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落日のパトス

リアルじゃありえないのに生々しい

落日のパトス 艶々
野愛
野愛

艶々作品の魅力は人物の解像度の高さだと思う。 ご都合主義のどエロい設定どエロい肉体どエロい展開。絶対にありえないことだらけなのに、人間の感情は異常なほどリアルに描かれている。 壁が薄すぎるアパート。 駆け出し漫画家の青年・アキ。 隣に引っ越してきたのは、高校時代の憧れの先生。 単身赴任の旦那がいる日だけ、先生の部屋から喘ぎ声が聞こえてくる。 エロ漫画過ぎて逆に清々しいほどのシチュエーションでありながら、まあ焦らすこと焦らすこと。 後ろめたさを抱えながらもどうしようもなく先生に惹かれてしまうアキ。 アキの視線に興奮したり、うぶな反応を愛おしく思ってしまう先生。 お酒を飲んで暴走したり、一緒に海に行ったり、アキのアシスタントの女の子に嫉妬したり…。 一線を越えてしまいそうな瞬間が訪れるけれど、ためらう。 一線は越えないものの、2人の距離は縮まり、寸止め的行為も過激になっていく。 踏み出せない臆病さ、踏み出さない狡猾さ。もう止められない域まできているのに、相手の様子を伺い続ける2人。 あっさりヤっちゃうよりもずっとエロいし、生々しい。リアルじゃありえない話なのに、リアルだと感じてしまう。 艶々先生、天才だなあ。 自分勝手で狡くて可愛くて不器用で欲望に正直で…艶々先生の描く女性はとにかく生々しくて魅力的なのでぜひ体感してほしい。

野球で話せ

漫画で話せ

野球で話せ
かしこ
かしこ

何を隠そう私も自分の描いた漫画を第11回青年漫画賞に応募していたのです。とはいえ私は記念受験のようなものなので箸にも棒にもかからないのですが…それでも言わせて下さい、私のライバルって中原とほるだったのかよ!!と。いや〜でもこれは完敗です。だって全編を通して「漫画を描くのが楽しい」って感じだったじゃないですか。働きながら漫画を描くのは大変です。やりたいことがあるのは幸せだけど、休みの日なんかに一人で引きこもってコツコツ描いてると「誰にも求められてないものをこんなに一生懸命やって何になる?」と虚しくなります。それよりも情けないのは描きたいから描くのではなく「漫画家になりたいから描いている」という気持ちのブレが起きてしまうことです。それでは本末転倒なのです。だからこそ作中で叔父さんが言っていた『表現を続けなさい』というセリフに胸を打たれて勇気づけられました。それは連載デビューを経験された後も医師として働きながら投稿を続けられたご自身に対しての言葉なのかもしれませんが、私もこんな風に漫画と向き合いたいと思わされる姿でした。いつか私の漫画を中原さんに読んでもらいたい。漫画で話したいです!

創作文芸サークル「キャロット通信」の崩壊

なぜ人は物語を綴るんだろう?

創作文芸サークル「キャロット通信」の崩壊
toyoneko
toyoneko

「今年読んでよかったマンガリスト」を作ったときに、今年読んだ読み切りで何が良かったかな…と思いだす中で、真っ先に思い出したのが本作だったんですよね というか、「ゼロ災でいこうっ」のシーンが思い浮かんだ(添付) 衝撃的なシーンでした 大人になっていく中で、飛行機事故を契機に、自分の「核」が創作ではなくなっていたということ(又は、自分の「核」は最初からそんなところにはなかったということ)、そして、現実を前に情熱は失われてしまっていたこと、そのことを自覚する物語 それが、本作に対する私の印象でした …が、読み返してみると、実はそうではなかった だって、主人公は、そのことを自覚しながら、それでも、創作をやめられないから 「他の選択肢がない」という理由で、やはり創作を辞めることができない 別の人生を歩めるなら歩みたいと泣くのに、それでも辞めることができない それどころか、キャロット通信は解散し、仲間もいなくなり、 誰も読んでくれない、読者すらいないのに、辞めることができない 「にもかかわらず…私は…懲りもせず」 「また繰り返す…どうして?」 「なぜ??」 たぶん、このセリフこそが、この作品の核心なのでしょう 主人公にとって、創作は、苦痛なのでしょう でも、主人公の救いは、もはや創作しかない だから、主人公は、創作に向き合い続ける 「赤羽」に登場するペイティさんが、 「やはり創らないと気が狂いそうだから創るってコトですね…」 と言ってました(増補改訂版4巻、ボーナストラック9話)、 「創作」というのは、もともと、そういうものなのかもしれないです あ、ところで、そんなふうに「創作」をやめることのできない綿本おふとん先生ですが、トーチwebで新連載とのこと!みんなで応援しようね! https://x.com/offton_w/status/1873197901478019149

らくじつのぱとす
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