川原三平少年は、河童にそっくりだった。ある日、はぐれた仲間だと間違われ河童の国へ連れて行かれる。やがて、人間の文化が進んでいることを知った河童の長老は、三平にそっくりな河童を、留学生として人間界へ送り込むことにした。三平は河童を連れて人間界に戻ったが、そこにはおじいさんを連れ去ろうとする死神が待ち構えていて…!?
常識を凌駕する天才小学生・悪魔くんこと松下一郎(まつした・いちろう)が、理想的な世界「千年王国」を作ろうと奮闘する、妖怪マンガの巨匠・水木しげるの幻想妖奇ロマン。太平洋電機の社長に呼ばれた平社員・佐藤(さとう)は、社長の一人息子・松下一郎の家庭教師をしてほしいと頼まれる。そしてそれを快諾した佐藤は、一郎が暮らす奥軽井沢の別荘へ行くのだが……!?
いまだかつて生まれ出なかったほどのかしこい子供、人呼んで悪魔くん。「エロイムエッサイムわれはもとめうったえたり!」悪魔くんは長年の研究を経てついに悪魔を呼び出した。しかし、現れ出た悪魔メフィストは、ケチで報酬がないと契約できない…。悪魔くんは世界を地上天国にするため、ソロモンの笛を使って、メフィストに言う事を聞かせ、次々と怪事件の解決に挑む!
カランコロン…下駄の音を響かせて僕らのヒーロー鬼太郎が帰って来た!鬼太郎出生の秘密に迫る「鬼太郎の誕生」、そして、「ゲゲゲの鬼太郎」の前史とも言える「鬼太郎夜話」を完全復元版で収録。東京郊外で暮らす鬼太郎と目玉親父、家賃が払えずについに追い出されて…二人の行くところ、怪奇な事件が待っている!
平賀源内は何でも興味を持ち奇想天外なことを次々と思いつき、自分も面白がり、世間も面白がった面白生活の創始者であった。しかも色々と自由を規制するしきたりに満ちた封建時代にあっと驚く「自由生活」。日本人離れした平賀源内、貸本時代末期の漫画家たちなど、水木しげるセレクションによる奇人変人たちの伝記コミック!!
人間は生まれた時から「電車」に乗っている。「死」とは、「無」ではなく、本当は「下車」なのだ。すなわちただ一時電車を降りるだけなのだ…「不思議電車」。「幸福博士」山田先生のところへ、昔の同級生の幸福状況について、相談が舞い込む。座敷牢の中に閉じ込められ、仕事をし続ける彼を解放するには…!?「天使病」。妖怪博士・水木しげるの幸福をテーマにした傑作シリーズ!!
スウェーデンボルグは、奇跡的なアタマを持って生まれ、普通の人間では想像もできないものを見た。常識ではとても考えられない不思議な体験をして、世界をあっと驚かせて死んでいった。世界には、「目の見えないもの」を見ようと工夫したり、生まれつき見える人たちがいる。これはそういう「神秘家」たちの物語である。
前代未聞の天才少年“悪魔くん”こと埋れ木真吾(うもれぎ・しんご)が、仲間の十二使徒とともに悪い魔物達を退治していく妖奇アクション。幼稚園に入る頃には博士課程を1ダースほど修了した天才少年・埋れ木真吾は、周囲から悪魔くんと呼ばれ、秘かに後ろの寺の穴で悪魔を呼び出す実験をしていた。そして悪魔くんは、トイレに吸い込まれそうになったり、雲から出た熊手に捕まりそうになるのだが……!?
このはなしは、生者と死者の間には、お互いに知ることのできない、なにか別な世界があるのではないだろうかと思わせる、実話である。ある嵐の夜、詩人の三島ユキ夫は、日本のしゃれこうべを土産に欲しいというジャン・コクトオ氏の望みを叶えるため、墓荒らしをした。3つのしゃれこうべからは妖気が漂っていて…※この作品は、「墓をほる男(1)」(太田出版)と同じ内容です。
忍者たるべく、はるばると伊賀へまいった少年。道中、忍術評論家と名乗るエライ人間に声をかけられる。忍者採用試験はきわめて難しく、合格率は千人に一人だと言われ、驚いた少年はこの人物の指導を受けることに――。第一の問題は川から魚をとってくること、第二の問題はフトンを持ってくること…少年は次々と問題をクリアするが!?※この作品は、「水木しげる貸本時代ロマン(1)」(太田出版)と同じ内容です。
ある時、僕は「出社するに及ばず」という会社からの通知を受け取った。出勤せずに給料をもらえるのかと思いきや、どうやら僕は首になったらしい。一緒に首になっていた栄太郎先輩と僕は、期せずして意気投合した。栄太郎先輩の提案で、僕達は金持ちになるため、ヤマタノオロチの宝を探す旅に出た…水木しげる、幻の初期作品復刻!!※この作品は、「水木しげる貸本モダンホラー(1)」(太田出版)と同じ内容です。
いまここに人類がかつて生んだことのない頭脳の持主が現れて、一万年に一人しか理解できないといわれるユダヤの古書をひもといて、その文字の裏側にかくされた「悪魔を呼び出す術」にふけっていたとしたら、どうであろう。我が「悪魔くん」がそうなのだ……幻の奇書、ここに蘇る!赤貧時代の水木しげるが描き切った救世主の受難物語。※この作品は、「底本悪魔くん(1)」(太田出版)と同じ内容です。
鬼太郎シリーズに次ぐ、水木しげるの代表作といえばこれですね。ほかに貸本時代の作品集「水木しげる貸本傑作選 悪魔くん」というのもありまして、こちらはその後年に執筆されたもの。実はストーリーやテーマの部分では、前者の暗い雰囲気のほうに惹かれる部分が多いのです。しかし、やや一般的にアレンジされた後者のこちらを選んだのは、圧倒的な描写力、特に絵画的に描かれるようになった背景にシビれたから。貸本時代に比べて月日がたっているので、描写力が上がるのは当然なのかもしれませんが、この質感のある背景のド迫力は何なんでしょう。スクリーントーンを使わず(この時代にはなかった?)、描き込みだけで表現された濃淡。真骨頂である点描の美しさ。巨大な妖怪や異様にうねる蔓、異世界の風景などは匠の技の賜物です。それでいて、あのペーソス感のあるメインキャラと平行して存在しているからすごいよなあ。悪魔くんは千年にひとりの天才という設定ですけど、それは作者にもあてはまるというのは言い過ぎでしょうか。