おとずれナース ~精神科訪問看護とこころの記録~

患者の"日常"に寄り添う「訪問看護」の物語 #1巻応援

おとずれナース ~精神科訪問看護とこころの記録~ のまり
sogor25
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この作品の主人公は、病院内ではなく実際に患者さんの家を訪れて看護を行う "訪問看護師"として働いている小林さんという女性です。 元々は病院の精神科で働いていた小林さんですが、病院でのある経験を経て、「もっと患者さんに寄り添いたい」という思いから訪問看護師として働き始めました。 この作品はそんな小林さんが様々な患者さんやその家族と向き合っていく様子を描く作品です。 精神科が舞台ということで、作中には様々な疾患を抱える患者さんが登場します。 そして、患者さんの家を実際に訪問する"訪問看護"では、家族も含めた患者さんの"日常"に寄り添うことになります。 ただ仕事をこなすだけではなく、患者さんや家族の気持ちを想像し、その感情に向き合い続けていく、そんな小林さんの様子が描かれていきます。 精神科ということもあり辛い描写や内容も含まれていますが、絵のタッチが柔らかく作品全体に温かい雰囲気があり、だからこそ心に響く物語になっています。 単行本のナンバリングはされていませんが、連載誌のcomicタントではまだ連載が続いているようなので、引き続き応援していきたい作品です。

インフル怨サー。 ~顔を焼かれた私が復讐を誓った日~

やっぱ鈴木おさむは天才なんだな

インフル怨サー。 ~顔を焼かれた私が復讐を誓った日~ 鈴木おさむ こにし真樹子
たか
たか

秘密のチャイハロでも思ったけど鈴木おさむは人の悪意とレディコミ・オブ・レディコミみたいな胸糞いじめシーンを描くのが上手すぎる…! 主人公は明るくて気立ては良いけれど、黒髪おさげに眼鏡そばかすという垢抜けなさ全部載せの「ドブス(※と周囲からは言われている)」な女の子。 その笑顔に秘めた才能を買われてアイドルグループにスカウトされ、クラスメイトやグループの仲間からスマホ破壊、食べ物に画鋲など、古典的な嫌がらせを受けながらアイドルとして成長していく物語。 ……今まで生きてきて、ホカホカのうんこ(ちゃんと湯気の漫符が描いてある)に顔面突っ込まれるいじめシーンは流石に初めて見ました。こんなこと書きたくないけど、飛び散り方からどう考えても3人分以上あったよね…どう考えてもやりすぎで最高。 いじめが苛烈だと主人公はメソメソするものだけど、鈴木おさむの主人公はそうじゃない…!全く挫けず目の光を失わない鋼の心を持ってるところが見ていて勇気が湧いてきます。 主人公の絵に描いたように地味なファッションとか、「メガネメガネ…」って探すムーブとか、意図的に古臭く描いてあってB級感が漂ってるところがたまらない。 激しいいじめを耐え抜いてトップインフルエンサーになるサクセスストーリー(昼ドラ風) 要チェックです…! 【追記】 ストーリーだけでなく漫画がとても読みやすく、絵にパワーと可愛らしさがあってすごく好きなのですが、作画のこにし真樹子先生はもしかしてこれが初作品なんでしょうか?気になります。

毎日やらかしてます。アスペルガーで、漫画家で

ASが「20〜30人にひとりくらいはいる」と知って

毎日やらかしてます。アスペルガーで、漫画家で 沖田×華
nyae
nyae

そんなにたくさんいるの?と思う人がほとんどなんじゃないでしょうか。 私はこの漫画を読んでそれを知った時、発達障害と呼ぶことに違和感を覚えました。確かに、漫画に描かれてる作者含めた様々な人の「やらかし」を読んでいると、特殊だな、大変そうだな、と感じることが多いです。しかし同時に、そもそも健常(と呼ばれる側)が置いてるハードルも高すぎるんじゃないか、それを超えられない人をまとめて障害と呼ぶのは乱暴なんじゃないかとも感じました。 とはいえ、今まで生きてきたなかで自分の中に埋め込まれてきた 「普通はこうすべき」「こうするのが常識」「これができないなんでおかしい」という思い込みを取り払うのが難しいのも事実(そこは頑張れよという話だが)。 読んでると、ASの人でも関わる人や環境によっては健常同様に生きていける場合もあることがわかります。運と縁とタイミングってやつだな、と思いますけど、健常も同じですよね。 しかし作者もその他の方も、よく今まで無事に生きてこれたなというエピソードが満載です。親しい人にAS等の特徴があったら、今まで生きてきてくれてありがとうと伝えましょう。 あとがきに、「健常」と「障害」は区別であって差別ではないって書いてあったことにもハッとしました。漢字表記を気にして変えたりとか、気遣いのやり方のズレなんだなと。

