アクション・バトルマンガの感想・レビュー4913件<<152153154155156>>Fate未体験でも楽しめる、超高画力剣戟アクションFate/Grand Order-Epic of Remnant-亜種特異点3/亜種並行世界 屍山血河舞台 下総国 英霊剣豪七番勝負 TYPE-MOON 渡れい兎来栄寿1話が公開された時、驚愕しました。「凄まじい画力によるFGOコミカライズが始まってしまった」と。そして同時に単なるコミカライズとしてではなく、純粋に2019年を通して始まった新作マンガの中でも屈指の存在となる予感すらさせてくれました。 物語はFate/Grand Orderをベースにしたものですが、最低限の世界説明がなされているためFateやFGOを知らなくても純粋にスタイリッシュアクションマンガとして楽しめるようになっています。実際に原作を全然知らない方にもお薦めしてみた所、問題なく面白く読めたという反応が返って来ました。 FGOという世界に興味があれば入門としてもアリでしょう。もちろん、FGO好きの方にとっては最高のコミカライズとして堪能できます。 あまりにも突出した画力はまるでWマーリンのバフを貰ったジャンヌオルタの如き圧倒的破壊力。作画風景を撮影した動画も圧巻ですので、良ければ合わせて見てみて下さい。 https://youtu.be/AzDxDA-NRZ8真面目で暑苦しくて、それでいていい加減なプロレス馬鹿たちの物語アグネス仮面 ヒラマツ・ミノル名無しなぜだか無性に覆面レスラーがかっこ良く思えてきて、勢いでルチャリブレの写真集なんぞを買ってしまいましたが、特にプロレスファンというわけではありません(僕のプロレス知識はスーパーファイヤープロレスリングで終わっている)。ただ、マスクマンのおどけながらも真剣な在り方になぜか惹かれてしますのです。 そんな気持ちにさせてくれたのが『アグネス仮面』という相当な熱血馬鹿漫画。真面目で暑苦しくて、それでいていい加減なプロレス馬鹿たちの物語です。登場人物は皆、少し抜けていますが、それだからこそまっすぐな熱いドラマを魅せてくれるのです。 主人公の山本仁吾は大和プロレスのプロレスラー。長い海外修行から帰国した仁吾は、大和プロレスの社長・ジャイアント安藤(ジャイアント馬場ぽい)が死に、さらに大和プロレスが帝日プロレスに潰されてしまったと知ります。旧大和プロレスのプロレスラーは散り散りになり、海外にいたため皆から忘れられていた仁吾が、最後の大和プロレスのレスラーなのです。ジャイアント安藤の奥さんにそそのかされ、帝日プロレスに道場破りに向かった仁吾は、そこで帝日プロレス社長のマーベラス・虎嶋(アントニオ猪木っぽい)に勝負を挑みます。引退して2年のブランクがある虎嶋に完膚なきまでに叩きのめされた仁吾は、強制的に日系ブラジル人の覆面レスラー・アグネス仮面に仕立てあげられ、なぜか帝日のリングに立つはめに…。こうして仁吾の覆面レスラー人生が開幕するのです。 才能あふれる若きレスラー・仁吾は周囲の様々な人に振り回されます。アントニオ猪木に似ているマーベラス虎嶋がまず酷い。とんでもない無茶は言う、約束は守らない、言ったことは全て忘れる。そもそもアグネス仮面という名前もアマゾン仮面と間違えてつけただけなのです。しかし、仁吾はそれらの指示になんだかんだで従い、がむしゃらに達成してしまう。自分でもなんだかわからないまま、仁吾はアグネス仮面として活躍してしまうのです。 周囲の人たちはみな、目標に向かって真っ直ぐで、熱くて、ただすこしばかりテキトー。ときに凄惨なシーンもありますし、ショックな場面も出てきますが、プロレスに対する疑問はかけらも出てきません。なぜ彼らがプロレスに夢中なのか?なんてかけらも出てきません。ただただ、プロレスが好きで、プロレスが最強だと信じていて、その気持ちを裏切らないように生きていく人たちの熱き物語。 