講談社マンガの感想・レビュー6230件<<219220221222223>>設定も、演出も、物語も文句なしで面白い黒博物館 ゴーストアンドレディ 藤田和日郎ニワカ※ネタバレを含むクチコミです。男女混合オメガバース!名門一族後継争いオメガ・メガエラ 丸木戸マキたか 馬宮の『きれいなディオ様感』がいい。やはり顔の良い貧しい生まれの男が成り上がる物語は最高ですね…!丸木戸マキ先生のレトロな絵柄と、昭和の旧華族やら上流階級っぽい世界観がマッチしてて雰囲気が素晴らしい! 子どもを生むことができない「メガエラ」として蔑まれている主人公・犀門が、愛する夫の第一婦人の座に戻るために他人を利用していくさまに痺れました。 やはり愛憎と権力欲のドロドロは、ハズレのない面白さ。 馬宮とともに、日本有数の名家を欺く…それは日本の社会システムを覆すことそのもので震える…! 世界観が古めかしいのにときどき言葉遣いが現代すぎるところがすこし気になりましたが、ストーリーがおもしろいのでオッケーです! いつもBLを読みつつ「オメガバースに女性のαとかΩとか出てくれば面白いのに、なんで出てこないんだ?」と思っていましたが、よく考えれば女性にたくさん焦点が当たってしまうとBLじゃなくなってしまう!!…そりゃそうだ。 丸木戸先生いわく、この作品はBLではなく『BLみあるドラマティックな少女漫画』とのことです。 萩尾望都、古屋兎丸作品が好きな人はハマると思うのでぜひ読んでください! 【追記】 マンバのクチコミで知った杉山美和子先生の『Bite Maker ~王様のΩ~』も女性が登場するとのことです(気になりつつまだ読めてません) https://manba.co.jp/topics/16353巧みな表現に目を奪われる紙飛行機とデンパ塔のお話 川崎朝木にわか※ネタバレを含むクチコミです。ただただ気持ちよく振り回されてしまう来世は他人がいい 小西明日翔にわか※ネタバレを含むクチコミです。 バトスタ最終ページ煽り文の元ネタを拾っていくバトルスタディーズ なきぼくろ名無し「球児ノワール」 多分、お皿メーカーのキュノワールから爽やかな失恋東京マーブルチョコレート ハロー、グッバイ、ハロー。 谷川史子名無しプロダクションI.G制作のオリジナルOVA『東京マーブルチョコレート』の前日譚を、谷川史子が漫画化した作品。 原作の主人公二人のそれぞれの報われなかった恋が描かれており、二人の出会いにつながる終わり方をしている。いわゆる悲恋ものだが、自身の感情をはっきりと口にし、相手にちゃんと応えてもらう形を取っているので読後感は爽やか。女の子の笑顔が素敵で印象的なのも魅力的だった。いちえふ 福島第一原子力発電所労働記いちえふ 福島第一原子力発電所労働記 竜田一人兎来栄寿「いちえふ」、と聞いて何のことか判るでしょうか? 世間では「フクイチ」と呼ばれることの多い東京電力福島第一原子力発電所。その呼称は、現場の人間や地元住民の間では「1F」であるといいます。今作は実際に1Fで働いて来た筆者による実録ルポマンガです。 これまでに多くの人が様々な形で福島第一原発について報じてきました。又、3.11や原発をテーマにしたマンガも出版されて来ました。しかし、その中でも現地で原発作業員として働いた人間が、そのありのままの様子をマンガという形で表した物はありませんでした。今作はモーニングで連載開始されるやいなや、国内外数多くのメディアでも取り上げられ大反響。今回はその単行本の感想を書いてみたいと思います。 現地で働くことを志望してもなかなか仕事を回して貰えず、現地で観光をして時間を潰したり原発に何の関係もない仕事を回されたりする6次下請けという歪な構造。 