すみれ先生は料理したくない

おにぎりを握ると鈍器になっちゃうピアノの先生

すみれ先生は料理したくない 大久保ヒロミ
nyae
nyae

こんな面白いと思わなかったー!笑い泣き必至。 ピアノの先生という職業と、見た目の美しさで私生活も優雅でパーフェクトだと思われてしまう主人公・すみれ。その実態は…ピアノ教師は忙しい割に薄給なうえ、なによりも「料理が苦手でやりたくない」。やりたくないならやらなくて良いと思うけど、やたら料理の腕を試される場面が多いのがかわいそう。笑 すみれは地がお人好しなので、その度に努力はしてみるものの結果が全くついてこない様が申し訳ないけど笑えるんです。おにぎりが鈍器と手榴弾になっちゃう。なかでもクッキーを作ろうとする回がいちばん秀逸です。あなたはクッキーが焼けたときに「誰もいないっ…!」って言ったことありますか? 困った時はバズレシピで有名な“キッチンお兄さん”のツイッターに頼るのが今風。 そんな自分を受け入れてくれる料理上手な王子様が現れてくれるのを待ってるところは少しイタいけど、すみれがピアノクラブの講師をしてる幼稚園のイケメン朝日先生(優しい)や、ギャル先生(料理上手い)、料理家である朝日先生の姉など、すみれの今後を左右しそうな良いキャラがたくさん出てきます。3巻がもう待ち遠しくてしょうがない!

となりの席は外国人

多国籍でパワフルな小学校の日常!!

となりの席は外国人 あらた真琴
たか
たか

私が町立小学校2年生のとき学年に3人のブラジル人の子がいました。1学年だいたい100人なので外国人率は3%。これは令和2年の川崎市と同じ外国人割合なんだとか。 90年代のブラジルの経済状況と、日本の法改正により日系3世に定住資格が与えられたことが重なり、工業団地があるうちの地元にたくさんのブラジル人が家族を連れて出稼ぎに来ていたんですね。おかげで今でもゴミ捨て場は日葡併記です。 この作品は私の母校のよりも遥かに広く、世界中の国々の子供たちを受け入れる日本の公立学校のお話です。 https://dokusho-ojikan.jp/serial/detail/t51291 まず冒頭は入学式から始まるのですが、もうこっからすごい!! ティアラをつけお姫様のようなドレスで来る子に、欠席する子(入学手続きをしたものの親の事情で国に帰ってしまった)など、「こいつはとんでもねぇぞ…!」と初っ端から面白さが止まらない。 和式便所の使い方がわからない…などは定番かも知れませんが、運動会でドレッドヘアや、遠足にマックのセットなどなど、「その発想はなかった…!」という文化の違いがバンバン出てきて圧倒されます。 何より読んでいて楽しいのが、学校での子供たちのパワフルさとエキセントリックさ…!! もう、どの子も元気いっぱいで自由気ままでメチャクチャなんですよね。 元気いっぱいのユリア、心配性のビト、お嬢様シェイラ、自由人のアレンetc...。次から次へとまだ出てくるのかと驚くぐらい、様々な子が登場しエピソードには事欠きません。 「いやそんなことある!? 」というようなやらかしに笑いが止まらない一方で、自分が先生でこれを全部対処する側だったら…という考えが一瞬、頭をよぎってゾッとしてしまいました。先生たちすごい…! 最近ではいじめだけでなく、言語の習得が上手く行かずダブルリミテッドとなってしまうケースなども聞かれるので、こうして日本の学校で憂いを知らず元気いっぱいに過ごす子供たちの姿を見るとホッとします。 日本で子供時代を過ごす全ての子に、こんな風に楽しい学校生活を送ってほしいと思わずにいられません。 「庶民の娘ですがセレブ学校へ通っています」が、日本で多国籍の子女に欧米流の教育を施すインターナショナルスクールエッセイだとしたら、「となりの席は外国人」はそのカウンターとなる、日本で多国籍の子女に日本流の教育を施す公立学校エッセイ。両方合わせて読むのがおすすめです。 読めば間違いなく元気が出ます。笑いたいときにぜひどうぞ…!