名作マンガの感想・レビュー1459件<<4243444546>>たまに読みたくなる安定した面白さの少年漫画結界師 田辺イエロウ名無し王道少年漫画が読みたい、サンデーっぽいの! と思って読むのですが何回最初っから読んでても面白い。 まずこの結界を作って攻撃、防御、封印までやるってのすごいですよね。 ただ四角を作って、というモーションで少年漫画の戦闘シーンとしては地味なのではと思ってしまうところを描写、表現力で補ってしまう。 妖もでてくるし、組織の陰謀みたいなものも見え隠れし始めるし少年の理想が詰まってて長編なのに飽きずに読み続けられます。 多分難しいところとか、読みやすいところとか両方詰まってるので大人でも子供でも読めるものではないかと。 烏森を守る、結界師という仕事、幼馴染、要素も設定もすごく練られているのに読み手が迷わず読みやすいように導いてくれる。 しかも主人公の良守に知らず知らずのうちに感情移入して好きになってしまう。 こういう安定した少年漫画読むとすごく幸福感覚えます。 家の本棚に1セット揃ってて欲しい漫画。 あなたは時給250円で働けますか?GS美神 極楽大作戦!! 椎名高志名無しあなたは時給250円で働けますか? 多くの人が無理だと言うでしょう。僕だって嫌です。しかし、『GS美神 極楽大作戦!!』の横島忠夫は、雇い主がもう辛坊たまらんいい女だったからという邪な理由だけで、この薄給バイトに命をかけます。かける事ができる男です。 『GS美神 極楽大作戦!!』は、美人で優秀で傲慢で強欲でボディコン(時代をうかがえる単語です)なゴーストスイーパー・美神玲子が笑いながら悪霊をしばき倒す、一言でいえばそんなマンガです。主人公は美神玲子ですが、主な読者であった中高生男子が感情移入していたのは、アルバイト・横島忠夫の方でした。 前述のように、横島君は労働基準法に真っ向から違反した驚異の時給250円(美神さん自身は大金持ち。大金持ちこそケチなものです)で赤貧生活を送っています。何度か「このままでは生活できない」と考えますが、美神さんの色香に迷ってやめることができない。下半身に非常に忠実です。そんな野獣のような横島君は、(人間として)汚い、いやしい、根性無し(エロは除く)の3拍子そろったダメ人間。プライドなんてものはとうになくし、もはや失うもののない彼は、それはもう、すがすがしいまでの本音を吐きだします。(師匠のようなものに、自分の力を信じろと言われて)「この世に自分ほど信じられんものがほかにあるかあああ」。(完全に追い詰められた状態で)「死ぬ前に一度全裸美女で満員の日本武道館でもみくちゃにされながら「ジョニー・B・グッド」を歌ってみたかったーーー」。中高生の心の底を代弁してくれた横島忠夫も、ゆっくりと成長していきます。ダメな部分があるからこそ、物語のだれよりも立派に成長する横島忠夫の姿に、“共感”から“憧れ”を感じるように変わっていくのです。史上最強の医療"マンガ"を挙げるとするなら敢えてこれを推したい医龍 乃木坂太郎 永井明mampuku 「医療」をテーマにした小説、ドラマ、漫画には数々の名作が存在し、また現在進行系で面白い作品が生まれ続けています。しかし、こと「医療マンガ」において『これは医龍超えたやろ!!』と思える作品ってぱっと思いつかなくないですか? 小説や実写ドラマでは追求しきれないであろう面白さという点で完成されてるんですよね。 ひとくちに医療モノと言っても、①「外科医・救命医を主人公にしたヒロイックな作品」 ②「ドロドロ院内政治」 ③「病院内人間ドラマ」 ④「社会派」などなどさらに細分化できるかと思います。『医龍』はほぼ全域を網羅しつつも①と②に特化した漫画として最高クラスの名作ですね。