響イズムを受け継ぐ将棋漫画『龍と苺』最新話感想
※ネタバレを含むクチコミです。
▼第1話/真実の自己(アートマン)▼第2話/ピカソとゲルニカ▼第3話/可愛い赤ちゃん▼第4話/初陣▼第5話/湯煙に浮かぶ傷▼第6話/始めてのデート▼第7話/危険因子●主な登場人物/ピカソ(寺院の息子の高校生。トラウマを乗り越え、ゲルニカをアートマンとするトラウマイスタとなった)●あらすじ/幼いころ好きだった女の子に、鬼ごっこの鬼をやってと言われたことを「彼女に選ばれた」と思いこみ、以来8年間すすんで鬼を引き受けていたピカソ。だが小6になったある日、その子が自分の陰口をたたいている衝撃的場面に遭遇し、ピカソは「鬼」に強烈なトラウマを抱えてしまった。そして高校生となったこの日も、映画の鬼に異常なまでに恐怖して彼女からフラれるはめに。だがそんな彼の前に、謎の美女・スジャータが現れたことで、彼の運命は激変する!(第1話)●本巻の特徴/子供時代のトラウマで、鬼が怖くて仕方がなかったピカソ。しかしスジャータの助言により、トラウマを実体化する反魂香によって出現した巨大な鬼とのバトルに挑み、ついにトラウマを克服。そのトラウマを僕(アートマン)として使役できるトラウマイスタとなった。だが、そんなピカソとスジャータのもとに、反魂香とアートマンで世界統一を企む秘密結社・チャンドラカンパニーが立ちはだかり…!?●その他の登場人物/スジャータ(審義眼を持つアートマン。チャンドラによって幽閉された主の意志を継ぎ、チャンドラに対抗できる仲間を集めている。ピカソ宅の寺院に居候)、ゲルニカ(ピカソのトラウマからアートマンへと成長。普段は思念体でピカソにしか見えないが、反魂香が焚かれている間だけ実体化する)
幼少期のトラウマにより鬼に対して恐怖心を抱いている主人公が、不思議な少女スジャータと出会うことによって、実体化したトラウマを倒し、アートマンとして使役するトラウマイスタになる話。
初期はギャグやラブコメ要素が強かったが、ある回をきっかけに狂気的なダークファンタジーに変貌する。そういう意味では、一部の読者に「トラウマ」を植え付けた作品ともいえる。絵柄も大きな特徴で、コメディーを描いてる時とシリアスを描いている時の書き分けが凄まじく、同じ人物がここまで違って描かれるのかと、ぞっとするものがある。この特徴は次作である「ねじまきカギュー」にも継がれている。本作特有の特徴としては絵画的な表現を多用している点にあるが、これは「芸術家」が題材となっている作品であるからだろう。中盤に中だるみを感じるものの後半の怒涛の展開と綺麗すぎるオチは一見の価値あり。漫画好きなら目を通して欲しい一作。