KADOKAWAマンガの感想・レビュー2722件<<9293949596>>活き活きとホノボノを感じる「ちょうどいい」お仕事漫画水族館で働くことになりました 日高トモキチ名無し第一話に「この本は事実に基づいたフィクションです」 と書いてある。 このフレーズを掲げる作品は危険だと思っている。 「ようするにフィクションだよね」 という話になりがちだから。 「手打ち風うどん」「本場風中華」 みたいなやつになりがち、とどまりがち。 それで面白い作品(例としてあげれば梶原一騎先生の作品) になっているならよいけれども、 たいして面白くもない、という作品も多い。 「水族館で働くことになりました」は 事実に基づいたフィクションという描き方を 最適に活用した面白い良作品だと思う。 別の言い方をすれば、 わざわざこのフレーズを書かなくても済ませられた かもしれないが、正直にあえて書いて、 そしてそれが正しかった漫画だと思う。 ノンフィクションには「真実という価値」があるが 真実には過激だったり不快だったりする面が 含まれていることもある。 そこを除外したり脚色すれば、 ノンフィクションという価値は 下がるか無くなってしまう。 水族館の仕事も、真実を忠実に描こうとすれば もっと肉体的にも精神的にもキツイ面を 描かざるを得なくなると思う。 早出・遅番・宿直のつらさ、衛生面や匂い、 怪我や病気や、潜水仕事などでの命の危険。 そして何より命を預かっているという重圧。 だがそれをノンフィクションで忠実に描くことは 水族館側が望むことでは無いと思う。 お客様には、生き物を飼育することが大変だと 知ってもらいたい面もあるだろうと思うが、 知ってしまったら、単純に楽しむことが 出来なくなるかも知れず、それは水族館としては 避けたいことだろう。 そこに配慮して「水族館で・・」は 事実に基づいたフィクションということで 上手く、そして面白くて、良い意味で 水族館側が望んでいる漫画にしていると思う。 その点で、日高トモキチ先生は凄く上手い。 主人公が活き活きと明るく仕事をしている。 大変なんだろうな、と適度には思わせながら。 読んでいるほうとしてはホノボノする感じを受ける。 愛嬌のあるキャラの仕草やセリフで。 そういったいかにも漫画的な手法で。 読んだら水族館は楽しいところだなと感じ、 飼育員さん大変だけれど頑張ってね、と思うようになる、 事実に基づいたフィクションだからこその とても面白いと感じる、お仕事エッセイ漫画だった。妹と喫茶店と名古屋散歩!かりん歩 柳原望あうしぃ@カワイイマンガ今まで妹の世話一筋だった市井かりん。大学卒業を目前にした彼女が希望した進路は、亡き祖父の喫茶店を継ぐ事だった。目指すは常連客ゲット!名古屋の街を「地理散歩」しながら人の縁を繋ぐ、かりんと妹・くるみの成長物語。 ----- 名古屋の食習慣の中でも有名なのが「喫茶店のモーニング」だろう。おつまみ付きは序の口、トーストに始まり果てはうどんまで、そのサービスは余りに過剰である。 かりんの経営する喫茶店のモーニングは、これも有名な「小倉トースト」。更に常連一人ひとりに合わせたサービスを提供するも、前店長の祖父が亡くなってからは、客足が遠のきつつある。 常連客の一人、地理学の大家で今は一線を退いている風谷の元には、彼を慕って教え子たちが訪れる。大学でかりんを教えたこともある高杉、ゼミ担当教員の小坂、学部長の香山……(そしてあの人も?) 『高杉さん家のおべんとう』の面々が集まり、教室ではポヤンとしていたであろうかりんに、商圏や顧客行動分析、そして眼前の人と丁寧に向き合うことを教える。 実学としての地理学を示されたかりん。 課題はふたつ。 ●困難な人間関係を和して、店を切り盛りできるか ●トラウマから一人で動けない妹・くるみを救えるか ……これらが地理学でどうにかなるのかどうか、是非ご一読を。 前作『高杉さん家のおべんとう』ではあまり取り上げられなかった「名古屋」散歩をがっつり堪能しながら、いつの間にか人の心の核心に触れている、物語の妙を楽しみたい、そんな作品だ。少女と博士の食卓風土記高杉さん家(ち)のおべんとう 柳原望あうしぃ@カワイイマンガ母・美哉を亡くした久留里と、彼女を預かる美哉の甥・温巳。彼はかつて美哉に「捨てられた」過去があった……美哉の共通の思い出を「食」に見出しながら、毎日の弁当と食卓を積み重ねて家族になろうとする、二人の日々の営みの物語。 ----- 研究者として職を探す高杉温巳。彼の専攻は「地理学」である。 近代地理学の祖・フンボルトを引き合いに出しつつ温巳は、久留里と美哉を「全部見る」事で、二人ときちんと向き合おうとする。 それはかつて、家族として家事をしてくれていた美哉に甘え、酷い態度を取ってしまった後悔からだった。温巳の頑張りは空回りするが、久留里は彼を信頼し、二人は少しずつ、家族になっていく。 そんな日々を描く本作は、登場人物の姿勢を超えて、作品そのものが、フンボルト的「全部見る」方法論で描かれている。 この作品では ●久留里と美哉と温巳の家族物語 ●久留里の学校、友人、恋愛事情 ●温巳の属するアカデミズム界隈 ●中部地方の地理学的案内 ●高杉家の食卓→弁当のレシピ と、盛り沢山の内容を、有機的に関連させつつ纏めており、一話の内容はかなり濃い。 ほんの六年間でも、毎日の事象を結び付けつつ積み上げる事で、温巳と久留里の絆は、次第に確かなものとして描き出され、読む側は思い入れを増してゆく。 (美少女とひとつ屋根の下的な)ファンタジーなあらすじからは想像のつかない、細やかさと温もりのある「記述」の積み重ねに、強くこころを動かされる、そんな作品。 地理好き、中部地方好き、昆虫食好き、弁当や日常の食卓にアイデアが欲しい等、様々な興味からこの作品に触れて欲しい。主人公がサラリーマンでヒロインが女子高生なだけの普通のラブコメひげを剃る。そして女子高生を拾う。 ぶーた しめさば 足立いまるmampuku話題作「娘の友達」を筆頭になにかと注目されつつある十代の少年少女と、異性の大人という組み合わせのフィクション。それぞれ色んな切り口から描かれていて面白いのでまあまあ好きなジャンルです。 この漫画はというと、「これは上手い(深い)なぁ」とか「核心を突いてるなぁ」とか「世相を〜」とかそういうのは特になく、ハーレム要素のある普通の年の差萌えコメくらいの印象ってのが現状での感想ですね。絵は可愛いんだけど、可愛さで話題になれるほどでもないし(ただ、女子高生という属性はさすがに強力だと思いました。笑) ただ逆を言えば、肩の力を抜いて読むにはちょうどいいのかもしれません。社会の厳しさ難しさ、人の嫌なところわかりあえないところ、そういうリアリズムを描くことばかりが面白さだったり深さではないと思うし、そういう見えない鎖に縛られて真面目くさったストーリーばっかりになっても息苦しいですしね。 猫のいた日々グーグーだって猫である 大島弓子影絵が趣味小学生の頃、ある日、母が家族になんの相談もなくいっぴきの猫を連れ帰ってきた。もう子猫とは言いがたい白いチンチラで、目は綺麗なエメラルドグリーンだった。母曰く、気がついたらペットショップで購入していたとのことだった。当時の私は、この珍事件に歓喜したのか、さっそく翌日にはクラスメイト全員にアンケートをとり、そして名前が決められた。Jといった。 家族や私の友人にたいへん可愛がられたJだったが、数年が経つと、事態は少し変わっていた。私は中学生になり、部活や勉強に忙しく、あまりJの相手をしないようになった。その代わりに意外にも、父がJの世話に熱心になった。夜、父が仕事から帰ってくると、Jは歓喜乱舞した。父が外へ連れていってくれるからだ。毎夜、Jと父は15階建のマンションを上から下まで何往復もしてから疲れ果てて帰ってくるのだった。父と折り合いの悪かった私にとっても、この外での遊びは好都合だった。 しかし、世の中とは不可思議なもので、Jと父とは相思相愛にはならなかった。いわば父はJの遊びに利用されていただけで、Jを好きすぎる父はいかんせん触りすぎる。Jはそれをちょっと鬱陶しく思っていたらしかった。家族が寝静まる夜なか、Jはふらふらと寝床を探しはじめる。高校生になっていた私はいちばん遅くまで起きているようになった。父の部屋はJが出入りできるようにいつでも開けてあった。それでもJが父の布団で寝ることはなく、いつも私の部屋の閉ざされたドアをガリガリと引っ掻いた。その音のせいで寝られない日もしばしばあった。時々、気が向いた日にだけ(それはつまり色々あって落ち込んでいたり寂しい思いをしていた日だ)ドアを開けてやっていっしょに寝た。 大学生になると私はすぐに家を出た。Jのせいではないが、父との折り合いはますます悪くなっていた。家を出ると、すぐに生活が一変した。それまでずっと視界にモヤがかかっているかのようだった慢性的鼻炎が瞬時に治ったのだった。