連載中のものだとフラジャイルやコウノドリなども文句なしに超面白いではありますが、医龍とはジャンル違いな感じです。 凄腕外科医が主人公の漫画って少年漫画のような熱さ・ワクワク感が魅力なので、そういう少年漫画、そろそろ登場してほしいです(ゴッドハンド輝みたいな)ハードな物語を彩る、青臭さを超越した名言の数々エリア88 新谷かおる名無しアスランと言えば、『機動戦士ガンダムSEED』とか『ナルニア国物語』ではなく、当然『エリア88』が出てくる3X歳です。『エリア88』に登場するアスランは、中東にあるとされる架空の国の名前。アスランを舞台に空を飛び戦うことしか許されない男たちの生き様はいまだにオッサンたちの心を熱くするのです。 主人公・風間真は日本人。アスラン王国に雇われた戦闘機パイロットとして、空軍基地エリア88に駐留しています。もともとは大和航空の旅客機パイロットとして将来を嘱望されていたのですが、親友の神崎悟の姦計により、大和航空令嬢で恋人の涼子を置いたまま外人部隊に入隊することになります。 シンとアスラン王国との契約は3年間。3年間生き残り、契約を満了するか、違約金150万ドル(当時のレートで日本円3億円)を支払わなければエリア88からは脱出できません。シンはかつての親友・神崎への復讐と愛する涼子のため、この地獄を生き抜く覚悟を決めます。 エリア88にはシン以外にも、、脛に傷持つ男たちが多く集まっています。シンの盟友・ミッキーはベトナム戦争時にアメリカ海軍のパロットとして活躍しましたが、復員後の平和な日常に馴染めずエリア88に来てしまいました。対地攻撃を得意とするグレッグはソビエト連邦からの亡命者の運び屋をしていましたが、ある事件がきっかけでエリア88に流れ着いてきました。歴戦のパイロットそれぞれに事情があります。 『エリア88』の面白い所は、やはり彼らが正規軍人ではなく傭兵であるところです。彼らは国や軍を守るためではなく、ただ自分のために戦います。罰金を払うことで、ある程度の任務の選択もできますし装備の選択も自腹で自由。生き残るために装備を整えれば違約金まで遠くなりますが、怠ればすなわち死…。自身の能力・装備と、任務の難易度を天秤にかけるのです。 物語は、エリア88の個別の作戦から、やがて世界を支配する軍産複合体・プロジェクト4の陰謀まで広がります。傭兵個人の想いを描きながらも大きな大きな物語が展開し、綺麗に完結するという、稀有な名作なのです。 また、忘れてはいけないのが、松本零士作品とも通じる“漢ポエム”があります。「頭上をかすめる排気音…青く輝く誘導灯…地獄を照らす着陸灯…その日、悪魔は“生きろ!”といった…」ハードな物語を彩る、青臭さを超越した名言の数々は、日々、板挟みにあえぐサラリーマンにも意外と通じている気がします。苦しいときに、『エリア88』の名言を思い出して踏ん張っている僕は、色んな意味でどうかしているような気がします。 『巨人の星』のエピローグ新巨人の星 梶原一騎 川崎のぼる名無し大リーグボール養成ギブスやちゃぶ台返し、車を運転する小学生など、自分が生まれる随分前の作品だというのに『巨人の星』について知っている自分に驚きます。 昨年には野球からクリケットに換骨奪胎した『スーラジ ザ・ライジングスター』の放送がインドで開始され、『巨人の星』という作品の遺伝子は世界にも広がり続けています。この『巨人の星』ももちろん面白いのですが、それよりも私が好きなのは、星飛雄馬のその後を描いた『新巨人の星』です。 『巨人の星』で描かれていたのは、星一徹の執念によって生まれた星飛雄馬という野球マシーンの誕生と崩壊です。自分の果たせなかった夢を、息子・飛雄馬に叶えさせようとする一徹は、はっきり言って異常です。