ここで描かれているのはある種の楽園のようなものかもしれないと思います。ゆったりとした“前向きさ”に満ちた物語水惑星年代記 大石まさる名無し自分より一回り年上、40代の方とお話すると、いつもその前向きな姿勢に驚きます。僕自身がフロント2速バック20速ぐらいのとても後ろ向きな人間というのもありますが、基本的な考え方に違いがあるように思います。それに、同じ“前向き”といっても、若者と中高年では全く違います。歳が上になればなるほど、短い期間に激しく燃えるものから、長い期間にジーっと燃える、種火のようなものに“前向きさ”は変化していくように思えます。 『水惑星年代記』は物語自体がゆったりとした“前向きさ”に満ちています。 『水惑星年代記』で描かれる地球は、一度文明が滅びたらしい世界。地上はちょっとずつ水深が上がってきていて、海沿いの都市や、標高の低い島々は水に沈んでいきます。かといって、人類は絶望だけしているわけでありません。失われていった景色に思いを馳せつつも、その目は宇宙へ向いています。『水惑星年代記』では、ちょっと黄昏ながらも次に向かう様々な人が描かれるオムニバス作品です。 それぞれのお話は、時代順に書かれているわけではありませんが、どこかで繋がりを探すことができます。その痕跡を探していくのも楽しみの一つです。 繋がりという意味で『水惑星年代記』の縦糸となるのが「ブラック家」の系譜です。有数の大金持ちであるブラック家の人間はとにかく思い込みで動き、周囲の人間を巻き込み宇宙へと目指していきます。年表上では最初の方に登場するキアラン・ブラックは、有り余る財力を使って“私費”で月面まで来た男。彼は月面事故で遭難しているうちに、偶然“先史文明”と思われる遺跡を発見します。かつて人類は月にまで到達していたという事実は、ブラック家の人々を外宇宙へと誘い、ブラック家の末裔の少女が、物語の最後を飾ります。 宇宙を目指す人々を描く作品以外にも、明るさと言い表せない孤独さを同時に感じさせてくれる人類の創世記「凪と波」や、フルカラーの美しい景色が描かれる「路面電車(トラム)」など、素晴らしい短編はたくさんありますが、私が特に好きなのが『碧 水惑星年代記』に掲載されている「正しい地図」という作品。 この作品は会社を急に辞め、かつて自分が住んでいた町に二十数年ぶりに訪れた中年男が主人公です。彼は、かつての記憶と今を見比べながら町の移り変わりをメモしていきます。あらすじで言ってしまえばそれだけなのですが、とても美しい背景と主人公の印象的なモノローグによって、物語がスっと心に入っていき、彼と同じように“自分の世界”を作っていこうという気持ちが生まれます。そして普段何気なく見過ごしてしまう街の景色が違うもののように感じられてくるのです。想像しうる未来を描いた宇宙開拓史MOONLIGHT MILE 太田垣康男名無し周期的にどこか遠くへ行きたくなります。ギアナ高地かゴビ砂漠かヒマラヤか…。想像は膨らみますが、実際にはせいぜい飯能で僕の冒険心は終了です。ただ、もし僕が頑健な体と知性(と美しさと財力)があれば、宇宙に行ってみたいと思い、たまに空を見上げるることがあります。 この「MOONLIGHT MILE」も二人の男がヒマラヤの頂上から月を見上げるシーンより、物語がはじまります。世界中の極地に立った二人は、さらなる頂を目指すために宇宙を目指すのです。 二人の内の一人、猿渡五郎は日本の建築会社に就職しありとあらゆる重機の資格を取得し、宇宙空間での建設業務に従事するビルディング・スペシャリストを目指し、もう一人の“ロストマン”と呼ばれるウッドブリッジはアメリカ空軍に入隊し、そこからパイロットとして宇宙を目指します。 紆余曲折を経て、二人がISS(国際宇宙ステーション)で再会するのは7年後。