「ご安全に!」という、耳慣れない挨拶が交わされる現場。 身に付ける装備一つ一つに厳密な線量検査を行う一方で、汚染検査済証の半券はコピー用紙を定規で裁断。 東北とはいえ夏は暑く、放射能よりもダイレクトに命に関わる熱中症。 掻けない鼻の痒みの辛さ。 色んな年代が集まるなか、ギャンブルと下ネタが会話の大部分を占める男所帯。 何故か可愛い顔文字が書かれているJヴィレッジの入退記録。 危険区域でもセミはうるさく、道路には牛が飛び出してくることもあり、奇形動物など見た試しもない。 発電所や休憩所の構造、装備品の形状などなど……この作品を読むことで、今まであまり語られて来なかった現場の実情を沢山知ることができます。 > 「外の人に『1Fで働いている』なんて言うと超危険な現場でものすごい被曝しながら戦ってるヒーローみたいに言われたりシますけどね」 > 「なんの実際大半は俺達みたいに安くて地味な仕事タイね」 という会話も。裏方で機械や車のメンテナンスを行ったり、トイレの掃除をしたりする裏方の仕事も克明に描かれます。 > 「そやけどそんな仕事もやる奴がおらんと1Fは回らんのや。どんなつまらん仕事やろうとここで働いとる事には胸を張っていいと思うで」 と語る年配の明石さんがとても凛々しく見えます。現地で働く、あるいは働いていた方々には、感謝と敬意を表します。 メディアを経由して想像される「フクイチ」ではなく、一人一人の人間がそれぞれの想いを抱えて当たり前のように生きて働いている「1F」の姿が解る今作。 やはりマンガは、そのヴィジュアル要素を含む媒体としての特性ゆえに、字だけで書かれた本よりも何倍も解り易く物事を伝える力を有していると思いました。 貴重なドキュメンタリーとして、老若男女問わず一人でも多くの人に触れてみて頂きたいと強く願います。 かっこいい女性が活躍する漫画が読みたければまずこれを読め鉄腕ガール 高橋ツトムmampuku 戦後間もない頃、男女平等の機運が高まりつつある中、ビジネスとしての女子野球を立ち上げるべく奮闘する女たちの物語。主人公でチーム「キャンディーズ」のエース・加納トメがとにかく痺れるほどかっこいい! 高橋ツトム先生の作品らしく、政治やビジネスの駆け引きやハードボイルドな部分も多く、純粋な野球漫画というわけではないですが、その複雑さが面白さに深みと厚みを与えていますね。「料理マンガだと思って読んでいたのに、暴力沙汰や場外での足の引っ張り合いがひどすぎてテンションが冷めた」みたいな漫画も結構あるなかで、「鉄腕ガール」は理想的なスポーツ青年コミックだと思います。 時代モノだと戦国や幕末、明治などが人気のジャンルですが、戦後復興の時代が一番熱く燃えていて、読んでパワーをもらえる気がします。一生懸命考えてる東堂院聖也が面白いなぜ東堂院聖也16歳は彼女が出来ないのか? 内乃秋也 茂木完田むサラッと読めてしまうマンガ。 東堂院聖也が悶々と考え続けるわけですが一人考えて、もしくは振り回されて考えてる様、好感がもてる!! いや、彼女できる!できるよ! そのモノローグを全部声にだしてしまえば彼女できるよ!なんか応援したくなってしまいます。彼女どうこうより彼の独白が一番面白いですね。残酷なまでの天才に、秀才は努力と執念で勝てるか?神様の横顔 朔ユキ蔵兎来栄寿才能を問い、芸術を問い、魂を焦がす美しき絶望と希望。 この物語の中には、こんなシーンがあります。 > 芸術と命の輝きは理屈を超越しとるんだ > それに触れただけで生きがいを感じ > すべての現実を忘れられるかのような瞬間を生む > > 空腹を忘れられる芸術を > あなたが感じたことがないのなら > そのことのほうが不幸だ この言葉は、作中では現実の飢えや貧困、それによる死を間近にしている者に「富める者の傲慢」と断じられはします。