ジュウドウズ

これを毎週楽しめたことが幸せだったと思う

ジュウドウズ 近藤信輔
名無し

作者さんの最新作「忍者と極道」の続きがあまりにも待ちきれず久々に読み返したら第一話の時点でワクワク感が"""偉大(パネ)ェ"""し、めちゃくちゃに心をかき乱されるほど面白すぎて泣いちゃった。なんで終わっちゃったんだろう。 「烈!!!伊達先パイ」も大好きなので、新連載が始まった!と本当に毎週楽しみにしていて、本誌の掲載作のどれよりも先に読んで毎週アンケートも出して、新キャラたくさん出てきた!盛り上がってきたな~!と思ったあたりで本当に終わった。 そのときの衝撃は本当に忘れられない。常に全掲載作を読んでいるわけではないとは言え、ジャンプを25年程度読み続けてきた中でもトップクラスの「えっ!?ここで終わる!?」だったと思う。 連載終了後、しばらくジャンプを読めず数週間溜め込んだ。ジュウドウズが載ってないこと、もう続きが読めないことを認めたくなかったから。当時それくらい好きだった。 単なる一介の読者の分際でめちゃくちゃ悔しかったから、作者さんはそれを遥かに超えてどれだけ悔しい思いをしたのかと考えるだけで胸が痛む。 数年経って読み返して、そんな気持ちをまた強く思い出させてくれるほど自分の中ではすごく意味のある作品に出会えたことを幸甚に思う。 あと主人公の母親が最強。絶対何かしらの性癖が目覚めたキッズたち、いるだろう?私は詳しいからそういうのがわかるんだ。 おすすめです。

サクラセブンズ~女子7人制ラグビー日本代表、リオへの軌跡~

世界と闘う乙女の身体美!

サクラセブンズ~女子7人制ラグビー日本代表、リオへの軌跡~ 村岡ユウ 工藤晋
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

【世界と戦うアスリート漫画②〜スポーツコラム風に】 『もういっぽん!』等の柔道女子漫画を描かれる村岡ユウ先生が作画を担当された、七人制ラグビー女子日本代表が2016年リオ五輪出場を目指した記録であるこの作品。まず注目すべきは、闘う女子の身体描写である。 肥大した太腿、広い肩幅、鍛えて大きくなった身体に比して、小さな頭。そのプロポーションが、自然かつ美しく描かれている。レオナルド・ダ・ヴィンチがかつて導き出した理想の比率が、コートで躍動する、その美しさ、力強さ! 世界で闘う為に、極限まで鍛えられた身体に感動させられた後で、それがむごい程にぶつかり合い、弾き飛ばされ、振り解かれるのを見る時、私達は世界レベルの厳しさを共に体感する事になる。これでもまだ、敵わないのか……と。 日本の女子ラグビーの競技人口は2012年で2355人(https://www.jpnsport.go.jp/kokuritu/sisetu/kankou/tabid/409/Default.aspx )。世界1位のニュージーランドの約1万人には敵わないが、1988年の女子協会設立以来の普及・強化の努力で幼少からラグビーに親しむ女子も増え、その中から生まれた代表選手達が、より高い世界を見据えていた。 そしてそこに、他競技からの転向組が混ざり合っていく。 物語は陸上の円盤投げからの転向組・ラグビー歴1年の桑井亜乃選手が代表に招集されるところから始まる。 ラグビーにおいては当たり負けない事も重要だが、七人制では更に、走り負けない事が重視される。短い試合時間・速い展開・短いインターバルという特性から、気持ちの切り替えの速さも大切なようだ。 そういう点に強みを持っていれば、他競技で活躍してきた転向組にもラグビー経験の浅さを補ってチームを底上げし、鼓舞する可能性はある。 陸上の円盤投げで上を目指すのを諦めた桑井選手は、特性を見込まれてラグビーを始めるが、すぐに次を見据え前向きなスピリットで走り続け、苦しいチームに明るい風を入れる事で、リオ五輪出場の夢を繋いだ。そんな風に個人もチームも、例え挫折があっても、前向きにチャレンジし続ける事が大事なのだ、という事をこの作品は教えてくれる。 因みに、日本のラグビー女子競技人口は、平成30年度で4672人に増えた。(https://blog.rcn.or.jp/rugby/ ) リオ五輪代表の頑張りが、結果としてこの様な所にも現れている。その頑張りの軌跡、前を向いて進んだ姿の記録として、この作品は大事な物と言えるだろう。