しかしこれはまだ物語の序盤、1巻の出来事でしかありません。そこから、宇宙開発の表舞台を吾郎、軍の陰謀うずまく裏舞台をロストマンが主人公となって、宇宙開拓史が描かれて行きます。 「MOONLIGHT MILE」の凄いところは、この宇宙開拓史が事細かに、もしかしたら本当にこうなるかもしれないというリアリティをもって描かれているところです。ビルディング・スペシャリストとなった吾郎は、次世代エネルギー開発“ネクサス計画”のため、様々な任務をこなします。月面上の作業用機械の開発を手伝い、月往還船の建造を行い、そして第一次月遠征隊の一人として月面のエネルギー開発の最前線基地を建設します。 一方、ロストマンは宇宙における軍事的な覇権を推し進めるアメリカ軍のパイロットとなり、表舞台で宇宙開発が世界の注目を集める中、中国とアメリカの高高度戦闘が行われます。「表舞台か… 軍事利用こそ宇宙開発の真の姿だぜ 悪夢に染まらなきゃ、一番遠い場所には立てねえさ…」そう言いながら確実に任務をこなし続けるウッドブリッジは、やがてアメリカ宇宙軍の要人となります。 ふたたび吾郎とロストマンの道が交差するのは、表舞台と裏舞台がひっくり返るタイミングになるのですが、そこまでいたる夢の様に壮大な開発現場の個人の思いと、人類社会を左右する各国の思惑がからみ、壮大な物語になっているのです。 現在の世界状況の延長線上にある、想像しうる未来を描いた第一部が終わり、想像を越えたディストピアを描く第二部は現在も進行中。「MOONLIGHT MILE」が描ききるのはどのような人類の未来なのか、興味は尽きません。 グリム童話の主役たちが魔女の呪いをめぐりバトル呪菓のグレーテル 神谷ユウmampuku「ヒロインズゲーム」と同じく、童話の主人公たちが登場するファンタジーです。 「魔女の呪い」をめぐる血塗られた戦いが巻き起こりますが、「ヒロインズゲーム」と違って少年漫画だけあってコミカルで親しみやすい感じです。 史実あるいは神話をモチーフにした話は多いですが、メルヘン童話を元ネタにした漫画ってあまり多くない印象を受けます。日本人にしてみれば聖書や北欧神話と比べたら赤ずきんやヘンゼルとグレーテルのほうがよほど親しみがあると思うのですが、、昔話の桃太郎や史実の信長みたいな英傑が出てくる話のほうがバトル漫画に仕立てやすいからなのか… 「ヒロインズゲーム」も「呪菓のグレーテル」も好きですが、グリム童話の雰囲気を活かしやすい頭脳戦やホラーといったジャンルに仕立てたものも今後読んでみたいです。一度はJIN-GI 御免! 所十三のーりー 人生一度は読むべき。 仲間、生き方、台詞、男が男である理由が分かる。漢の教科書! ゆとりも団塊も関係ねぇ! これを読めば答えがある!! 昭和リアルワンピース!自分が大人になったと実感ハカイジュウ 本田真吾nemuke私は当時は確か中学生くらいでした。 その時は友達とグロテスクとか非現実というだけで面白おかしく読んでいましたが、それから9年が経ち久々に読み返すと、面白いとか興奮が薄れ「こうなりたくない」という不安と恐怖が強く感じるようになっていました。 危機的状況による人物の心理や理性などがリアルに痛々しく描写されていて、ゾクゾクしながら読んでいました。 「スリルを感じたい」&「非現実の世界に飛び込みたい」 と思っている人は是非! 武蔵ちゃんカッコかわいい!!Fate/Grand Order-Epic of Remnant-亜種特異点3/亜種並行世界 屍山血河舞台 下総国 英霊剣豪七番勝負 TYPE-MOON 渡れいANAGUMA今最も画面が魅力的なマンガのひとつだと思います。 Fateと言ったら何をおいても英霊同士のド派手でスリリングな戦闘が一番の魅力。本章は剣豪サーヴァント同士の決闘がメインテーマで、少しカスレたような描線が高速の剣戟戦とベストマッチしてます。 