しかし、少なくとも理屈を超越し寝食を忘れて生きる歓びを与えてくれる芸術の存在を私は沢山知っています。むしろその為に、すべてを忘れて没頭し、胸を焦がされ脳を支配されるような体験と出逢うためにこそ生きていると断言できます。 食べた野菜や肉は身体を形成しますが、鑑賞した芸術は同様に心や魂の一部となります。そして、身体と違って物質的な制約がない分、幾千幾万幾億の世界や人生を味わうことができます。一回性の人生に与えられた、限りのない派生を可能にする階。俗世の理を超えた存在。それが芸術であり表現というものでしょう。 そして、この『神様の横顔』もまたそういった理を超えた所にあることを強く感じさせてくれる作品です。 ■秀才と天才の紡ぐ物語 人間は天才が大好きです。圧倒的なパフォーマンスで周囲を、常識を、世界までもをドラスティックに改変していく。そんな天才の姿に憧れます。願わくば、自分もそんな才気を発揮したい。自分も天才だったなら……。誰もが一度は思うことではないでしょうか。『神様の横顔』が描くのは、そんな天才と、才能を渇望する秀才の物語。 才能はどこから やってくるのか? 地からわき出すように 体の中に生まれるのか? 天から降るように 与えられるのか? 持つ者と持たざる者は すでに決まっているのか? > 嫌だ!! > 才能が生まれた時から決まってるなんて… > 俺は…信じない――!! 主人公・千鳥敬太郎のこんな独白から物語はスタートします。 そして、冒頭で敬太郎が祖父の創設した「青年劇団千鳥」の首席スターの華やかさに心奪われ、憧れるシーンが描かれます。「僕も真ん中に立ってあの人のようになりたい」という敬太郎の原体験は十分な説得力を持っており、物語の幕開け直後から入り込んでいけます。 成長した敬太郎は容姿・実力ともに申し分なく、千鳥で学年トップの座につき将来の千鳥のスターを嘱望されていました。しかし、理事長であり義母である千鳥藤子から「千鳥初の地方試験合格者である麦蒔摂(むぎまきせつ)に会って、あなたは真の首席スターではないと解った」と宣告されてしまいます。麦蒔こそは、秀才である敬太郎に立ちはだかる圧倒的天才。敬太郎は、同室で暮らすようになった麦蒔の才能を様々な局面で徐々に目の当たりにしていきます。 しかし、自分と掛け離れた圧倒的な才能を前にした敬太郎が陥ったのは絶望ではありませんでした。敬太郎は、麦蒔によって進むべき道を希望の光で照らされたと感じたのです。秀才の飽くなき野心にゾクゾクしつつ、滾ります。自らの凡庸さを自覚した上での戦い。それは、多くの人にとって少なからず共感できる所があるでしょう。 残酷なまでの天才と秀才の対比は、その後も切々と描かれ続けていきます。演技することを楽しむ麦蒔と、苦しみ悩みぬく敬太郎が同時に描かれる残酷なコントラストは特に印象的です。単行本の表紙においても、一巻の全てを覆うような黒の中で正面を向いて強く唇を結ぶ敬太郎と、二巻の純白の中で天使のような翼を生やして一人だけ神様の方へ向かっているかの如く横顔で柔らかく微笑む麦蒔という明暗の描かれ方。陰と光。月と太陽。果たして、敬太郎は自ら光輝き神様に正面から微笑んでもらえる日が来るのか。 演技での天才と秀才の激突というと『ガラスの仮面』を思い出さずにはいられないですが、『神様の横顔』はそこに留まらず彼らの間に生ずる感情も注目すべきポイントとなっていきます。ある意外な設定がもたらす関係性への波紋は、他の天才VS秀才の物語でもあまり見られない類のものです。