こどもらしい遊びもできず、ただ野球のために生きる飛雄馬のクライマックスが、父・一徹との対決です。そこで自分の野球人生を犠牲に、ようやく父と野球の呪縛から解き放たれ、関係者の前から姿を消す飛雄馬…というのが『巨人の星』のエピローグ。 星飛雄馬が消えた数年後から『新巨人の星』ははじまります。結論からいえば、飛雄馬は野球以外のものを見つけることができませんでした。盟友・伴宙太と花形満は、星飛雄馬のいなくなったプロ野球に興味を失い、それぞれ親の会社を継ぎ普通の生活に戻りました。あの星一徹でさえも、花形満と娘・明子の結婚を見守った後は、完全な隠居として野球からは離れています。しかし、左腕が破壊された飛雄馬だけが、まだ“巨人の星”になるという妄執から離れられずにいるのです。いまだ、燃える目の星飛雄馬を目撃した星一徹はひとりごちます。「時代は移り いや終わり わしは老い果てた… もはや戦ってやれんついていけぬ!な なぜやつは…!?」。造物主である一徹の手を離れ、暴走をはじめた飛雄馬の行動は、普通の生活に戻ったはずの伴宙太、花形満、そして星一徹の心にも火を付けてしまいます。 一度失ったはずの夢を追い始めた漢たちの、頼もしくもどこか物悲しい姿を是非読んで欲しいですね。多芸多才なマンガケロロ軍曹 吉崎観音nyaeギャグはもちろん、戦闘、メカ、SF、萌え、ツンデレ、ヤンデレ、二重人格、オタク、忍者、お色気、パロディ、百合、そしてたまに泣かせにくる何でもありなオールマイティ漫画。 アニメはサンライズ、漫画は少年エースということで、ガンダム、エヴァあたりのパロディをこれでもかとしてます。 まず主人公のケロロがガンプラオタク(かなり重度の)です。 今や人間とは絆も深く仲良しだけど、依存関係にないところがいいですね。 吉崎先生が生きてる限り、続いて欲しいマンガです。漫画好きは大抵好きベルセルク 三浦建太郎名無し数あるダークファンタジー作品の中でも本当に傑作だから、まだの人は1度読んだ方がいいです。 私は初め、絵が濃くて苦手だな~と思って手が出なかったけど、ストーリーが面白くて、読み進めてしまいました。 正義の味方と悪者っていうはっきりしたものじゃない、人間の業?を描いている気がします。心理描写が細かくて、キャラクターを理解しやすいのも良いです。あと異形な者とか闇のモンスターのデザインが凝っていて素敵です。 「これしかない人生」を歩む神々の山嶺 谷口ジロー 夢枕獏名無し僕の地元・長野県には、中学校集団登山という拷問のようなイベントがありました。一学年240人がみんなで3000m級の山に挑むという荒行です。しかも、登る予定の山で起きた遭難事故を描いた新田次郎の「聖職の碑」の映画版を見せられるという、嫌がらせとしか言いようのないオマケもついていました。とはいえ、このイベントで山に目覚めた人もいないわけではなく、それなりに意味のある行事な気もします。僕は下山中に便意に襲われ、6時間死ぬ思いで我慢するという、これまでの人生で一番の苦行を味わったので、二度と山には登らないと決めています。 とはいえ、山ものの作品を読むと、山もいいかもしれないと思ってしまうのです。『神々の山嶺』は数多い名作を生み出し、海外でも評価の高い谷口ジローのまさに最高峰だと思っております。 『神々の山嶺』には羽生丈二という一人のクライマーの姿が、カメラマンの深町誠の視点から描かれます。 この羽生丈二、初登場シーンから圧倒されます。「その時…むっと獣の臭いが店内にたちこめたような気がした」。この存在感がどこからくるのか、深町は彼の過去を調べていくのです。 羽生を関係してきた様々な人に取材していくうちに、彼の孤高としか言いようのない半生が明らかになっていきます。 