人物の描き方・表情、レイアウト、アクションの設計など、とにかく端から端まで絵が半端なく上手い。 紙で味わいたいタイプの線なのですが、電子版にはカラー(すげー上手い)も収録されているので両方買うと2倍楽しめてお得です。 FGOのゲームだとマスターの立香ちゃんはヴィジュアルが出ないので、マンガで活躍が見れるのは嬉しい。武蔵ちゃんとのコンビ感もバッチリで見てて楽しいです。 単行本冒頭のダイナミックあらすじなど解説も充実してるので是非未プレイでも気後れせずに読んでほしいです!老人に読んでほしいんだよなぁ~髑髏は闇夜に動き出す TETSUOやむちゃ孤独な老人の隣に絵に描いたような幸せ家族が引っ越してきて仲良くしてくれそうになったあたりで胸がすごいざわついたwwいい予感ぜろ! 初っ端は「いぬやしき」中盤は「外道の歌」が頭に浮かんで、全体的にはまぁよくある話なんだけど、不思議と上品な印象だった。おじいさんが渋いから? とにかく、こういうかっこいいおじいさん漫画をおじいさんに読ませたい。スライム!!転生したらスライムだった件 伏瀬 川上泰樹 みっつばー名無し転生して、国を一から作るという成長物語!! スキルがいっぱいあり、楽しいの!! 違い仮面ライダークウガ 石ノ森章太郎 井上敏樹 横島一 白倉伸一郎nemuke皆の見てる特撮「仮面ライダークウガ」もなかなかのバッドエンドだけど あまりグロテスクな描写はなかった。当たり前か。。。 だけど流石漫画といえる作品! 理由として例えば今まで通しか把握できなかった敵の言語「グロンギ語」にフリガナがあったり、 少し残酷ではあるがグロンギがどれだけ強いかがリアルに描写されている。 オダギリジョーのクウガも好きだが、クウガという世界観が好きな人は漫画もオススメする! 少なからず私は満足できる!!「ハード&ルーズ」/「探偵物語カブ」とは一味違った探偵物探偵ハンマー かわぐちかいじstarstarstarstarstarマンガトリツカレ男八百長を嫌って、リングを降り探偵になった元全日本ミドル級チャンピオンが主人公。原作なしの探偵物のせいか「ハード&ルーズ」/「探偵物語カブ」とはちょっと違う感じになっている。「ハード&ルーズ」より明るくて「探偵物語カブ」より素直じゃない内容と言えばいいのかな 「ボクサーくずれ」/「デスマッチ」/「かませ犬」はすげー好き。どの回も主人公に人間性がわかりやすくて面白い。 だいたい1話に一回人を殴るんだが律儀にグローブをはめてから殴るところが妙にいい ディスカバー・ジャパン!ディスカバー・ニンジャ!ニンジャスレイヤー 田畑由秋 わらいなく 余湖裕輝 ブラッドレー・ボンド+フィリップ・N・モーゼズ ブラッドレー・ボンド フィリップ・N・モーゼズ 本兌有 杉ライカ 本兌有+杉ライカ名無しディスカバー・ジャパン!ディスカバー・ニンジャ! ページの隅々からあふれだす「スリケン」「カチグミ・サラリマン」「スモトリ」といった謎の日本語に心を鷲づかみにされる『ニンジャスレイヤー』。ケバいアメリカ産のお菓子のような装丁で、本屋で異彩を放っていたこの『ニンジャスレイヤー』、コミック版も予想以上にぶっ飛んでいて、私もう夢中でございます。 『ニューロマンサー』がチバなら『ニンジャスレイヤー』の舞台は近未来のネオサイタマ(ちなみにネオサイタマは東京湾に浮かぶ“人工島”です)。犯罪組織「ソウカイ・シンジケート」が跋扈する「マッポー」の世にあって、超人的な身体能力を持ち「カラテ」と「ジツ」を操る超人的な「ニンジャ」は大企業の手先として数々の荒事をこなします。主人公は・ニンジャスレイヤーことフジキド・ケンジ。妻子をニンジャに殺され自身も重傷を負った彼は、今際の際にニンジャ・ソウルに憑依され、ニンジャを憎むニンジャとして生まれ変わります。 