又、1935年というのは第二次世界大戦の直前でもあります。藤子が「3年で次の主席スターを育てる」というセリフがありますが、もし育ったとしてその翌年、1939年からは大戦が開戦します。激動の時代の中で、彼らや千鳥はどんな運命を辿るのか。 ここで語った以外にも、本作には尽きぬ見所があります。特に十話は内容も、それを読んだ後に噛みしめる日本語/英語のサブタイトルも最高です。語りたくとも語れないその良さは、ぜひ読んで実感してみて下さい。 モテないことに説得力のある漫画なぜ東堂院聖也16歳は彼女が出来ないのか? 内乃秋也 茂木完田名無し眉目秀麗、文武両道、金持ちと三拍子も四拍子も揃った主人公。天から二物も三物も与えられている男である。でもモテない。なぜかモテる主人公はいっぱいいるが、これだけモテる要素を集めてモテない主人公は珍しい。 だが、読めばその理由がわかる。性格が悪いわけではない。行動力がないわけではない。しかし、自分をさらけ出すことができない。自分に自信がない。「彼女を作ること」が目的化してしまい、自分も相手のことも見えていない。そりゃ、モテないよって思う。ただそれでも彼女を作ろうと頑張る主人公はすごい。すごいんだけど、多分彼女を作ろうせず、何か他のことをした方が確実にモテそうなのが悲しい。 彼女ができない人は一読の価値あり。ちなみにイケメンの友人は「主人公がきつくて最後まで読めなかった」と言っていた。その友人にも彼女はいない。 これは「日出処の天子」戦争篇!レベレーション(啓示) 山岸凉子たぬきち※ネタバレを含むクチコミです。最高の疾走感とB級感CANDY&CIGARETTES 井上智徳sogor25月刊連載なのに週刊かと思わせるようなテンポのよさ。そのテンポのよさのおかげで約束された展開がより一層爽快になる4巻。そして新章に入りながらもB級感漂う4巻最後のエピソードも最高。美晴の復活劇なんかは割とベタな展開にも見えるんだけど、それを力業で押し切るテンポ感と絵力、そしてキャラのの魅力がある。 多分気に入ってもらえると思うんで、BLACK LAGOONの最新刊を買った人の買い物カゴにこっそり差し込みたい。 4巻まで読了 品がなくて好きよんでますよ、アザゼルさん。 久保保久 シマダヒデアキ(LocalSupportDepartment)ぱにゃにゃんだーお腹の毛がなぜか視界に入らず、ゆるキャラの漫画なのかなと思い、完結するまで読むことはありませんでした。試し読みがあったので読んでみたら、キャラデザはユルいんですが、ユルさの免罪符が注ぎきれないほどの品のなさで、とても笑いました。 3巻の表紙なんか思い返せば狙いすぎで、ゆるキャラで読者を釣る作戦なんですかね。アザゼルさんらしい罠でそういうとこも好きです。 以下あらすじですが、素晴らしいですね。担当さんが考えてるんですかね。ナイスなあらすじです。 「…ひと言で言うと、「こんの野郎――!!そのスカしたツラにウンコ塗りたくってやんぜ―――!!」(第2話「エリートはお熱いのがお好き」より)――という感じの漫画です!」ラグビーマンガ界を牽引する本格ラグビーマンガの雄ALL OUT!! 雨瀬シオリ兎来栄寿『オールアウト!!』は、超王道スポ根。身長190cmの長身でラグビー経験者ながら気の弱い岩清水と、小さい体ながら持ち前の威勢の良さで未経験のラグビーに挑む祇園の二人を中心に、神奈川高校の面々が花園(野球でいう甲子園)を目指して闘っていく青春群像ラグビーマンガです。 ラグビーは一チーム十五人、敵味方合わせれば三十人。他のスポーツに比べると描かねばならないキャラクターが多く、ある意味マンガ化するのが大変な競技です。