蕗ノ下さんは背が小さい

コビトも鬼も恋してカワイイ! #完結応援

蕗ノ下さんは背が小さい 依澄れい
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

タイトルになっている、花コビト属の蕗ノ下さんがカワイイのは、もうカバーイラストで分かりますよね?コビトで可憐な容姿で、頭に花を咲かせていて、更にしっかり者とくれば……間違い無いな! しかし彼女が一番カワイイのは、幼馴染の鬼ヶ島君(オニくん)と一緒にいる時。寄り添う安心感と秘めた恋心に、くるくる表情を変える蕗ノ下さん、愛らしい! そんな蕗ノ下さんの、素顔を引き出すオニくん。彼はオニ属と人間のハーフで、ヤンチャな子だけれど、蕗の下さんの前では安心した優しい顔だし、蕗の下さんが好きで簡単に赤面したり。怖い男子の素の表情、これまたカワイイ! オニくんの胸ポケットで悶える蕗ノ下さんを見て悶えるオニくんのダブル悶々、威力は2倍じゃない、100倍だ! つい「幼馴染」を強調してなかなか踏み込めない両片想いは、お約束のパターンではありますが、「早くくっつけよ〜」とヤキモキしながら次を求めてしまう、安定の中毒性。 異種属が集まる高校で、様々な恋模様あり、異種属恋愛の難しさや、差別意識なども読み応えのある内容で、二人の将来や様々なカップルの先行き等、もっと読みたかったのですが、3巻で完結。惜しまれますが、とぉーとぉーい素敵ラブコメでした! 蕗ノ下さんの妹達の物語で続編……読みたいなぁ。

クワトロバッテリー

2組のバッテリー、4通りの可能性 #1巻応援

クワトロバッテリー 高嶋栄充
sogor25
sogor25

野球マンガにおいて、投手と捕手の一組・"バッテリー"は絶対のパートナーとして描かれることが多い。野球というスポーツの特性上、攻撃は全員参加なのに対し守備は投手の占める比重が異常に高く、投手及びサインを出して投球をコントロールする捕手は、個々の能力以上に2人の間に強い信頼関係がないと成り立たないからだ。では、そのバッテリーが1チームに"2組"いるとしたら、果たしてどうなるのか。 幼馴染で中学からバッテリーを組む投手の夏速一汰と捕手の虹村優多郎、そして2人とは別の中学で天才バッテリーとして名を馳せる投手の天宮地大と捕手の氷波蓮。この4人が同じ高校に進む所から物語が始まる。当然中学時代は個々のバッテリーしか知らなかった4人は、高校でそれぞれの人間性や才能に触れるうちに徐々に心境が変化していく。 夏速はコントロール度外視で誰よりも速い球を投げることに全てを懸けていて、それに幼い頃から付き合ってくれていた虹村に全面の信頼を置いている。 虹村は夏速に対して絶対の友情を感じてはいるが、抜群のコントロールを持つ天宮の球を受け、"配球"という捕手としての醍醐味を初めて感じる。 天宮は自分への絶対的な自信から中学の頃から氷波と対立していたが、氷波の能力を最大限に認めていて、自分と組むのは彼しかいないと思っている。 氷波も同じ思いではいたが、ノーコンの夏速の投球を自身の指導で劇的に改善させられたことから、夏速を教育して成長させることの楽しさを感じ始めている。 というように、元々が別々の2組のバッテリーだった4人が同じチームになることにより、いつのまにか一方通行の4人片思いのような状態となってしまっている。しかも、それぞれの気持ちのベクトルの原点が元々の信頼関係や選手としての能力、もしくは自己実現の楽しさのような感情であったりと様々。 この"一方通行の四角関係"が、本来投手も捕手も1人しか試合に出られない高校野球という舞台においてどういう化学反応を引き起こすのか、これまでの野球マンガでは見られなかったものが見られそうでとても楽しみな作品。 1巻まで読了。

腸よ鼻よ

内臓までエンターテイメントにできる天才

腸よ鼻よ 島袋全優
野愛
野愛

世界一面白い闘病漫画ここにあり。 漫画家を目指すうら若き女の子に突然訪れた悲劇、なんだけど読んだら絶対笑う死ぬほど面白い漫画です。 漫画を描いては入院し手術し、退院して漫画を描いては入院し…という楽しくないはずの日常をひたすら楽しく見せてくれます。 クソな医者にあたったことも、駅のトイレ使っただけで感染症になったことも、成人式行けなかったことも全部全部笑いにするんだから全くん(お姉さんの呼び方で呼びたい)すげえな!かっけえな!ってなります。 全くんがストーマの袋たっぷんたっぷんにしながらプロレス観戦して一緒に写真撮ったスーパーマンタロウの中の人より元気に生きてるもんな。マンタロウの中の人は最近病んでてちょっと心配。嫁かわいいのにな。 いちばん笑ったエピソードは美容師にリーゼントにされて海に行った話なので病気あんまり関係ないですね。 腸があろうとなかろうとこの人は世に出ていただろうという面白さ。自分の内臓までエンターテイメントにできる人間なんてなかなかいないよ、天才としか言いようがない。 ガンマと言えば腸よ鼻よとはずネジが二大巨頭よね。異論は認めません!