この、サイバーパンク好きにはたまらない設定と、確かなアクションシーンが否応なく気持ちを盛り上げるうえに、いわゆる、外国人の間違った日本観によってつくられたステキ世界&日本語が、これまでのエンターテイメント作品ではなかった、謎の娯楽性を発揮します。 物語冒頭、ソウカイヤニンジャのアーソンと、彼を襲撃したニンジャスレイヤーが対峙する緊迫したシーン、ニンジャスレイヤーはいきなり「ドーモ はじめまして ニンジャスレイヤーです」とオジギします。アーソンも「ドーモ ニンジャスレイヤー=サン アーソンです」とオジギを返します。このあいさつは、ニンジャの礼儀として古事記にも書かれていることで、決しておろそかにはできないのです!! 全くの別世界ではなく、日本と関係しているけれど実態とはまったく違うエキゾチック・ジャパンは、一度嵌り込むと止まらなくなります。女性主人公の一人称が「アタイ」。何かというと「ユウジョウ」を繰りかえすサラリーマンや女子高生。謎の「オリガミ部」……。 まるで、キリシタンに伝わるキリスト教が、永年の鎖国によって独自の信仰・カクレキリシタンとなったのと同様といってしまうのは、やっぱり言いすぎなようなのでやめますが、ガラパゴス進化のような楽しみを味わえる一冊といえましょう。 陽は沈みまた登る 夜の闇を超えて太陽の黙示録 かわぐちかいじ名無し文字通りに「国が割れてしまう」ドラマ。 そして日本国民の心も散り散りになってしまう。 諸外国の支援という形の侵略。 国外に退避せざるを得ず帰国もままならなくなる人達。 日本を再建したい、日本に帰りたいという様々な思い。 その思いの微妙な違いから集合離散や共闘や裏切りが生まれる。 かわぐちかいじ先生が凄く上手いのは 一途な信念に徹する人も、変節したかに見える人も、 それぞれの信念に基づく生き様であると描くこと。 けして漫画的なストーリーの面白さとして キャラを途中で変えてドンデン返しを 演出しているわけではない。 それぞれの信念に基づく人達が 状況の変化に対応していけば こうなるのが(残念ながら?)必然だ、 そう思わせる群像劇を展開して見せてくれる。ダンジョンに潜る彼らは一体何を食べているのかという疑問に真正面から取り組んだマンガダンジョン飯 九井諒子名無しいわゆるゲーム世代の私ですから、ゲームの約束事にいちいち目くじらをたてたりすることはありません(アニメキャラの弓の構え方にはうるさいが)。とはいえ、長時間RPGをプレイしてハイになってくると、いろいろと野暮な疑問がでてきます。その中でも一番は、やはり「女戦士の鎧がなんであんなに露出度が高いのか」なのは間違いないとして、「あいつら一体何を食べていやがるのか?」もかなりランクが高い問ですね。何日も何日も草原を歩き、ダンジョンに潜る彼らは一体何を食べているのか(そのあたりを少しリアルにしたゲームをプレイすると、必然的に餓死が増えるのでとても陰惨な気持ちになります)。 そんな疑問に真正面から取り組んだのが『ダンジョン飯』。作者は「竜の学校は山の上」などファンタジーとリアルの心地よく融合した作品を数多くかかれている九井諒子。この『ダンジョン飯』も例外ではなく、良い塩梅にリアリティがあるのです。 ストーリーは、主人公・ライオスのパーティーがドラゴン相手に全滅しかかるところから始まります。間一髪で脱出魔法で逃げれたかとおもいきや、しかし、妹のファリンがみあたらない。どうやらドラゴンに丸呑みにされてしまったようです。この世界では死んでしまっても、死体があれば生き返ることはできるのですが、ドラゴンの胃の中で溶かされてしまっては難しいかもしれません。 消化が終るまでに助けに向かわなければいけないのですが、荷物は全て迷宮に置いて脱出してしまい一文無し。満足に食糧を買うこともできません。しかし、金策をしている間にも消化されてしまうかも…。 