実際、登場する多くのキャラ全員を覚えるのは最初は困難に感じるかもしれません。 しかし、『オールアウト!!』の強みはそのキャラクター描写。読み進めるにつれて個性豊かなチームメイト一人一人のエピソードが丁寧に描かれ、自然と感情移入します。バカなヤツ、クールなヤツ、仲間思いなヤツ、食事シーンで真価を発揮するヤツ、重い事情を背負ってるヤツ……気付けば控えのメンバーも含めて自然と愛着が湧き、応援したくなります。敵となる相手校にも魅力的なキャラが沢山出てきて、今後の新キャラの活躍も楽しみです。 そんな中で私が最も惚れ込んでいるのは、キャプテンの赤山。チーム内でも最も剛健であり、外見も謎のメッシュで厳つい男ですが、その実とても情に厚く優しい頼れるキャプテン。誰よりも勝利に貪欲で、ストイックに上を目指し続ける姿勢にシビれます。厳しい練習に、 「もっムリ…」「死ぬ…」 と喘ぎ倒れ込みそうな部員への一喝。 「愚痴る力あるならっ 走れ! 今のっ 俺たちでも 出し切ることはできるっ」 と、気持ちを強く引っ張って行く姿は堪りません。そして、その「全てを出し切る」ということこそがタイトルでもある「オールアウト」。一度きりの人生。一秒も無駄にせず、今の自分を生かしてくれる周囲に感謝しつつ、オールアウトで行きたいものです。そんな熱量を『オールアウト!!』を読むと貰えます。 主人公たちを導いて行く大人もまた魅力的。熱い激闘の間に挟まれる、人生の年輪を感じさせる大人同士の呑みシーンの会話がとても良いメリハリを生んでいます。一人一人を叱咤激励し、チームをマネジメントしていく側の想いや葛藤、あるいは楽しさといったものも描かれ、こんな良い酒宴をしたいなと思わせてくれる稀有なスポーツマンガです。 キャラクターの良さに加えて、ラグビーという競技を知らなくても楽しめる丁寧な作りもポイント。細かいルールも、ラグビーを知らない主人公祇園と同じ目線で学びながら読み進めて行くことができます。『オールアウト!!』を読んでおけば、ラグビー観戦がより楽しくなること間違い無し! 2019年には、日本で9回目のラグビーワールドカップも開催されます。『オールアウト!!』のアニメ化も伴って、今後ますますラグビー旋風が吹くことでしょう。ぜひ今の内から『オールアウト!!』を読み、ラグビーの熱き世界に触れてみてはいかがでしょうか。 ちょっと悲しい気もするけど幸せで素敵な体験ができる本いないボクは蛍町にいる タナカミホ名無しパラ、とめくった時に宮崎夏次系の絵っぽくてアーティスティックな作風かな、と思った。 主人公は友人を交通事故で亡くしてしまうんだけど、星に願ったらその友人に会えるようになってしまう。 切り株の穴を潜るとか、蛍の光を追いかけるとか、どこか童話的だなと思うけど主人公の健の心情とか友人とか人間が描かれててストーリーはすごく大人…な気がする。 何というか、大人が夏休みのある一日を振り返ったような、そんな感じもしてくる。どこか懐かしいような。 悲しい始まりなのに、死んでしまった人は別のどこかで生きてるとか、こうあって欲しいな〜ってことが漫画では実現できる。 だから幸福感を感じるのか。子供の話だから懐かしさを感じるのか。 タッチも作品に合っていて総じて素敵だな〜って思う。 うまく説明できない。ちょっと読んでみて欲しい。 「老いるとはどういうことか」を示してくれたマンガヘルプマン! くさか里樹たか大学生だった2012年頃によんでますよ、アザゼルさん。を追うためにイブニングを読んでいて出会ったのがヘルプマン!22巻に収録されている「介護企業編」でした。 主人公・飛石が介護ビジネスで一儲けしよう企む過程で誰もやっていない、利用者を喜ばすケアプランを思いつくものの、プラン内容は全て国の定める介護保険法に違反することを知る。 