羽生は可愛げのない、根性はあっても鈍重で無口な男でしたが、クライマーとしては抜群の才能を発揮。しかし、全てを山に集中する羽生は、普通の生活を送る人間と温度差がうまれ、山岳会でも孤立していきます。誰もが登れなかった壁を登り、山岳界の話題をさらうものの、羽生自信は不遇のまま。海外の山に挑戦することができません。 誰よりも山を想っているのに資金や人脈や名声がないだけで、挑戦できない苦しみを味わい、自分を慕う人間の死があり、やがて羽生は自分から孤立していきます。そして消息を断った羽生がなぜカトマンズにいたのか?彼がなにをしようとするのか、物語は加速していきます。 羽生の姿は、新田次郎の小説ではないですが、まさに「孤高の人」なのです。孤高の人は、人の共感は求めません。自分でも言葉にできない衝動に突き動かされるまま、「これしかない人生」を送るのです。 羽生はいいます「いいか。山屋は山に登るから山屋なんだ。だから山屋の羽生丈二は山に登るんだ!!」また、なぜ山に登るのかという問にこう答えます。「そこに山があったからじゃない。ここにおれがいるからだ」 「これしかない人生」を送る男の寂しさと美しが同時に描かれ、僕もこのような生き方に強く憧れるのです。 いや、既に僕は僕にとっての「これしかない人生」を歩んでいるかもしれない。この、マンガとゲームにあふれた人生は。ちばあきお漫画を動揺させる御馳走という存在プレイボール ちばあきお影絵が趣味夏の甲子園の県予選がはじまっているので、性懲りもなく『プレイボール』を読み返している。 語弊を恐れずにいえば、ちばあきお漫画の魅力は味気のなさにあると思う。野球に熱心すぎるあまり、ひたむきすぎるあまり、本気で打ち込むあまりの味気のなさである。「勝利の味をしめる」という言葉があるが、『キャプテン』にしても『プレイボール』にしても、負け試合はもちろんのこと勝ち試合においてもどこか苦い雰囲気が拭えないのである。『キャプテン』のイガラシ時代の夏の決勝戦、西の強豪・和合中との雨の決戦はどうだったか、全国制覇を成し遂げたというのに不思議なまでのあの味気のなさは。 ところが、そんな試合に勝ってまで味気のないちばあきお漫画において、奇妙に味気のある数コマがおよそ一巻に一度ぐらい落とし穴のように潜んでいる。それすなわち御馳走の時間である。 田所先輩の代こそは元々が弛んでいるので、まだ御馳走はみられないが、まさしく田所先輩たちが引退して谷口が次のキャプテンに指名される日から落とし穴のような御馳走がひっそりと潜んでいる。薄汚い部室にテーブルを囲い、それぞれの席には簡易的ながら紙のナプキンが敷かれて、その上に可愛らしくお菓子やフルーツやジュースの瓶が乗っている。野球一筋のこのマンガにおいて、なんと奇妙で戦慄さえ憶えかねない一コマであることだろう、淡々とただひたすら野球に打ち込むばかりのコマの連なりのなかで不意に挿入されるこの紙ナプキンの上の御馳走たちはスリリングとさえいえないか。 この送別会の御馳走を先がけに、新入生の歓迎会ではふたたび囲んだテーブルに紙ナプキンが敷かれて、出前の兄ちゃんが蓋付きのカツ丼を運んでくる。大会の谷の日には田所さんが激励にアイスクリームを紙袋にたくさん詰めてもってくるし、鰻丼かと思いきやカツ丼の上を御馳走してくれるし、熱戦の翌日の休養日には丸井が谷口家を訪ねるさいのお土産として鯛焼きを持参して、しかもそれらは丁寧に紙の上にあけられる。そして極みつけにはOB会の発足パーティー、またしても薄汚い部室にてテーブルを囲み、もはや簡易的な紙ナプキンではなくテーブルクロスが敷かれ、御馳走に加えて瓶ビールまでが用意され、スリリングはさらに加速する。ここで注目したいのはこれらが単なる食事ではなく、それ以上に丁寧に格式張っているということにある。