兎来栄寿
兎来栄寿
1年以上前
幽霊との恋愛を描いた作品は切ない名作が多いと相場が決まっています。おキヌちゃんから幽奈さんまで、幽霊ヒロインというのも時代時代に現れては人気を博してきている歴史があります。 今年の幽霊ヒロインで1位をぶっちぎりそうなのが、この『僕の部屋のユウ子さん』のユウ子さんです。 幽霊を怖いと思ったことがない青年・カンナが、ユウ子の起こす心霊現象を恐れることなく自然体で同居して行くコメディとなっています。 どうやらJKの幽霊らしいユウ子さんは、段々とカンナへの想いを露わにしていき、同時にカンナもユウ子のことを意識しだしてラブがコメっていきます。 やきもち焼きであるユウ子の嫉妬心が剥き出しになるシーンから、甲斐甲斐しく助けてくれる場面まで、少しずつ進んでいく関係性に拍手喝采です。 作者である武川展子さんのアナログ作画も良い味を出しています。大友克洋さんの系譜を感じさせる80〜90年代の懐かしさもありながら、全体を通して読みやすいです。 そして、とにかくユウ子さんが絶対的にかわいいです。本作の魅力の究極はそこに尽きるでしょう。 かわいい幽霊ヒロインをお探しの方や、少し変わったラブコメを読みたい方にお薦めです。
ゆゆゆ
ゆゆゆ
1年以上前
食費をうっかりお酒代にかえては、一緒に暮らすハルに叱られる生態操作師のおじさん・オト。 料理はすごく不味いらしい、射撃の腕はピカイチな若者・ハル。 人以外の遺伝子をもつ異形成キャリアと呼ばれる人たちがいる世界。 水没した街には何故か特に多く住んでいる。 この世界の法律では人以外の組織の割合が一定を超えた異形成キャリアは基準外キャリアと呼ばれ、人とはみなされない。 とはいえ、見捨てられた水没した街の人々は、他の生き物のパーツが体に発現するまで、自分が異形成キャリアであることすらわからない。 街に近い洋上で暮らすオトとハルは、国の定めた基準を超えてしまった異形成キャリアの人たちを、生体操作をして助けていく。 人以外の組織が1%でも超えたら人ではなくなるのは、おかしくないか。 服などで見えない部分が超えていたらわからないのに、人ではなくなるのか。 人間らしい思考を持っているのに? じゃあ、人間らしい思考を持っていたら、あきらかに別の生物でも人なのか? 「人間と他の生物を分かつものは何か」 あらすじにあるこの問いを、「螺旋じかけの海」は様々な物語から問うている。 そして、めずらしい(より人のかたちに近い)異種形成キャリアは高値で取引されることが、問題を複雑にする。 作者の本職は医者とのこと。 色々悩みながら描かれているのかもしれない。 小難しい漫画に思えるが、食えない性格のオトとおだやかそうなハルの掛け合いがおもしろいので、さくさくと読める。 続刊があるのかないのかわからないけど、続くなら読みたいなと思う。 追記 11話の5巻でいったん終わりだと、単話11話前編として公開された電子書籍内に書かれていました。 https://twitter.com/nagatarj/status/1642143272561954818 追記の追記 5巻が発売されました