ガワコス!!

制作過程が詳細なコスプレ事始 #1巻応援

ガワコス!! 土平ゆの
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

そういえばコスプレで、ライダーや戦隊もののスーツを着ている人って、あんまり見た事ないなぁ、というのが最初の感想でした。そういう顔の見えないコスプレを「ガワコス」と言うのを、この作品で初めて知りました。 とある特撮ヒーローのコスプレをしたい女子高生が、知り合いの美大生に制作の手伝いをお願いしに行くお話。美大生のお姉さんは全く乗り気でない割には「ガワコス」という言葉を知っていたり、制作にとても詳しかったり……。 いざ制作に入れば真剣で、めんどくせぇと言いつつ極力手間を省きながらも、正確に手際良く作る過程が為になるし、女子高生の少ない予算でそれらしく作る、お姉さんの創意工夫に感心してしまう。材料の解説も詳しく、分かりやすい。 物作りの面白さがたっぷり詰まっている一方、お姉さんが当初、助力を渋っていた理由や、周囲から見て愛らしい容姿の女子高生が何故、顔を隠す「ガワコス」をするのか、といった内面描写も面白い。さらにお姉さんにとても懐いている女子高生と、色々ツッコミつつ可愛がっているお姉さん……ほのか〜な百合の予感! あと特撮ヒーローの愛知県推しにも注目!

かびんのつま

化学物質過敏症を知ってますか?

かびんのつま あきやまひでき
名無し

この漫画をきっかけに化学物質過敏症を知った人は多いんじゃないでしょうか。私もその一人で「こんな…目に見えない恐怖と戦わなければならない病気があるなんて…」と衝撃的でした。その後にテレビのドキュメンタリー番組で同じ症状がある方を拝見しましたが化学物質に苦しんでる様子はもちろん、それ以上に家族から理解してもらえないことがとても辛そうでした。発症して症状がひどければ今まで住んでいた家にもいられなくなるし、家族が療養先に会いに来てくれても衣服の洗剤の匂いなどに身体が反応してしまえば近づけないんですよね…。精神的な病気なんじゃないかと思われる方も多いらしく、普通の暮らしをしている人にとってはなかなか受け入れ難いもののようです。スペリオールで「ボクらはみんな生きてゆく!」の連載が始まりましたが、田舎暮らしを始められたのも奥様の療養の為なんですよね。改めて「かびんのつま」を読み直してみると、あきやまさんのご両親に病気のことを理解てしてもらえず症状も良くなったり悪くなったりを繰り返されてましたが、今の暮らしぶりを拝見するとあの頃より格段に充実した生活を送られているようなのでホッとしました。

HUMANITAS ヒューマニタス

人や国や時代によって違う生死や闘いの意味

HUMANITAS ヒューマニタス 山本亜季
名無し

日本人なら何度かは 「武士道とは死ぬこととみつけたり」 という言葉を聴いたことはあるだろう。 武士道の心得を記述した書「葉隠」の一節だ。 武士とは何か、生きるとは死ぬとは何か。 死を覚悟して生きるのが武士道。 生きるために闘うがそれだけではない。 もしも今の時代の日本人に「葉隠」を漫画化して 読ませたらどう感じるだろうか? (実際に、そういう漫画はあるみたいだが) 日本人の魂を見出す人も居れば、 単なる精神論の一つとみなしたり、 ただの武家社会の建前論と評する人もいるだろう。 どちらかというと現代日本ではありえない、 ある種の異文化・異世界の話と感じる人が多いと思う。 「HUMANITASU」は 世界各地で似て異なるように存在した 葉隠的な文化を描いていると思う。 人類は過去から現代まで連綿と、 地球上の世界各地で生き抜いてきた。 そして生き抜くために戦ってきた。 それぞれ独特なコミュニティを作り、 独特な文化・風習を産み育て、 それらを作るため守るために闘い、 ときに己の意思に従い、 ときに意思に反しながらも闘い、 自身や他者の生殺与奪すらも行ってきた。 それぞれの独自な文化や価値感のもとに。 「HUMANITASU」ではそれぞれ3つの短編で、 アメリカやソ連や北極圏など地球上の各所での 色々な時代での人や国家体制や大自然を相手にしての 生きるための闘いを描き、意味を問うている。 もしかしたらそれらは外国人が日本の時代劇を見て 「ワオ!ホワッツ、ハラキーリ!」 と驚いているような種類なだけの話なのかもしれない。 結局は今ではなくなった時代の話に過ぎないのかもしれないし、 もしかしたら誤解や虚構も混じっているかもしれない。 だが自分は読んで胸を撃たれたし、 日本にある「葉隠」のような文化や風習、 生きるための戦いを、人類は それぞれの異文化の中でそれぞれの形で 行っていたのだろうな、と思わせてくれた。 その闘いという行為の意味や価値については、 読む人それぞれに違う思いを感じるだろうけれど。