ちばあきお的マンガ世界において、彼ら野球少年たちは基本的には野球という社会のなかに閉じた存在である。その閉じた世界に不意に出現するイロモノめいた別の社会(すなわち御馳走という格式)はあまりに滑稽であり、その場を動揺させずにはいられない。しかも、その御馳走が部活の聖地ともいうべき部室にひろげられたさいには事尚更である。 味気のないちばあきおマンガが不意に彩りをみせるとき、その場は途端にスリリングに動揺しはじめ、物語に緩急と躍動とをもたらしているらしい。 個性的というにはあまりに強烈なキャラクターたちエアマスター 柴田ヨクサル名無し格闘漫画は昔から変わらず人気のあるジャンルです。主人公とライバルが肉体と精神をガチでぶつけあうというシンプルなパターンからは、数々の名作・名シーンが生まれました。このジャンルは歴史は古く、作品も多いですから、90年代以降になると、ただ闘うだけではなく、テーマにしろ描写にしろ、特色のある作品が増えてきたように感じます。この『エアマスター』の特色がなにかといえば、それは「過剰な熱血」と「とんでもない“勢い”」です。壁にぶつかり、新体操の夢を諦めた女子高生・マキが、ストリートファイトを通じて、自分のなかに眠る「エアマスター」という“怪物”を覚醒させるというのが、物語の本線です。このマキの前に立ちふさがるのは、個性的というにはあまりに強烈なキャラクターたち。たとえば北枝金次郎。地元では負け知らずで、黒正義誠意連合を率いる金次郎も、アクの強い強敵たちに連敗。自分を見失い、謎のヒーロー「シズナマン」に改造されてしまいます。そんな金次郎も、物語の終盤で本来の自分を取り戻し、雄叫びをあげます。はじめは小さな「おおおお…」という叫びも、最後にはみたことのない大きさ(の文字)になり、その絶叫とともに最強の敵に立ち向かっていく。14ページにわたり150文字以上の「おおおお…」がつづくシーンを、そこだけ見たら「なんじゃこりゃ」と思うかもしれません。ただ、1巻から続けて読み、北枝金次郎というキャラクター…いや“人間”を知っている読者なら、絶対に必要なシーンだとわかります。150文字以上の「おおおおおおお…」を絶叫する、これが北枝金次郎だと。クセのあるマンガだと思います。全く合わないと言う人がいるのも分かります。ただ、魂が共鳴するような体験を一度味わえば、読み返すたびに何度でも、異常な勢いと熱量が蘇るのです。どんなに落ち込んでいても「エアマスター」を読み始めるだけであの「おおおおおおおお…」が条件反射のようによみがえる、そんな一撃必中なカンフル剤のような作品です。 医局の政治と変革医龍 乃木坂太郎 永井明名無し『シグルイ』の冒頭にはこのような言葉があります。「封建社会の完成形は 少数のサディストと多数のマゾヒストによって構成されるのだ」。『医龍』を読んでいて、この言葉を思い出しました。民主主義な現代日本を舞台にしていながら、『医龍』に描かれる医局はまさに封建社会そのものなのです。 『医龍』で描かれるのは医局の政治。医局の中は完全なる上下関係で、大多数の人間は上から押さえつけられ、自身の弱さにあえぐことになります。この作品内において、絶対的な強者が二名います。一人は胸部心臓外科を支配する医局長の野口。そしてもう一人、圧倒的な腕をもつが故に、組織に属さずにいられる天才外科医・朝田。 そして、最も大事なキャラクターが、医局内で最も地位の低い、研修医の伊集院です。物語は、医局で大過なく過ごすことしか考えていなかった伊集院が、天才・朝田との出会いによってどのように成長していくのかがポイントになっていきます。平凡な伊集院が、どんな道を選びのか…それが医局の変革になっていくのです。 