「バカは風邪をひかない」という言葉は真であるとそのとき私は思った。たぶん、私は猫アレルギーだったのだ。 グーグーを読んでいると、猫のいた日々を思い出す。長年、思い出しもしなかった記憶が沸々と湧き起こってくる。そして、なんだかよくわからないけれど、ボロボロと涙が溢れてくる。けっしていい飼い主ではなかったのに。 Jも父もいまだに健在だ。でも父は、年に一度あるかないかで会うたびに年老いたなあと思う。Jもそろそろ猫でいえば化けてもいいぐらいの年齢になっている。家出していらい、家には寄り付かないようにしていたが、そろそろこちらから訪ねてみてもいいかもしれないと柄でもないことを思った。Jは私のことをまだ憶えているだろうか。( ˘ω˘)スヤァ起きてください、草壁さん 秋★枝mampukuなんて可愛らしいイチャラブコメディなんだw ほとんど毎回カノジョ(草壁さん)の睡眠欲に負けて添い寝オチというほのぼの展開が続くのですが、最後にまさかの進展が……!? とまぁ元々が一発ネタのような漫画とはいえ2巻でスッキリ完結していて悪くない読後感です。 流行りのピクシブコミック風の本編のフラッパー版と比べ、2巻に掲載されている3年前のミラクルジャンプ掲載版の絵柄ほうが、疲れたサラリーマンとOL感があって作品には合っている気がしました。可愛いプリンセスお母さん 並庭マチコ大トロお母さん可愛すぎてずっと読んでいられます。 こんなアラカンお母さんが家にいたら毎日楽しそう。 世代間ギャップを埋める漫画としての異世界おじさん異世界おじさん 殆ど死んでいるhysysk忘年会で何のきっかけか子供の頃に流行ったものとか遊びの思い出を話す流れになったのだけど、若い社員が「あ、その辺の知識は『異世界おじさん』で学んでます!」と言われ、衝撃を受けた。私は30代後半の男性ですが、もうとっくに自分の青春時代は「おじさん世代のもの」としてコンテンツになっちゃってるんだね。 個人的には「昔は良かったなぁ」みたいなことは全然なくて、常に今が一番なんだけども、忘れてた記憶を思い出すのにはとても良いし、これを読んでる若者にはリアルな証言として少しは面白がってもらえるかも知れない(自分からは話さない方が良い)。じいさんついに単行本化!!ラブラブ老夫婦のときめく日常…!!困った じいさん 大江慎一郎 大江しんいちろうたかばあさんの気を引くために、ボケたフリをするおちゃめなじいさん。そんなじいさんにばあさんは若い娘のように顔を赤らめる…。2018年の「いい夫婦の日」にTwitterに投稿されたこのエピソードは、3.9万リツイート(2019年12月2日現在)を達成。待望の単行本化となりました。 https://twitter.com/s_ooe/status/1065486586920325122?s=20 https://manba.co.jp/topics/17396 過去に同人版が出版されたときに感想をかきましたが、今回特に書くことないんですよね…本編を読めば面白さが一発でわかるので。 気になっている人はまず大江慎一郎先生のTwitterをチェックして見て下さい!漫画で楽しむ坂道アップダウン今日どこさん行くと? 鹿子木灯あうしぃ@カワイイマンガこの漫画の見所は●熊本県漫画●運転好きのかわいい上司を愛でる●難しい道を楽しむ、などが挙げられます。私は熊本も、車も詳しくないのですが、「難しい道」の描き方に面白さを感じました。 例えば、坂道やカーブを「写真」で表現するのは、意外と難しいです。自分で撮った写真を人に見せても「それで?」と言われて終わってしまいます。面白い部分を、端的に表現できないのです。 私はこれは、写真という、縦横比が固定のメディアの限界なのかも、と思っています。強調したい部分以外が入り込み過ぎるので、主題のぼやけた写真になるのです。 そこでこの「漫画」作品の表現を見てみると、特徴的なのは、コマの縦横比が極端なことです。 例えばヘアピンカーブは、見開き四分の三を横長に三分割して、うねりの面白さをコマいっぱいに見せ、それ以外の部分をカットしています。 また、勾配や極細の路地は、極端に縦長のコマにクルマと道のみを強調し、苦しさや切迫感を演出します。 更に上り坂を表現するのに、画面を90度回転させ、重力に逆らうように車を上向きにするなど、様々な工夫で、地形の醍醐味だけを、コマの中に凝縮しています。 こうして、アップダウンのある光景を、実感をもって描き出しているこの作品は、地形マニア(特に坂道マニア)や酷道ファン(酷道も険道も出て来ませんが)などに、受け入れられるかもしれません。 