悪役令嬢の中の人~断罪された転生者のため嘘つきヒロインに復讐いたします~

美しい貴族令嬢の、本質はもはや任侠では

悪役令嬢の中の人~断罪された転生者のため嘘つきヒロインに復讐いたします~ 白梅ナズナ 紫真依 まきぶろ
hooper
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言いたかった、どこかでタイトルの想いをぶちまけたかった。 まず、定番の悪役令嬢のざまぁモノでは重要なファクタとなる「見返すためのもっと上の男」が存在しない(出ては来る)。 色も恋もない、悪役令嬢による一直線の報復だけが描かれている。 そして復讐の動機となる、エミさんへのエミリア嬢の恩義がもはや、任侠のそれである。 「おやっさんがァ、おやっさんだけがァ、ワシに生きる場所をくれたんじゃあァ!!」 そんな広島弁マインドを胸に(※個人の感想です)、頭も切れるインテリヤクザチート令嬢の復讐には無駄がない。音速の巻きで勢力図を塗り替える。好き。 ヒロインのピナさんが一巻ではそこそこホラー顔で恫喝してきたが、ご安心ください、そのへんでゴロまくチンピラ程度です。 ちょっと違うけど「バチギレして無双で勝っちゃうBLACK LAGOON IF日本編鷲峰組」でキラキラなパティスリー作ったらこうなるんじゃなかろうか? また、「なろうの原作では本編後が真っ黒なんだけどこの辺漫画にできるの…?」という好点も気になる。 今後もネットで読んで紙版も買います!好きっ! 思いの丈をぶちまけられて、満足です。

伽藍の姫 -がらんのひめ-

機械とファンタジーと百合と #1巻応援

伽藍の姫 -がらんのひめ- こるせ
兎来栄寿
兎来栄寿

『きみと世界の終りを訪ねて』や『わたしたちの終わりと』のこるせさん最新作。 今回はSFファンタジーアクションですが、その中でお得意のポストアポカリプスに近しい要素も感じさせてくれる内容です。 『セメルパルス』などもそうですが、『百合姫』の中にもこういう作品が存在する多様性があることがまず良いですね。 本作は、機械文明が滅びた後の世界という設定となっています。それ故に、遺跡や長い時間をかけて自然に侵食された建造物などがたくさん描かれており、そこはこるせさんの持ち味全開です。一話のカラー見開き扉絵なども、一枚絵で昂りを覚えさせてくれます。 かつて力を持った王が作り出したさまざまな生き物が神によって変えられた姿である不死の魔物「モノツキ」の脅威に晒されながら、天使によってもたらされた15の「聖石」(通称:「石様」が作り出す人類の僅かな生存圏。 そんな過酷な世界で出逢いを果たすのは、幼いころの記憶を失っており姉の影を追い求める少女・イサナと、どこか姉に似ている一切の記憶を持たない機械のヒメ。 表紙イラストからして独特さを感じられると思いますか、ヴィジュアル的にもキャラクターからモノツキまで含めてこるせさんのセンスが溢れています。 謎が謎を呼ぶ彼女たちの旅は、危険や未知に満ちておりサスペンスフルで目まぐるしく展開していき、面白く続きが気になります。 『百合姫』らしいキャラクター同士の関係性の変遷もあわせて今後とも楽しみです。