おじさん、ドル活はじめました!

アイドルを好きになることのポジティブな効果

おじさん、ドル活はじめました! シバタヒカリ
hysysk
hysysk

私もおじさんですが最初にK-POPを好きになったのは約10年前。KARAや少女時代、2NE1が活躍していた頃です。f(x)が初来日すると聞きつけて東京国際フォーラムにも行きました。めちゃくちゃ女性客が多くて、こんなに女性のファンがいるのか?と驚いたのですが、一緒に出演していたSHINee目当てだったことが判明(青春不敗というテレビ番組の記念イベントだったのだけど、そういう文脈を知らなかった)。女性ファンのお洒落さと、いい匂いに衝撃を受けました。 当時男性ファンが中心のアイドル現場に行くと、悪臭で不快な思いをするし、服装もだらしないので、正直周りから同類だと思われたくないという気持ちが強かったのですが、女性ファンには「好きな人に会いに行く」という意識を感じました(握手の前にお手拭きを使っている人もいた)。 前置きが長くなり過ぎました。 話自体はおっさんがアイドルを好きになることで、会社でも若者と打ち解け、家庭の絆も深まり、いいことづくめというご都合主義的なもの。でも、これ実際本当にいいことづくめなんですよ。アイドル達はダンス、歌、語学とあらゆる面で努力しており、その姿を公開しています。ファンはそれに刺激されて、自分も頑張ろうと思う。そういう熱量が描かれています。熱量だけでなく、節度(自分の振る舞いが周りにどう影響するか)についても。当初は3話の予定が7話になったとのことですが、もっと長く続けて、K-POP業界の仕組みや文化(カムバックとかトレーニングとかオーディション番組とか)も解説的に描いて欲しかったです。 私もNizi ProjectをきっかけにK-POP熱が再燃、TWICE、ITZY、BLACKPINKとはまっていき、挫折した韓国語の学習も再開し、ようやくハングルは読めるようになりました。早く歌詞や会話をダイレクトに理解できるようになりたい。そして踊れるようになりたい。。

となりの席は外国人

多国籍でパワフルな小学校の日常!!

となりの席は外国人 あらた真琴
たか
たか

私が町立小学校2年生のとき学年に3人のブラジル人の子がいました。1学年だいたい100人なので外国人率は3%。これは令和2年の川崎市と同じ外国人割合なんだとか。 90年代のブラジルの経済状況と、日本の法改正により日系3世に定住資格が与えられたことが重なり、工業団地があるうちの地元にたくさんのブラジル人が家族を連れて出稼ぎに来ていたんですね。おかげで今でもゴミ捨て場は日葡併記です。 この作品は私の母校のよりも遥かに広く、世界中の国々の子供たちを受け入れる日本の公立学校のお話です。 https://dokusho-ojikan.jp/serial/detail/t51291 まず冒頭は入学式から始まるのですが、もうこっからすごい!! ティアラをつけお姫様のようなドレスで来る子に、欠席する子(入学手続きをしたものの親の事情で国に帰ってしまった)など、「こいつはとんでもねぇぞ…!」と初っ端から面白さが止まらない。 和式便所の使い方がわからない…などは定番かも知れませんが、運動会でドレッドヘアや、遠足にマックのセットなどなど、「その発想はなかった…!」という文化の違いがバンバン出てきて圧倒されます。 何より読んでいて楽しいのが、学校での子供たちのパワフルさとエキセントリックさ…!! もう、どの子も元気いっぱいで自由気ままでメチャクチャなんですよね。 元気いっぱいのユリア、心配性のビト、お嬢様シェイラ、自由人のアレンetc...。次から次へとまだ出てくるのかと驚くぐらい、様々な子が登場しエピソードには事欠きません。 「いやそんなことある!? 」というようなやらかしに笑いが止まらない一方で、自分が先生でこれを全部対処する側だったら…という考えが一瞬、頭をよぎってゾッとしてしまいました。先生たちすごい…! 最近ではいじめだけでなく、言語の習得が上手く行かずダブルリミテッドとなってしまうケースなども聞かれるので、こうして日本の学校で憂いを知らず元気いっぱいに過ごす子供たちの姿を見るとホッとします。 日本で子供時代を過ごす全ての子に、こんな風に楽しい学校生活を送ってほしいと思わずにいられません。 「庶民の娘ですがセレブ学校へ通っています」が、日本で多国籍の子女に欧米流の教育を施すインターナショナルスクールエッセイだとしたら、「となりの席は外国人」はそのカウンターとなる、日本で多国籍の子女に日本流の教育を施す公立学校エッセイ。両方合わせて読むのがおすすめです。 読めば間違いなく元気が出ます。笑いたいときにぜひどうぞ…!