言葉ではなく絵で「高低差マニア」をワクワクさせる作品として、今後も期待したいと思います! (熊本県漫画としてのレビューは、他の方に託します!) 空想楽しむ東京史跡案内東京城址女子高生 山田果苗あうしぃ@カワイイマンガ東京の城址を求めて街を彷徨う、女子高生のあゆりと美音。微かな歴史の痕跡から、古を空想して楽しむ東京散歩。あゆりと一緒に「え、城どこ?」って言いながら、画面を睨んで楽しもう! ----- 江戸城を始め、東京には沢山の城があったと伝えられているが、それらは建造物どころか、基礎の遺構すら殆ど残っていない。必然的に東京の城址巡りは、画面的にはただの公園や社寺、街歩きになってしまう。 漫画としては危機的なこの状況を、面白く救ってくれるのは、城址マニアの美音や教師の田辺に「何じゃそりゃ!」と突っ込む、素人のあゆりの存在。 私達はあゆりと一緒に、分からないなりに目を凝らして、微かな遺構を見出し、歴史上の人物に想いを馳せる。そして城址の知識を得、歴史の醍醐味に魅せられて、街を見る目が変わった時、私達はもう一度、二度と、この作品を見返したくなるのだ。 「あそこの城址って、どんなだっけ?」と。 街の風景に「歴史」という四次元軸を与えて、古くて新しい感性を吹き込むこの作品。考え方としては、『ちづかマップ』が「古地図」によって土地の時間軸を遡行していくのと相似している。 都市の地層を、城址のかつての姿が見えるまで、めくっていく。この作品は、そんな考古学的妄想の産物なのだ。 ハルタ印の美しい画面は、緻密に描き込まれつつ整理され、眺めていて気持ちいい。ちょっと荒んでいたあゆりの心が、優しそうでいて結構毒舌な美音との会話と新たな興味で、次第に落ち着いてゆく様子も、併せて見つめていたい。アムロとシャアだけじゃない!「ガンダム」を知ろう機動戦士ガンダム THE ORIGIN 安彦良和 矢立肇 富野由悠季 大河原邦男さいろく安彦良和先生のガンダム。 これこそがORIGIN。本当にありがたい。 アニメの機動戦士ガンダムをちゃんと見れてなかった世代としてはガンダムがゲームやカードダスで一世を風靡しているにも関わらず本当のシナリオを全て理解出来ていなかった事が心残りというか悔しいというかだったんですが、このORIGINはアニメ版以上に安彦良和で(そりゃそうなんだけど)思っていたガンダムが本当に今描かれているんだと。 ものすごく古い時代のマンガだったらちょっと手を出しづらいとこあるじゃないですか、正直。 でもこれは最近になって描かれてるんですよ。ようやくガンダムを知る事ができる!と嬉しくなって読み始めたら見事に期待を上回る作品だった。 小さい頃、小学生低学年の頃はアニメも疎らに見てカードダスとかガン消しとかしか持ってなくて知識も乏しくて。。。そんな頃、悪役だったザビ家は馬鹿な悪いやつなんだと思ってたんですよ、ガルマのせいかもしれないけどさ。でもORIGIN読んだらドズルのファンになるよ、絶対。 ガンダムという日本が誇る壮大なスルメコンテンツを今になってこんなに丁寧な作品として出してくれた安彦先生とKADOKAWAに感謝したい。静かに淡々と、でも心底ゾッとするサスペンス。レッド・シンブル やまじえびねnyae※ネタバレを含むクチコミです。 ゆうか先生の過去が気になる。小児外科のゆうか先生 和乃アヤ子名無しクールだけど、とても温かなゆうか先生。患者と真剣に向き合う姿が最高。ゆうか先生を取り巻く人々との笑える場面もあり、ハマる作品。年齢問わず読める最高の内容です。とても感動する。心が温まる小児外科のゆうか先生 和乃アヤ子名無し医療物だけど、どちらかというとヒューマン漫画。主人公の周りの人物と患者、家族との関わりで心が温まる。こんな漫画を待っていた。西東京の四季を遊ぶ家族!東京のらぼう! 関口太郎あうしぃ@カワイイマンガここは東京都あきる野市。タワマンもお台場もないけれど、ちょっと歩けば自然がいっぱい!何でも作れるけど仕事が暇な父たんと、今日は何して遊ぶのかな......(ちょっと面倒) ----- あきる野市は、都心から西にちょっと(?)離れた、そこそこの(?)ベッドタウン。新宿から拝島駅経由、JR五日市線でおよそ1時間。八王子や青梅に隣接する。秋川渓谷や丘陵地帯を擁し、武蔵五日市駅から三頭山(檜原都民の森)へのバスがあるなど、自然にとても近い街。 