工業用ロボットの旅の物語
工業用ロボットが好奇心旺盛な少年少女と接触して自我に目覚め、孤独な旅に出る物語です。 その過程で様々な出会いと別れが生じ、世界に奇蹟と恐怖を撒き散らします。 絵だけを見ると、この作品はホラーなのかな?と思うけど、 ストーリーを追っていくと、高度成長期のオートシステム化の始まりで、それに伴う人間の戸惑いと葛藤を描いていくのか? 横図先生らしい作品です。
浪人生の千川つとむは、かつて宇宙捜査官・バーディーの捜査の巻きぞえで瀕死の重傷を負い、緊急措置で人格のみを彼女の身体に移し「二心同体」に。現在は、その秘密を知る友人・須藤と予備校に通いながら普通(?)に浪人生活を送っていた。そんなある日、高校のOBでジャーナリストの室戸に頼まれ「アグニケミカル」という会社に実験データを受け取りに出向いたつとむは、いきなり襲撃に遭う。その時、バーディーが目覚めて…!?天下無敵のSFアクション、新たなる戦いがここに始まる!!
掲載誌の移動などいろいろあり終結しないのではとも
思っていたが、なんだかんだで大団円。
普通の人間がある日突然、という設定はSFでは
ありきたりでもあるが、
この作品の中身は濃く、最終的には本当に
惑星戦争レベルの壮大なSF物語になっていく。
壮大な物語なだけに色々な登場人物の登場や
急展開だったり平行して進んでいる話もあり、
正直、自分の頭ではついていけない部分もあった。
「えーっと、この人はダレだっけ」みたいな。
しかし客観的には、ゆうきまさみ先生の話と絵の上手さで
壮大だけれどわかりやすくて読みやすい漫画なんだろうと思う。
女主人公のバーディは、これでもか、というくらい
露出度の高いコスチュームなんだが、
Hだとかエロいというイメージは少ない。
この辺もこの漫画ならではの良さだと思うのだが、
そういう点で、逆に人気が出ないのだろうか?
もっと世間が話題にしていい漫画だと思うのだが、
例えばコスプレの世界などでも、バーディのカッコウを
する人は少ないような感じだ。
日本やアメリカ政府の政治絡みの話とか、
銀河連邦や旧帝国の駆け引きや思惑なども展開されるので
話は相当に複雑なのだが、
ストーリの矛盾やホコロビなく話が展開して行くので、
ゆうきまさみ先生の構成力には驚く。
とかく「SFなんだから」と都合のいい展開に
はしるSF作品は多いし、だから面白いというSFもある。
一見するとそんな漫画かと思ってしまいそうな
「鉄腕バーディ」は、実はほとんどそんな部分がない。
なんだよそりゃ、とスカされたりとか
そりゃないだろ、と白ける部分がほとんどない。
なので面白くて読み応えがあった。
長い話だったが、読んでみて読みがいがあった。