伊集院が朝田というスターを見ながら自分自身の道を探していく過程はとでも面白いのですが、私は彼らの周りにいる弱者に興味が移ってしまいます。 とくに木原と霧島の二人が好きです。伊集院のかつての指導医・木原は、上に媚び、下に強くあたる人間です。医局から追い出されるのを恐れ、よるべき大樹を常にさがしています。そこに野口の推す教授候補として現れたのが霧島。霧島はかつて、朝田に罪をなすりつけ当時いた大学から追い出したことがあります。朝田の天才的な技術に羨望と同時にコンプレックスを感じているのです。 木原は当初、野口の推薦ということで霧島に取り行っていましたが、だんだんと霧島に共感していくのです。14~15巻のエピソードにそれが描かれています。手術中、霧島のミスをかばい、自身が医局から追い出されるかもしれない時、木原は全てを野口に言おうかと思います。けれど木原はそれをしませんでした。あの弱い木原がなぜそうしなかったのか…ここは屈指の名シーンです。その言葉に、霧島は朝田へのコンプレックスから解放され、自分だけの道を見つけることとなります。 ただ、霧島と木原の関係が、これで終わらないのもこの漫画の面白いところ。紆余曲折を越えた最終エピソードでも一番の輝きを放っていたのが、この木原と霧島。平凡で、ずるくて、弱いけれども、それでも前にむかおうとする普通の人々が美しく思える漫画なのです。読み返したい漫画フルーツバスケット 高屋奈月名無し最近のアニメ化したものは見ていませんが、ふと読みたくなって読み返し始めてる漫画です。 主人公が優しくて主人公に惹かれる型。 いい漫画の構図だと思います。 十二支ものとしても好きな方です。 合わない人には合わない漫画かもしれません。 極端に恋愛に寄ってない点でいうと万人に勧められる漫画かなと思います。人が生まれてきた意味を知る少年少女たちのドラマこどものおもちゃ 小花美穂まるまる小学生が主役の学園漫画と侮るなかれ。 主人公、紗南の太陽ような底抜けの明るさが周りの人間を巻き込み、心に傷を負った人間は「自分はなんのために生まれてきたのか」を問い、そして知るというかなり重厚なテーマを持った作品です。 学級崩壊といじめ、羽山の家庭問題から始まり、紗南の失恋、出生の秘密と、次から次へと試練が止みませんが、乗り越える度に登場人物たちの絆が強くなっていきます。 中学生編では、紗南の役者としての人気が上がったことで生まれた芸能界特有の根も葉もない噂のせいで、羽山の心が再び荒れるという事態に。 親友・風花との間にできた溝や羽山とのすれ違いの生活の中で、仕事に生きると決めた紗南の、強いはずの心にも少しずつ無理が出てきて…という、人間の光と影の部分を丁寧に書き出しているのがこの作品の魅力です。 作中、羽山は「紗南に出会った自分はツイている」と言います。 最後に、生まれてこなければよかったと心閉ざしていた自分を救ってくれた紗南が、心を病み以前の明るい紗南ではなくなってしまった時の羽山の涙には、もらい号泣必至です。 大人になった今読んでも間違いなく面白いのですが、 いたいけな子どもがこんなにも汗と涙と血を流し、命をかけて自分の大事なものを守ろうとしているのに自分は…ッ!となる場合も?笑 Deep Clear 「Honey Bitter」×「こどものおもちゃ」小花美穂 特別番外編 に大人になった紗南と羽山が描かれているのでこどちゃファンは必読ですよ! 賛否両論だと思うけど名作には違いないバクマン。 カラー版 小畑健 大場つぐみ名無しジャンプ漫画の流れを変えてしまった漫画かもしれない。 昔からの少年漫画とは劣等感をもつ少年が何かがきっかけで成し遂げたい目標をもち、それに向かって突き進む様が描かれることで読者は勇気付けられる、そんなイメージが強い。 