当時、今は亡くなった祖母が施設に入っていたこともあり、飛石と同じ目線で驚きながら介護について学ぶことができました。 次の「認知症予防編」は、元宇宙飛行士の女性が父を介護することになり、認知症の衝撃的な現実を(壁に…)目の当たりにするというエピソードもすごく好きでした。 ヘルプマン!は後半のこの2編しか読んでいないので、ずれ全部読み通したいです。正義も悪役もいないストーカー浄化団 オオイシヒロト オオガヒロミチ名無しストーカーを懲らしめる集団。そこまでは誰でも想像するけど一巻読み終わると「なるほど、そういうことね」と納得する。 行き過ぎたストーカーを止めるのはヒーローではない。 無償で被害者を助けるヒーロー的なものは存在しないということ。 「被害者側」も「加害者側」もこの「ストーカー浄化団」もそれぞれエゴを持ってて最終的に全て綺麗に解決する様、見てて気持ちいいです。 かっこよくも見えてくるし、恐ろしくも見えてくる。彼女がどういう人間か…アスペル・カノジョ 萩本創八 森田蓮次む最初はおしかけてきた彼女(斎藤さん)人とズレてるし言動がやばいし好きになれなかったけど回を進めるごとに彼女がどういう人物なのか丁寧に描かれててどんどん好きになってきました; 小6の夏、友達が死んだ。もう一度だけ彼と遊びたい……ボクはそう願った。いないボクは蛍町にいる タナカミホ兎来栄寿> 「なァんかさ思い出すンだよナ > クラス離れてから遊ばなくなった奴とか > 転校してったやつとかを > でも それでも仲良かった奴って覚えてるだろ?」 > 「――…ウン > 普段思い出すことはないけど > 忘れることもないよ > ずっと覚えてる」 ページを開くと在りし日の想いを、鮮烈に蘇らせてくれる…… 今回紹介する『いないボクは蛍町にいる』はそんな作品です。 小学生の頃、一番仲が良かった友人のことを覚えているでしょうか。 私は今も彼との想い出を昨日のことのように思い出せます。 40日以上の長い夏休み。 好きなだけ寝坊できて、でも夏休み特別アニメの時間には起きて。 普段は観られない昼ドラまで観て。 毎日のように遊んで。 プールやイベントや海や山に行って。 そして、最後の数日は溜めに溜めた宿題に追われて……。 その時、夏休みの日記に何度も書いた名前。 中学で離れ離れになった後もたまにやり取りすることはありましたが、今何をしているのかはもう判りません。ただ、元気に生きていてくれれば良いなと思います。 『いないボクは蛍町にいる』には、小学生の時分ならではの喜怒哀楽が鮮やかに描かれていて、当時の自らの記憶や感情が強く呼び起こされました。 他人から友達へと変わる最初の些細な切っ掛け。 重いランドセルを背負った登下校中の、他愛もない会話や奇行。 わずかな休み時間を目一杯校庭を駆け回って遊んだ時間の楽しさ。 些細なことで守れなかった、友達との約束。 もっと優しく接することができたはずなのに、幼さ故にそうできなかったこと。 それらに対する後悔や気不味さの苦味。 読み手によって、様々なシーンで様々な想いが引き出されることでしょう。子供という存在のリアリティを感じ取れる数々の表現からは、筆者の誠実で真摯な眼差しが感じられます。 この物語の主人公・健(たける)は、大切な友人・卓哉(たくや)を交通事故で喪くしてしまいます。 小学6年生というのは、一般的に考えられているよりもずっと大人で分別もつく歳だと個人的には思いますが、それでも大人でも辛い友人の死を受け止めるには幼すぎるのも確かでしょう。 