自然大好きな漫画家の「とうたん(父)」は、連載を打ち切られた時に、「家賃が安い」という「かあたん(母)」の後押しもあり、この地への移住を決める。その時お腹にいた子が13歳になり、10歳、4歳の三姉妹と、かしましくも楽しい「ちょい田舎暮らし」を楽しむ、そんなお話である。 とうたんのアウトドアスキルと好奇心に振り回されつつ、三者三様にとうたんとの遊びを楽しむ姉妹。特に中学生の長女は、簡単には父についてはいかないが、その歳なりの付き合い方で楽しませる父の懐の深さが優しい。 そしてとにかく食に関しては、都会では絶対に手に入らない食材が盛り沢山。調理に成功すればめっちゃ美味いし、多少失敗しても、それすらも楽しめる。「東京」でこんな食生活を送れるなんて、羨ましい。 とうたんは、アウトドア以外でも(暇なのか?)子供達の相手をよくする。そして子供達の写真などの記録をとりたがる。それはまるで、過ぎていく今を何とか繋ぎ止めようとするようで、一緒にセンチな気分になる。 大ゴマで、見開きで、展開される自然と子供達の光景に、息を飲む。そんな美しい自然と、程良く触れ合いながら生き生きと暮らしたいと願う人に贈られた「あきる野暮らし漫画」。憧れるし、あきる野に住みたくなる、そんな作品だ。 関くんの営みは仏の悟りに近づきつつあるとなりの関くん 森繁拓真影絵が趣味ブッタの教えに「自分自身より、あなたの愛情を受けるに値する人は、この宇宙どこを探してもいないのだ。あなたこそ、あなたの愛情に値する人間なのだ」という言葉があります。つまり、他人から愛されるより、まず自分で自分を愛そうということなのですが、まあ、ブッタが教えを説くからには、これはなかなか簡単なことではないのでしょう。 実際、ひとという生き物は能動的であるより受動的であることを選びがちな気がします。とはいっても、ひとはありとあらゆる外的影響を受けながら生きているのですから、真の能動というのはあり得ず、能動的になろうと努めることしかできないのかもしれません。つまり、気合いといいますか、それは心意気の話になってくるかと思われます。 話を戻せば、他人に愛されるより、自分で自分を愛すという能動的な行為はやっぱり難しい。自分で自分を認めてあげるというのは本当に難しいことだと思います。どんなに自信に満ち溢れているひとでも、案外、他人から認められた経験から、それを自らの自信と勘違いしているひとも多いでしょうし、何なら他人からわかり易く認められるために日々の行為を選択していることも多々でしょう。しかし、それは能動的に行為を選択しているのではなく、じっさいにはそういった行為を選択させられているんです。 さて、それにつき、関くんの営みは、どう考えても誰かに認められるための行為ではありません。なんなら誰からも見られないように、こっそりと隠れて行われる。彼のこの隠れた能動性こそが、まさしく自分で自分を愛することなのではないでしょうか。さらにさらには類は友を呼ぶというのか、横井さんもやっぱり能動的な存在なんです。関くんが一人遊びに命を賭けているのなら、横井さんもまたそれを見るのに命を賭けている。見るという行為、これは実はとても大変な行為なんですね。目をひらけばものはみえてしまうわけですから、見るという行為は基本的には受動的な行為なんです。これを能動に転じさせるにはやはり飽くなき鍛練が求められることでしょう。横井さんも気合いといいますか、心意気といいますか、強いハートをもっている。ちらちらと目に入ってきてしまう関くんの営みを、あくまでも見させられるのはなく、自らの目で能動的に見てやろうといつも果敢に挑んでいる。だからこそ彼女は関くんの一番の天敵でありながら、関くんの一番の理解者ともなり得るわけです。この目の付け所、シャープすぎない?枯れ専女子高生と時かけおじさん ももたんsogor25タイムリープもので当人と仲の良いキャラや聡明なキャラが何かを察するっていう展開はよくあるけど、タイムリープした相手に対する違和感を察知した理由が"枯れ専だから"っていう、目の付け所がシャープすぎる作品。 40歳から17歳の頃にタイムリープしてきた"時かけおじさん"曽根崎君はとりあえずタイムリープがバレないように取り繕って高校生活を送ってるんだけど、要所要所に40歳サラリーマン感、おじさん感が滲み出てしまっていて、そしてそれをあんまり自覚してなかったりする。そしてそんな曽根崎君の様子が"枯れ専女子高生"日向さんの枯れセンサーに見事に引っかかっていく。 "枯れ専"という1つのフックだけでタイムリープという割と使い古された感のある設定がこれほどまでにエッジの効いたものに見えるのか、という新鮮な驚きがある作品。 1巻まで読了2話目からの怒涛の展開がすごい野人転生 小林嵩人 野人名無し※ネタバレを含むクチコミです。 美男美女版シャーロック!文豪ストレイドッグス外伝文豪ストレイドッグス外伝 綾辻行人VS.京極夏彦 朝霧カフカ 春河35 泳与mampuku不敵な【殺人探偵】綾辻行人と、彼を危険人物として監視する内務省のエリート捜査官・辻村深月のスタイリッシュで凸凹なコンビによるサスペンス。 個人的な感想になりますが、辻村深月がバチクソ好みです。パンツスーツ姿の似合う理知的な女性が銃を持って大立ち回り。カッコいい!でも稀代の奇人・綾辻に手玉に取られてぐぬぬなところが可愛い! そして探偵がミステリアスなイケメンなら、悪の黒幕・京極夏彦もまたシュッとしたジジイでこれまたかっこいい。冒頭の滝壺のシーンからも、ホームズとモリアーティ教授をオマージュしていることは明らかです。綾辻も作中でパイプをふかしてますがコカインだったり……いや相棒が捜査官ならそれはないか。 ちなみに京極は和服に指ぬきグローブというあのお馴染みの出で立ちでしたwコワモテだけど優しいギャップ男子…を愛でるコメディ僕らは静河くんを愛でている 桐原いづみsogor25大柄でコワモテな男子高校生、静河大吾。初めて会う人には怖がられるけど、実はとっても心優しいというギャップの持ち主。今作はそんな静河くんの日常の物語。 …そして、彼を全方位から見守り愛でる、同級生の葉崎祐介と静河くんの義理の妹・はずみの物語。 もちろん静河くん自身が周囲の人々と繋がっていくんだけど、それ以上に"静河くんを愛でる"という共通の目的のために同盟関係に入っていく祐介とはずみ、その関係性が面白い。そしてどんどん出会う人々を巻き込んでその同盟の輪が大きくなっていきそうな予感。なんだろうかこの幸せな空間は。 1巻まで読了百合の飴玉235粒、甘く切なく。百合ドリル 奥たまむしあうしぃ@カワイイマンガ実力派百合作家達が、お題に沿った1ページの百合漫画を描いていく「百合ドリル」シリーズ。同じお題に対して、各人様々な成分を配合してギュッと凝縮した、十人十色の百合表現。甘酸っぱかったり、ちょっと辛かったり、ひたすら甘ったるかったり……それぞれ魅惑的な味の飴玉のような掌編が、無印・応用編・難問編合計で235編。 あまりに濃厚なので、ページ数の割に読み進めるのに時間がかかる。ゆっくり読むもよし、時々引っ張り出してちょっと読むもよし。百合成分が不足してるな……という時に、すぐに補充できる、やっぱり飴玉アソートパックのような、おいしい作品集。 【無印】 基本的な百合のジャンルに沿ったお題。基本と言いつつ、すでに超濃厚。これだけでもしばらくは楽しめるが、そのうちもっと欲しくなる(何かやばいものを勧めているような気がしてきた……)計117編。 (内容)学生百合/同棲百合/姉妹百合/年の差百合/社会人百合/ファンタジー百合/幼なじみ百合/先輩×後輩百/最高に興奮する百合 【応用編】 1ページの漫画を元に、発想を広げた数ページ〜20ページ程度の漫画が描かれる。発想の広げ方が様々で面白いし、百合成分が広がっていく様は、濃厚なアロマオイルを部屋にミストで充満させているようで、豊かな気分になれる。計16編。 (内容)学生百合/同棲百合/姉妹百合/年の差百合/社会人百合/ファンタジー百合/幼なじみ百合/先輩×後輩百合/最高に興奮する百合 【難問編】 お題が難解になるも、テンションは全く変わらず、1ページに繰り出される百合は尊い。ただ、感情がより複雑になって、中毒性は強いかも(だからやばいものとかではなくて……)計102編。 (内容)学生百合/大人の百合/キスのある百合/吸血鬼百合/いけないとわかっているけど…な百合/本当にあった百合/バトル百合/となりのお姉さんとなにかする百合/ベッドにおける(※敷き布団も可)百合/未来の百合/後世に残したい尊き百合 むかしむかし新宿に・・・アンラッキーヤングメン 大塚英志 藤原カムイ影絵が趣味ビレッジバンガードというジャズ喫茶がありました。時代は学生運動の隆盛極まる1960年代の終盤。ここに学生運動にはどうも熱心にはなれない青年が集います。小説家を目指す中上健次、映画監督を夢見る北野武、そして連続射殺魔の永山則夫。