漫画の漫画、仕事漫画が出てきた時点で夢、希望がすごく現実と近くなる。 この漫画を境にどこかファンタジーの想像もつかないような世界を書き表す漫画から現代の趣味嗜好に迎合した仕事漫画、恋愛漫画が多くなったように感じる。 それはさておき、この漫画が面白いことには変わらない。 むしろ、漫画における「嘘」の部分がリアルに近いことで読みやすい少年漫画の文体で、知らない現実を垣間見ることができる。 漫画家の厳しい世界をエンタメに昇華すると言う点ではありえないだろ〜と言う設定もしばしば。 ジャンプのトップにすぐに立てるところと、おじさんが漫画家で設備が全て整っていると言うアドバンテージがあるところ。 そういう違和感も多分、編集とか業界部分がリアルなせいかなと思う。 飽きさせない漫画ではある。 恋愛部分も含め、人間関係も含め、リアルな部分と驚きと知識、そして表現力で殴ってくる(ぐらい情報量が多い)。 大畑健の絵が好きな人は読むし、漫画を描いている人漫画が好きな人は読むしかない。 アンケート重視の仕組みが崩れつつある今は、この漫画ではもう違ってきているところもあるのかもしれない。いい時に連載して完結した漫画だと思う。どハマりして真剣に読んでいた新世紀エヴァンゲリオン 貞本義行 カラー、、、アニメを1晩で見て漫画も買いに本屋へ行った記憶がある。 エヴァは漫画は漫画、アニメはアニメ、映画はまた別で楽しめる。 漫画も映像とはまた違ってそれなりに面白い。 表現媒体が違うとシンジのキャラクターも三者三様になってしまうのは不思議なところ。たまに読み返して落ち着きたくなる漫画蟲師 漆原友紀名無し好きな漫画で、そう何回も読みはしないんだけどたまに読み返したくなる漫画があります。 蟲師もそんな漫画の一つですね。 舞台となる時代がはっきりとあるわけではなく出てくるものも架空の生き物ですが、なぜか読んでてしっとりとした日の裏山を思い出します。 一概におとぎ話ともギンコの紀行文とも何とも言えないジャンル区分。 むしろこれで一個のジャンル確立させてる気もします。 作者はこの話、どこから想起されてるのかわかりませんが絵も話に合っていて独特で今読んでもいいなぁと思える作品。 最近の漫画を読んでると、こういう作品ってもうなかなか出てこないのかな思ってしまいます。 シンプルに名作エアマスター 柴田ヨクサルいい漫画読みストリートファイト好きなら避けて通れない作品 柴田ヨクサル作品は「これが描きたい」と言う思いがそのまま漫画になってて嫌いになる要素がありません。 将棋が描きたい、ストリートファイトが描きたい、むちむちの女性が描きたい、そのまま漫画にできるのは本当才能だと思います。 今連載中の東島丹三郎は仮面ライダーになりたい、ブルーストライカーで少しでも興味を持ったら古い作品も読んでみることをおすすめします。 今考えてみたら当時の鳥山明先生のセンスが非常によく現れている逸品Dr.スランプ 鳥山明名無しロボ娘、(当時としては非常に斬新だった)元気の良いメガネっ子、ポットで出来た(?)家、ほぼ全員どことなくおっちょこちょいな登場人物たち…。 このマンガ、今考えてみたら当時の鳥山明先生の好きなもの、かわいいと思う物の純粋な集まりのようにも見える この手の"ギャグよりも自分の好きなものを詰め込んだ形式のギャグマンガ"は意外にもめちゃんこ少ない(他に思い当たる物が下手したらあらゐけいいち先生の漫画しかない程に) もしかしたらこの時の鳥山明が一番鳥山明らしかったのかも知れないと思うのだ 実際、描いていて楽しそうに見える。甲子園の時期に読みたいおおきく振りかぶって ひぐちアサ心は野球少年野球について、ほとんど詳しくありません。 ルールももう忘れてしまったし、バット振っても当たらない。 