鉄腕ガール

女子プロ野球に、太陽は昇るか。

鉄腕ガール 高橋ツトム
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

【世界と戦うアスリート漫画①〜スポーツコラム風に】 1934(昭和9)年、あのベーブ・ルースを擁した米国選抜チームを相手に一人、気を吐いた日本人投手がいた。その年、彼を中心に日本初の男子プロ野球チームが誕生する。 彼の名は、沢村栄治。背番号14。 学生野球が盛んな日本にようやく生まれたプロ野球の中心で、彼は自ら輝き、日本中を熱中させた「太陽」だった……というのは史実。 ★★★★★★ そしてここからは架空の話。 例えば太平洋戦争敗戦後に日本で女子プロ野球リーグを構想するとして、もし沢村栄治のような「太陽」が女子にいたら、どうなっただろう? カフェの女給を寄せ集めたチームの中に、ずば抜けた身体能力と負けん気を持った女がいた。彼女は化粧品会社の女性社長のチームで、日本を代表する豪腕……まるで沢村のような……に成長する。 彼女の名は、加納トメ。背番号14。 その豪速球とマウンド度胸は、周囲に夢を見させる。しかし彼女を待っていたのは、プロリーグではなかった。 女性社長と彼女の弟はプロリーグ構想を骨抜きにし、米国資本との賭け試合を仕掛ける。米国との「経済戦争」は日本中を熱狂させるが、その先に待っていたのは……。 プロリーグとは縁遠い場所で、加納トメは全身全霊で戦い続ける。勝負の場を作るために自ら前線に立ち、女が野球をやる権利を賭けた大博打を打つ。そして圧倒的な才能にも関わらず、常に格上に挑み、負けて当然のギリギリの闘いをする。 その姿は時に清々しく、時にひどく見苦しい。しかし彼女は周囲を惹きつけ、「太陽」として日本を明るく照らし、現代の我々の網膜にも忘れ難い影を焼き付ける。 ★★★★★ ……という強烈な印象を残す本作。その現実離れした物語は実際のスポーツ興行には参考にし難いと思われるかもしれない。しかし私達は本来、現実離れした圧倒的な才能・物凄いプレイを観たくて、競技場に足を運び、ニュースに一喜一憂するのではなかったか。 例えば『1518! イチゴーイチハチ!』の環会長や、『球詠』の選手達が将来飛び込む女子プロ野球の歴史に、もし加納トメがいたら……と想像するのはとても楽しい。それは彼女達が加納トメというとんでもない才能を目標にし、いつか凌駕し、歴史を上書きする瞬間を見せてくれることを期待するからだ。

ONE OUTS

反現代野球 〜神様、仏様、渡久地様〜

ONE OUTS 甲斐谷忍
影絵が趣味
影絵が趣味

甲斐谷忍の『ONE OUTS』といえば、正統派の野球マンガからはちょっと離れた洒落っ気のある野球マンガと思われがちですが、じっさい『ONE OUTS』ほど反現代的で泥臭い野球マンガはないでしょう。 NPBのシーズン最多勝記録は42勝で稲尾和久の手にありますが、42勝ですよ、バカなんですか。いまの野球では考えられない。当時は力のあるピッチャーが平気で連投していたんですね。まあ、連投だけなら無理をすれば誰にでもできますけど、連投しながら尚且つチームを勝利に導くとなるとはなしは変わってくる。ある年の日本シリーズにいたっては7試合中6試合に登板、そのうちの4試合で完投し、優勝をもぎとっています。そのときの新聞の見出しには「神様、仏様、稲尾様」と載ったのだとか。 稲尾はシーズン42勝の記録と同じ年に、シーズン与20敬遠という不名誉な記録も持っていて、これまたNPBの最多記録となっている。これらの記録からみえてくるのは、流しどころ、抑えどころをよく知っているということ、つまりは効率のよい勝ち方を知っているということだと思います。 まあ、何というか、連投、勝つ、敬遠、これだけでも渡久地とよく似ている感じがしてきましたけど、稲尾はさらに制球が非常に優れたピッチャーとしても知られている。球速は平凡で、変化球はスライダーとシュート、スライダーが決め球だと周りに吹聴していながら、本当の決め球はシュートのほうだったという食わせ者でもあります。 ほかにも、ささやき投法や、目の細さを利用したポーカーフェイスだったり、投げる直前で握りを変えたり、あらゆる要素を掛け合わせて勝ち星を取りにいく。ピッチャーとして非凡な能力を持っていたのはもちろんですけども、さらにそれに加えて一級の勝負師でもあった。それ故に無茶な連投しながらの42勝があるのでしょう。 マンガの世界の夢の投手だと思っていた渡久地のような選手が、じつは野蛮だったといわれる昔の野球に実在していたのは何とも面白おかしなはなしではありませんか。