そんなジレンマを抜け出すライオスのアイデアが自給自足です。ダンジョンにモンスターがいるのなら、それを食べればいいじゃない。スライムだろうが、さまようよろいだろうが。 現実社会の我々でも「それはどうか」思いますが、この世界の住人にとってもモンスターを食べるというのは一般的ではありません。 しかし、妙に熱心なライオスに動かされるまま、キノコ型モンスターと大サソリを食べようとしますが、うまくいかない。そこに、モンスター食を実践してきたドワーフが現れ、現実的な料理法をライオスに教えくれるのですが…。 実際に調理シーンになると、完全にグルメマンガのノリです。サソリは切れ込みを入れると出汁が出やすい、キノコ型モンスターの足は特にうまい、スライムは天日干しにすると高級食材になる……そんな食材豆知識とともに、モンスターがおいしく調理されていくのです。第一話の料理は「大サソリと歩き茸の水炊き」。 ファンタジーの世界に寄り添ったリアリティが、雰囲気を壊すことなく新たな面白さを教えてくれる…そんな摩訶不思議なファンタジーグルメ漫画なのです。個性的というにはあまりに強烈なキャラクターたちエアマスター 柴田ヨクサル名無し格闘漫画は昔から変わらず人気のあるジャンルです。主人公とライバルが肉体と精神をガチでぶつけあうというシンプルなパターンからは、数々の名作・名シーンが生まれました。このジャンルは歴史は古く、作品も多いですから、90年代以降になると、ただ闘うだけではなく、テーマにしろ描写にしろ、特色のある作品が増えてきたように感じます。この『エアマスター』の特色がなにかといえば、それは「過剰な熱血」と「とんでもない“勢い”」です。壁にぶつかり、新体操の夢を諦めた女子高生・マキが、ストリートファイトを通じて、自分のなかに眠る「エアマスター」という“怪物”を覚醒させるというのが、物語の本線です。このマキの前に立ちふさがるのは、個性的というにはあまりに強烈なキャラクターたち。たとえば北枝金次郎。地元では負け知らずで、黒正義誠意連合を率いる金次郎も、アクの強い強敵たちに連敗。自分を見失い、謎のヒーロー「シズナマン」に改造されてしまいます。そんな金次郎も、物語の終盤で本来の自分を取り戻し、雄叫びをあげます。はじめは小さな「おおおお…」という叫びも、最後にはみたことのない大きさ(の文字)になり、その絶叫とともに最強の敵に立ち向かっていく。14ページにわたり150文字以上の「おおおお…」がつづくシーンを、そこだけ見たら「なんじゃこりゃ」と思うかもしれません。ただ、1巻から続けて読み、北枝金次郎というキャラクター…いや“人間”を知っている読者なら、絶対に必要なシーンだとわかります。150文字以上の「おおおおおおお…」を絶叫する、これが北枝金次郎だと。クセのあるマンガだと思います。全く合わないと言う人がいるのも分かります。ただ、魂が共鳴するような体験を一度味わえば、読み返すたびに何度でも、異常な勢いと熱量が蘇るのです。どんなに落ち込んでいても「エアマスター」を読み始めるだけであの「おおおおおおおお…」が条件反射のようによみがえる、そんな一撃必中なカンフル剤のような作品です。 ダンジョン飯「っぽい」魔界道中記ウチの使い魔がすみません 櫓刃鉄火ぱにゃにゃんだー流行り的なものの流れをきちんと把握していないので、恐縮ですが、それでもダンジョン飯以降ダンジョン的な題材を取り込む作品が増えてきた(もしくはそれらにスポットが当たるようになった)ように思います。 しかしながら、(ごく個人的で感覚的なものなのでどこまで一般的なものとして共有できるのかは不安ですが)ダンジョン飯的な感じをダンジョン飯以外からはあまり感じたことが、いままでありませんでした。 そこでようやく、『ウチの使い魔がすみません』の話になるのですが、試し読みの1巻を読んだとき、なんとなく「ダンジョン飯っぽい」と感じました。 