ハックス!

アニ研ものって定期的に面白いのが出てくるよね

ハックス! 今井哲也
さいろく
さいろく

「映像研には手を出すな!」でアニメ映像を作る学生達のストーリーが話題となったの昨今ですが、アニメを作る学生さん達の作品は定期的に生まれていると思うのです。 「迷走アニ研部」ていう同人も読んでて面白かったんですが、描きたいことがきっと共通しているのです。それはきっとアニ研の楽しさだったりアニメの素晴らしさだったりアニメを作る大変さだったりなんだけど、それをマンガにするだけだと商業的に成り立ちにくいのでどうしても奇抜な方向に行きがちなのです。 この「ハックス!」は商業的に難しい方の路線ですが、ちょいちょい学生であることによる面倒くさいところが含まれてたりして(映像研はそこも深堀りしてますね)バランスが難しいんだけど、ハックス!のとっつきやすさは絵柄なのです。 失礼ながら画力でいうと中の下ぐらいな印象だけどそこも相まって善悪がわかりやすすぎるがために深読みしなくて済むのも良いところで、これもストーリーに集中できるポイントであると考えます。 学生時代アニ研に憧れる事はなかったけど、実際どういうことしてるんだろうなーという興味はちょっとあったなー 見てみたかったなー などと歳を取ると昔の自分に活を入れに行きたくなりますね、しみじみ。

木根さんの1人でキネマ

映画が知れて、観たくなる漫画

木根さんの1人でキネマ アサイ
六文銭
六文銭

小生、映画が苦手なんですよね。 理由は簡単で、自分のペースで進められないから。 自分のほうが早いとか遅いではなく、自分のテンポと関係なく進むのが苦手なんですよね。 ん、今の何だ?と、少しでも気になるところがでてくると、先の展開が頭に入ってこないんですよ。 家でなら巻き戻せますが、映画館なんて、ずっと悶々としてしまいます。 本作は、そんな映画に取り憑かれた映画オタクの妙齢の女性が主人公。 映画をみては、その感想をブログにアップし、映画を語り合いたいが自分の価値観を曲げられないのでボッチで楽しむという内容。 毎回、何らかの映画(多くは誰もが知っているようなヒット映画)を題材にして、内容や感想、制作の背景、はてはそこから派生する作品まで紹介してくれるので、みてなくても映画を詳しくなれる感じがします。 また、熱量高く何が面白いのかを説明してくれるので、自分のように映画が苦手な人間でも、ついみたくなってしまう勢いがあります。 動画サービスとかによくある「あなたにおすすめ」といった、作品を並べただけのレコメンド機能がありますが、よっぽど人によってテンション高く紹介されたほうが心が動くなぁと思います。 また 映画は観賞ではなく体験だ とか 人には人の「面白くない」を変えることはできない など、エンタメ系関連の価値観を表した金言が多くて、そこもまた面白いんですよね。 それにしても、木根さん、というか作者の映画の知識量にはうなりますね。8巻までですが、凄まじい量の映画を紹介してくれます。 映画をよくみる人はもちろん、自分のようにあまりみないけど、なんか面白い映画ないかなと思ったときに、参考になる漫画かと思います。

数学ゴールデン

高校数学の最高峰を目指す#1巻応援

数学ゴールデン 藏丸竜彦
六文銭
六文銭

絹田村子先生の「数字であそぼ。」もそうですが数学系のマンガが出てきて、かつて数学好きだったものとしてはホクホクします。 youtubeでも数学を解いている動画が増えて、個人的に世は数学ブームなのか?と期待してます。 (意図的に自分がそういう情報を拾っているだけという噂も) 数学の世界って何が面白いのかって、理論のほうが現実よりも先行しているってところなんですよね。 理論的には正しいことを証明できるけど現実で観測できない(むしろ実態がない)とか、なんで星の数ほどあります。 昔、自分が数学に夢中になったエピソードの一つが虚数です。 2乗するとー1になるものをオイラー先生が「i(アイ)」と設定し、ガウス先生が実数と虚数をあわせて「複素数平面」として導入したのが、1700~1800年代。 もう200~300年くらい前なのですが、これが今の携帯電話の回路のなかで使っていると聞いて、ぶったまげましたよ。 稀代の天才たちが水も漏らさぬ理論を作り上げて、テクノロジーが進化することで凡人たちにも活用されるとか、どんだけ数学が先行しているのかを物語るエピソードだと思います。 数学の凄さと面白さを知った青少年時代です。 (その後、大学で数学の深遠なる闇を知って挫折したものです。高校までの数学とはなんだったのか?となる感覚は「数字であそぼ。」をお読み頂くとよくわかると思います。) さて、本作は、高校数学の最高峰ともいえる「数学オリンピック」を目指す主人公の話。 部活でインターハイを狙うとかはよくありますが、数学オリンピックとはなかなかニッチなライン。 これが理解されず周囲の嘲笑の的になってますが、それでも自身の強い思いで目指す姿と、また主人公は有名私立高校を落ちて、数学オリンピック出場者がでたこともない高校から目指すハングリーなところも良い。 やっていることは頭脳戦だが、熱いスポ根の臭いを感じます。 一風変わった、だけど同じ目標をもつヒロイン(?)七瀬マミも、なんだかんだと切磋琢磨し、今後才能を発揮しそうな予感。 数学という思考世界に情熱を捧げる高校生の姿も、スポーツと違ってまた良いものですよ。