しかし、健は卓哉が言っていた「不思議な光る物体」に導かれた先で、卓哉が生存しているもう一つの世界線のような町に行き着きます。自分の住んでいる町とほぼ同じながら、少しずつ違う所もある町。この不思議な世界を行き来しながら、切なく優しいドラマが紡がれて行きます。 本作で特に印象的だったのは、ある人物が健にこんなセリフを述べる一連のシーン。 > 「…ボクもねぇ > 不幸を嘆いたことがある > 何度も 何度もね > …だけどねそんな中でも > なにかに感謝する気持ちを持てたとき > それは立派な幸福の気づきだと思うんだ > …この歳になってようやく > そう思えた」 この言葉は、友達を喪って自暴自棄になっていた健の心にどんな響きをもたらしたでしょうか。 そして、健を通して読者の心にも慈愛をもって響いてくるセリフです。 誰かに何かを感謝することができるなら、それは幸せなこと。そんな幸せを、人は生きているだけで日々沢山もらっているはずですが、不幸に囚われるとそのことを簡単に忘れてしまう。だからこそ、辛い時ほど感謝する気持ちを大事にして生きていくべきだ、と。 最後のページの健の表情を見た時、澄み渡るような気持ちになると共に、この作品に出逢えて本当に良かったと思いました。 ひと夏の哀しい喪失と優しい奇跡を経て、少年が成長する物語。 現実と地続きの少し不思議な世界を一度は体験してみたい、と思ったことのあるあなたに強くお薦めしたい一冊です。 唐突だけどなんかわかる雪女と蟹を食う Gino0808名無し読んで思ったことは「あれ?作者女性の方なんじゃ…?」でした。 主人公は自殺を図るおっさんなのですがとても共感できる… 自分も死ぬくらいなら死ぬ前に蟹がくいてぇ!! 影がある人妻も何も身の上話をしていないのにキャラが立ってるんです。 主人公も雪女のような人妻も、実は似てる人間な気がします。 まったく違うのに似てる人間が出会ってしまった! 似ているからこそ葛藤して惹かれ合う気がします。 男は多分死ぬ危機感を感じたら性欲が勝る生き物だと思います。死ぬ前にふらっと北海道行きたいわ…っていう心情はちょっと女性的ですね。 いい意味できつい作品だなと思ったら岡田麿里だった荒ぶる季節の乙女どもよ。 岡田麿里 絵本奈央名無し思春期に異性との距離感を図りかねていた人には刺さる作品。正直言っておかしいでしょ、みたいな展開、理論はあるがちょっと悔しいことに面白い。 要所要所嫌な思い出が蘇るシーンがないでもないけど笑 小さな町の呪いと幸福花井沢町公民館便り ヤマシタトモコにわか※ネタバレを含むクチコミです。圧巻のクライマックス無限の住人 沙村広明ぱにゃにゃんだー漫画の終え方は難しいとよく聞きます。しかしながら、ムゲニンの終盤は美しくてため息がこぼれます。物語の佳境と長期連載で培われた作画技術があわさり素晴らしい出来です。 一方で、物語の序盤は、そんなに私の好みではありませんでした。主人公が不死身の侍と聞けば、捨て身の特攻無双のチートキャラをわたしは思い浮かべるのですが、ムゲニンではそうはいかない。万次さんは不死身だけど微妙に弱い。いえ、弱いわけじゃないんだけど、自分より強い敵には普通にガチ苦戦する。きっと登場人物を強さでランキングしていったとき、上の下くらいになりそう。だから、根性と策略でなんとかやり過ごしていく。その泥臭さたるや、愛想がいいキャラではないのに応援したくなるほど。 そういうのが好きな人はきっと序盤から楽しいはず。なんやかんやで主人公が圧倒的なほうが好きだとヤキモキするかも。けど、前述の通り、最終的には圧巻のクライマックスです。読んで良かったーという感想しかありません。 <<219220221222223>>
※ネタバレを含むクチコミです。