快なものだったが、そもそもこれは芦原母の回想であり主観だ。その後実際に登場する夫は彼女と衝突こそすれ至って真面目だ。 つまり、それぞれの立場から不満を抱いたり譲れない部分でぶつかり合いながら、逐一仲直りしたり折り合いをつけているのだ、という話に畢竟見えなくもない。悪者退治という少女漫画にありがちなフォーマットで導入を描いて入り込みやすくしておいて、後半の考えさせる話でモヤモヤさせる。末次由紀先生、さすがの巨匠っぷりを見せつけた怪作だ。

テセウスの船

どちらかというと『テセウスの船』というより『動的平衡』じゃない?

テセウスの船
mampuku
mampuku

時間遡行をして人生をやり直したとしたら、それは本当に同一の自分といえるのか?という問いを有名なパラドックス「テセウスの船」になぞらえたタイトルだ。 ストーリーに関しては論理的整合性や感情的整合性においてやや粗い部分も感じられたもののサスペンスとして緊張感もあり、ラストは新海誠監督『君の名は。』のような美しい締め方だったし概ね面白かった。 ただ、タイトル『テセウスの船』がイマイチストーリーにハマっていない感じがした。 どちらかといえば「動的平衡」のほうが比喩としてしっくりくるのではないだろうか。 「動的平衡」とはシェーンハイマーの提唱した概念であり、日本では福岡伸一氏による著書『生物と無生物のあいだ』『動的平衡』で有名になった言葉である。“生命”とは、取り込まれ代謝されていく物質、生まれ変わり続ける細胞どうしの相互作用によって現れる“現象”である、という考え方だ。 主人公の田村心は生まれる前の過去に遡り、そこで巻き起こる惨劇を阻止することで、その惨劇により自身に降りかかった不幸な運命を変えようと奮闘する。作品では、過去を改変して自らの人生を曲げようとする一連の試みをテセウスの船にたとえているが、やはりピンとこない。作中、田村心は殺人事件を未然に防ぐため凶器となった薬物を隠したり被害者に避難を呼びかけたりするが、その影響で心の知る未来とは異なる人物が命を落としたり、結果的に大量殺人を防げなかったばかりか予想だにしなかった事態を招くことになる。 この予測不可能性こそがまさに動的平衡そのものって感じなのだ。生命体は、船の部品のように壊れた部分を取り替えれば前と変わらず機能する、ということにはならない。ある重要なホルモンの分泌に作用する細胞を、遺伝子操作によってあらかじめ削除してしまったとしても、ほかの細胞がそのポジションを埋めることがある。これは心が殺人事件の阻止に何度も失敗したことに似ている。思わぬ不運や予想しない死者が出てしまったのも、脚のツボを押すと胃腸の働きが改善するなどの神経細胞の複雑さに似ている。 船は組み立てて積み上げれば完成するが、生命は時間という大きな流れの中で分子同士が複雑に相互作用しあうことで初めて現象する。『テセウスの船』での田村心の試みは人生あるいは歴史という動的平衡に翻弄されながらも抗う物語だったのかもしれない。

本棚に追加
本棚から外す
読みたい
積読
読んでる
読んだ
フォローする
メモを登録
メモ(非公開)
保存する
お気に入り度を登録
また読みたい
【配信中】女神チャンネル! え、これ売名ですの!?

【配信中】女神チャンネル! え、これ売名ですの!?

異世界からスケベエルフが攻めてくる!? 炎上系の動画を投稿する底辺配信者の夕立朱人。田舎でくすぶっていた彼は、ある日突然ドラゴンとエルフに襲われる。異世界から来たという女神のクラマに間一髪助けられた朱人。クラマの話を聞くと、ガールズトークでうっかり地球のことを話したら性欲旺盛なドスケベエルフが繁殖目当てで地球を侵略しに来ているとか…。壮大すぎるエロ展開に巻き込まれた朱人。反撃の糸口を掴むため、自らの封印された過去と向き合うことに…!! 駄女神×炎上動画配信者のハイテンションコメディ 開幕!! ※こちらの商品には、巻末にデジタル版限定特典イラストが収録されています。※

JCの魅力を楽しむ健全なアンソロジーコミック

JCの魅力を楽しむ健全なアンソロジーコミック

カバーイラストの籠目先生をはじめとした、総勢11人の豪華作家陣にご注目!! 大人でも、子供でもない人生で1回だけの輝きを切り取り部活や日常生活、初恋などJCの魅力を綴ったあくまで「健全」なJCアンソロジー!

おにゃのこ

おにゃのこ

桃太郎の子孫だと言い聞かされている桃・太郎。ある日、頭を打って地獄へ。しかし地獄は、桃太郎がオス鬼を滅亡させたため女だけになっていた…!ここは天国?いや地獄!個性的な鬼ッ娘大集合!ツノで突かれたくなる新ジャンルラブコメ!!

可愛らしい表紙と裏腹にかなりマニアックなジャンル萌え漫画にコメントする
※ご自身のコメントに返信しようとしていますが、よろしいですか?最近、自作自演行為に関する報告が増えておりますため、訂正や補足コメントを除き、そのような行為はお控えいただくようお願いしております。
※コミュニティ運営およびシステム負荷の制限のため、1日の投稿数を制限しております。ご理解とご協力をお願いいたします。また、複数の環境からの制限以上の投稿も禁止しており、確認次第ブロック対応を行いますので、ご了承ください。