この作品には、いわゆるダンジョンは出てきませんし、飯を作ることもないのですが、異世界や異世界の生き物に対する細かさと、それらに対するある種の偏愛が引き起こすギャグのテンポが、ダンジョン飯と似てるのかなと思います。 子供悪魔の使い魔になった人間のノーマンは、魔物研究に取り憑かれた暴走機関車のような男で、シリアスな展開であろうとレアな魔物や悪魔がいれば、解説をまくし立て、鼻息荒くサンプル採取を敢行する、常軌を逸したキャラとして描かれています。 この人間使い魔のノーマンの魔物への偏愛とそれ故の細かい魔物の生態分析が、ダンジョン飯っぽさをわたしに感じさせたのかなと思います。ダンジョン飯も異世界生物を飯の材料としてみる細かさがありましたし、味への探求的偏愛も描かれていたように思いますので。 ただ、あくまでも「っぽい」だけで、作品としての類似性はほぼ無いに等しいです。けど、このっぽさが気に入って読み進めてしまいました。 異常な行動力の持ち主に振り回されるドタバタギャグが好きな人なら楽しめると思いますので、どうぞぜひ。なかなか謎の多い短編集ニンジャ警察 悪人喰い かわぐちかいじstarstarstarstarstar_borderマンガトリツカレ男表題の「ニンジャ警察 悪人喰い」と1話完結の短編が入った短編集 1話完結の短編はなんかスッキリしない感じであったが面白い。 個人的には「ニンジャ警察 悪人喰い」を強く推したい。山奥に籠る女忍者が都会に行き警察官と事件を解決していく内容で俺の好きなハード感じと非現実的なところがいい感じのバランスになってる。 新キャラが出たところで終わってるのが残念。続きが読みたい"正解"のない問いの答えを探し求めるファンタジーピーチボーイリバーサイド クール教信者 ヨハネsogor25元々はクール教信者さんが2008年からwebマンガとして投稿していた作品で、作画としてヨハネさんを迎えてマガジンRにて商業作として連載を開始した作品。 ベースとなる物語は誰もが知る御伽話「桃太郎」。小国の姫・サルトリーヌ(サリー)の住む城に日本から来た少年・キビツミコトが訪れるところから物語が始まる。ミコトを追ってきた鬼が小国を襲ったことをきっかけに、ミコトとサリーの鬼との戦いの旅が始まる…というお話なのだが、単純なバトルものとして展開していかないのがこの作品。 「正義の反対はまた別の正義」という言葉があるが、本来"悪"として描かれるはずの鬼たちの背景もページ数を割いて描かれる。最初こそ人間の生活を脅かす存在として描かれるが、鬼たちが主人公一行を襲う動機も殺された仲間の敵討ちであったり、人間社会から迫害されたことにより生まれた羨望・怨念であったり、徐々に"完全悪"ではない存在として描かれていく。そして、主人公であるミコト・サリーの存在も"完全なる正義"としては描かれない。ミコトは鬼を全て討ち滅ぼすべき存在として捉え、サリーは鬼を対話により分かり合える存在として考え、共存の道を見つけるために旅をする。特にミコトの鬼に対する感情は強烈な怨恨として描かれており、少なくとも鬼に対する思想についてはサリーと完全に対立する形をとっている。(もしかしたらミコトのこの怨恨の感情が人間の心に巣食う"鬼"である、という意味もあるのかもしれない) つまりこの作品は「人間 vs 鬼」というバトルマンガの体を取りながら、ミコト・サリー・鬼という三者の"正義"同士の戦いの物語でもある。大方この鼎立の構造に明確な"正解"を出すことは出来ないが、対立する者同士の共存という恐らく三者の中で最も困難な道を選んだサリーが旅の果てにどのような答えを出すのか、それがこの作品の最大のテーマなのではないかと思っている。 と、すごい畏まった作品紹介をしてみたが、そもそもミコトとサリーの冒険譚として読んでも、亜人との遭遇や人間社会の内部にある差別の構造など様々な困難に直面し乗り越えていく様が面白い。