でもおおきく振りかぶってをチラとみると夏の暑い日、グラウンド、横を自転車で帰るあの日がフラッシュバックするかのように思い起こされます。 まず、野球でてっぺん取るぞ!と意気込むような主人公でなく、すぐ泣く弱い主人公を置いた時点で勝ちだと思いましたね。 そのせいでメンタル面、スポーツにおいて一番重要なんじゃないかと思う部分を語ることができる。 他の技術面重視のスポーツマンガに比べて切り口が面白いなと思いました。 初めて読んだ時は友人と「うまそう!」を連呼してました。懐かしいです。 面白いけどHUNTER×HUNTER モノクロ版 冨樫義博名無し体に気をつけて連載してください 面白いです ドラゴンボールで粗末に扱われたものDRAGON BALL モノクロ版 鳥山明なまこデラックス※ネタバレを含むクチコミです。トランクスが精神と時の部屋でやった修行はベンチプレスだった説DRAGON BALL モノクロ版 鳥山明taiki私は格闘技が自分でやるのも観戦するのも好きです。 格闘技のトレーニングをしているのと人によって筋トレを推奨する人がいたり、技の研究に重きを置く人がいたりと多種多様な考え方があって「目的は同じなのに、人によって考え方がまったく異なるのは面白いなぁ」と思うことがよくあります。 セル編でセルとトランクスの会話をトレーニング視点で考えてみました。 https://comicbooktakeover.com/archives/252 天津飯に学ぶ臨機応変と無計画の違いDRAGON BALL モノクロ版 鳥山明taiki皆さんの周りに、「あの人は何事も臨機応変に対応出来て柔軟性がある」と言われる人と「あの人は無計画で行き当たりばったりだ」と言われる人いませんか? 「臨機応変で柔軟性がある」のと「無計画で行き当たりばったり」というのは似ているようで大きく異なることはなんとなく理解できると思いますが、この2つの違いは何なのでしょうか。 ドラゴンボールの中で、天津飯に「臨機応変で柔軟性がある」行動と「無計画で行き当たりばったり」の行動の2つが混在しています。 天津飯の行動を具体的に4つほどピックアップしてみました。 https://comicbooktakeover.com/archives/197なぜフリーザ軍のスカウターは爆発したのかDRAGON BALL モノクロ版 鳥山明taikiドラゴンボールのフリーザ軍が使うアイテムにスカウターがあります。 スカウターは相手の強さを計測するアイテムですが、スカウターの測定能力の限界値を超えると爆発してしまいます。 スカウターを通じてフリーザが裏で実施していたと思われるマーケティングについて考えてみました。 https://comicbooktakeover.com/archives/402<<4243444546>>
王道少年漫画が読みたい、サンデーっぽいの! と思って読むのですが何回最初っから読んでても面白い。 まずこの結界を作って攻撃、防御、封印までやるってのすごいですよね。 ただ四角を作って、というモーションで少年漫画の戦闘シーンとしては地味なのではと思ってしまうところを描写、表現力で補ってしまう。 妖もでてくるし、組織の陰謀みたいなものも見え隠れし始めるし少年の理想が詰まってて長編なのに飽きずに読み続けられます。 多分難しいところとか、読みやすいところとか両方詰まってるので大人でも子供でも読めるものではないかと。 烏森を守る、結界師という仕事、幼馴染、要素も設定もすごく練られているのに読み手が迷わず読みやすいように導いてくれる。 しかも主人公の良守に知らず知らずのうちに感情移入して好きになってしまう。 こういう安定した少年漫画読むとすごく幸福感覚えます。 家の本棚に1セット揃ってて欲しい漫画。