キャプテン

コロナなんかクソ喰らえ!

キャプテン ちばあきお
影絵が趣味
影絵が趣味

新型コロナウイルスの影響で春のセンバツが中止になった。コロナなんかクソ喰らえ! 少年の頃から甲子園を夢みて日夜練習に励んでいた球児たちのことを想うとほんとうに涙がでる。色々と救済案が検討されているらしいが、おそらくどれも大した効果は生みはしないだろう。奇跡的にも90回、100回と聖地・甲子園の地で途方もない熱戦を繰り広げ続けている大会だからこそ球児たちの憧れになる。この奇跡的な歴史の積み重ねの上に、こんどは自らが新しい歴史を刻んでゆく、これほどの夢がほかにあるだろうか。 ジタバタしていても仕方ないので、ちばあきおの『キャプテン』を読む。もちろん、イガラシ編の春の選抜大会の巻だ。大会に向けた過激な練習が教育ママの松尾の母ちゃんに問題視され、そんなタイミングで運悪く松尾が怪我してしまい、イガラシは校長から選抜辞退を宣告される。 ジタバタしていても仕方がない。いまこそ我々はちばあきおの『キャプテン』を読むべきなのだ。可哀相な事態が起こったから救済措置を設けますといったって、この世界はマイナス1に1を足せばゼロにもどる数式のようにはできていない。無念は無念のまま残り、救済は救済としてあるかもしれないが無念とはすれちがったままだろう。それどころか、救済が何らかの形で夏の大会にまで及べば、さらなる無念や軋轢を生むことは想像に容易い。いまこそ我々は『キャプテン』を読むべきなのだ。

湯神くんには友達がいない

絶対にブレない主人公

湯神くんには友達がいない 佐倉準
六文銭
六文銭

もう3回くらい繰り返し読んでいるけど、本当に好きな作品。 なぜかの理由は言葉にするのは難しいのだけど、 ストーリーの起承転結がしっかりしてて、キャラも良い感じにたっているということだと思う。 ほんのりギャグ風味でラブコメ風味なのも自分の好みにあっている。 主人公は、 「友達なんていらない」と言っているちょっと変わった主人公で、 終始そのスタンス貫き通して高校3年間が終わる。 その間に、クラス内とか、部活とかでいざこざあるのだけど、絶対にその姿勢はブレない。 高校生くらいだと、もっとコミュニティとか、なんかつながりとか、きずな?とか大事にするだろ!と思うが湯神くんはしない。 自分の価値観に則って、大衆に全く迎合しないのだ。 趣味、落語とか城めぐりだし。(おっさんかよ) 高校生にして達観しすぎてて、なんとも清々しくて逆に許せてしまう。 最後のほうは、あぁこれが湯神くんだな、なんて妙に納得してしまう始末。 ヒロインのちひろちゃんとの距離感もよい。 お互い気になりながらもつかず離れずな関係で、ベタベタしない。 (ちひろちゃんも、また良いのです。時々、素っ頓狂な顔するのがたまらない。) そんな感じで、ちょっと変わった価値観をもったブレない生き方をする主人公の話。 他では味わえない一風変わった青春群像劇です。