ちなみに共に旅をしていくっぽい書き方をしていたが、ミコトとサリーは基本的には道中を共にしない(訪れた街でたまたま出会うことはあるが)。それは上記の考えの相違も一因なのだがもっと大きな理由もあって…それは本編を読んでからのお楽しみということで。 6巻まで読了 昭和の漫画な感じがすげー好きガクラン八年組 しもさか保starstarstarstarstar_borderマンガトリツカレ男昭和の漫画な感じがすげー好き ツッコミどころはむちゃくちゃあるし、なんでも硬派/根性/気合いで解決するし、おまけに武器のセンスが凄すぎる当代随一のデコ貧乳マエストロくノ一ツバキの胸の内 山本崇一朗mampuku 男を見たことがないくノ一だけの里で悶々と暮らすラブ未満コメディ。「からかい上手の高木さん」作者だけあってチャームポイントのおでこ、ぺったんこの胸、少女性の中に仄かに香るバブみ、素晴らしいです。「美少女」という概念に頼らずに可愛い女の子を描く天才。 ムッツリスケベな主人公ツバキが妄想逞しくしているだけの話かと思いきや、個性豊かな同僚のくノ一たちとの切磋琢磨も微笑ましく描かれています。 巻末のオマケ漫画に高木さんがゲスト出演していますが、さすがナイスからかいでした。グロいけど読んでしまうギフト± ナガテユカ名無しグロいけど読んでしまう 環とか顔可愛いし違和感あるはずなんだけどこのアンダーグラウンドな世界に馴染んでる 女性作家が描いてるとは思えない なぜだ…どうして俺は寿司が握りたいんだ!!元祖江戸前寿し屋與兵衛 内山まもる 白川晶名無しサラリとタイムスリップして寿司を握ります。 タイムスリップというより不思議な夢を見て寿司屋與兵衛が憑依してしまった感じ? なぜだ、どうして俺は寿司が握れる…! 理屈すっ飛ばして寿司を握る漫画。女も寿司も上手に握ってやるぜ! 一貫してどの男も女には優しく寿司には厳しい… 寿司を握る漫画的には一番最速なのでじわじわと面白いです。 寿司ネタとシャリの知識は勉強になります。 寿司大好きなのでこういう食い方してみたいと思うばかり ここのところの百合姫の方向性とても好き万葬不踏の欺神迷宮 武川慎mampukuあ~~~(語彙力の喪失) 去年の暮れくらいから書店のコミックス新刊で見かけるようになった、コミック百合姫のファンタジー路線、正直とても好みです。 いずれも間違いなく百合・恋愛マンガのプロの仕事と見受けられる美しさと尊さを兼ね備えた描写と、一級品とまでは言えないものの凛々しく気高く描かれた戦士による戦闘とが融合しています。とりわけこの作品「万葬不踏の欺神迷宮」の描線の美しさ、キャラクターデザインの繊細さなどは一線を画しています。<<152153154155156>>
1話が公開された時、驚愕しました。「凄まじい画力によるFGOコミカライズが始まってしまった」と。そして同時に単なるコミカライズとしてではなく、純粋に2019年を通して始まった新作マンガの中でも屈指の存在となる予感すらさせてくれました。 物語はFate/Grand Orderをベースにしたものですが、最低限の世界説明がなされているためFateやFGOを知らなくても純粋にスタイリッシュアクションマンガとして楽しめるようになっています。実際に原作を全然知らない方にもお薦めしてみた所、問題なく面白く読めたという反応が返って来ました。 FGOという世界に興味があれば入門としてもアリでしょう。もちろん、FGO好きの方にとっては最高のコミカライズとして堪能できます。 あまりにも突出した画力はまるでWマーリンのバフを貰ったジャンヌオルタの如き圧倒的破壊力。作画風景を撮影した動画も圧巻ですので、良ければ合わせて見てみて下さい。 https://youtu.be/AzDxDA-NRZ8