さらに学生運動の側から永田洋子が合流。 社会の爪弾き者同士、ふしぎと意気投合する北野と永山。いつも言い訳ばかりでなかなか映画を撮ろうとしない北野が永山に出演依頼をかけ、脚本に着手し始めます。そして紆余屈折ありながら出来上がった脚本は、三億円を乗せた現金輸送車を襲う内容でした。 さあ、どこまでが真実で、どこからがフィクションなのか。 三億円事件は1975年に時効成立。 永田洋子については山本直樹の『レッド』を参照されるべし。 中上健次は1990年に獄中小説家としての永山則夫を擁護。 永山則夫は1997年8月に死刑執行。 北野武は1997年9月に自身が警察官に扮して銀行強盗をする映画『HANA-BI』でヴェネチア国際映画祭のグランプリを獲得。「母の話」Twitter掲載分&小ネタまとめプリンセスお母さん 並庭マチコ名無しの姫プリンセスお母さん2019/11/29(金)に紙&電子書籍で発売です🎊 【Twitter漫画まとめ】 (↑旧 新↓) 1 私の母が奇声を出すけどまさかの思いやりだったという話 2 母の妄想についていけない話 3 母のムチャ振りに困っている話 4 母の一人芝居についていけない話 5 母の仕事先が貴族のサロンみたいになっている話 6 アラサーの私に母が年相応でないものを買ってくる話 7 母が私にごはんを沢山食べさせようとしてくる話 8 母が上司の犬になってる話 9 夏なので、姉から聞いた怖い話 10 家族が私の料理に対して圧が強い話 11 母が推しのライブに行ってヤバみが極まってた話 12 朝おきると母が踊っている話 13 母の聞き間違えがおかしい話 14 父にいつまでも子ども扱いされてる話 15 母によくペットと呼び間違えられてた話 16 母の元気の出しかたがホーリーだった話 17 姉ちゃん実録 修正版 18 母の妄想が膨らみすぎてる話 19 両親の性格が似てなさすぎる話 ▼私の母が奇声を出すけどまさかの思いやりだったという話 https://twitter.com/manga_m/status/1118833445994553344?s=20 ▼母の妄想についていけない話 https://twitter.com/manga_m/status/1134432940857815041?s=20 ▼母のムチャ振りに困っている話 https://twitter.com/manga_m/status/1136972014017638401?s=20 ▼母の一人芝居についていけない話 https://twitter.com/manga_m/status/1139503821942509568?s=20 ▼母の仕事先が貴族のサロンみたいになっている話 https://twitter.com/manga_m/status/1147457343744909313?s=20 ▼アラサーの私に母が年相応でないものを買ってくる話 https://twitter.com/manga_m/status/1149968140454862848?s=20 ▼母が私にごはんを沢山食べさせようとしてくる話 https://twitter.com/manga_m/status/1152179988377944064?s=20 ▼母が上司の犬になってる話 https://twitter.com/manga_m/status/1152179988377944064?s=20 ▼夏なので、姉から聞いた怖い話 https://twitter.com/manga_m/status/1157860725592743936?s=20 ▼家族が私の料理に対して圧が強い話 https://twitter.com/manga_m/status/1161131038929588225?s=20 ▼母が推しのライブに行ってヤバみが極まってた話 https://twitter.com/manga_m/status/1162689052539101184?s=20 ▼朝おきると母が踊っている話 https://twitter.com/manga_m/status/1164876016184991744?s=20 ▼母の聞き間違えがおかしい話 https://twitter.com/manga_m/status/1170170576721235969?s=20 ▼父にいつまでも子ども扱いされてる話 https://twitter.com/manga_m/status/1172470662146879488?s=20 ▼母によくペットと呼び間違えられてた話 https://twitter.com/manga_m/status/1175335985271296001?s=20 ▼母の元気の出しかたがホーリーだった話 https://twitter.com/manga_m/status/1177551067040452608?s=20 ▼姉ちゃん実録 修正版 https://twitter.com/manga_m/status/1185176694342074368?s=20 ▼母の妄想が膨らみすぎてる話 https://twitter.com/manga_m/status/1195900550161690624?s=20 ▼両親の性格が似てなさすぎる話です https://twitter.com/manga_m/status/1197777312445370369?s=20 **家族の小ネタ** https://twitter.com/manga_m/status/1102181231339307010?s=20 https://twitter.com/manga_m/status/1180067783297531904?s=20 https://twitter.com/manga_m/status/1171376209453707264?s=20 https://twitter.com/manga_m/status/1171358299905609728?s=20 https://twitter.com/manga_m/status/1171004171467624448?s=20 https://twitter.com/manga_m/status/1167702714639212544?s=20 https://twitter.com/manga_m/status/1167354851166081024?s=20 https://twitter.com/manga_m/status/1167362404268703744?s=20<<9293949596>>
第一話に「この本は事実に基づいたフィクションです」 と書いてある。 このフレーズを掲げる作品は危険だと思っている。 「ようするにフィクションだよね」 という話になりがちだから。 「手打ち風うどん」「本場風中華」 みたいなやつになりがち、とどまりがち。 それで面白い作品(例としてあげれば梶原一騎先生の作品) になっているならよいけれども、 たいして面白くもない、という作品も多い。 「水族館で働くことになりました」は 事実に基づいたフィクションという描き方を 最適に活用した面白い良作品だと思う。 別の言い方をすれば、 わざわざこのフレーズを書かなくても済ませられた かもしれないが、正直にあえて書いて、 そしてそれが正しかった漫画だと思う。 ノンフィクションには「真実という価値」があるが 真実には過激だったり不快だったりする面が 含まれていることもある。 そこを除外したり脚色すれば、 ノンフィクションという価値は 下がるか無くなってしまう。 水族館の仕事も、真実を忠実に描こうとすれば もっと肉体的にも精神的にもキツイ面を 描かざるを得なくなると思う。 早出・遅番・宿直のつらさ、衛生面や匂い、 怪我や病気や、潜水仕事などでの命の危険。 そして何より命を預かっているという重圧。 だがそれをノンフィクションで忠実に描くことは 水族館側が望むことでは無いと思う。 お客様には、生き物を飼育することが大変だと 知ってもらいたい面もあるだろうと思うが、 知ってしまったら、単純に楽しむことが 出来なくなるかも知れず、それは水族館としては 避けたいことだろう。 そこに配慮して「水族館で・・」は 事実に基づいたフィクションということで 上手く、そして面白くて、良い意味で 水族館側が望んでいる漫画にしていると思う。 その点で、日高トモキチ先生は凄く上手い。 主人公が活き活きと明るく仕事をしている。 大変なんだろうな、と適度には思わせながら。 読んでいるほうとしてはホノボノする感じを受ける。 愛嬌のあるキャラの仕草やセリフで。 そういったいかにも漫画的な手法で。 読んだら水族館は楽しいところだなと感じ、 飼育員さん大変だけれど頑張ってね、と思うようになる、 事実に基づいたフィクションだからこその とても面白いと感じる、お仕事エッセイ漫画だった。