塩の街 ~自衛隊三部作シリーズ~

不朽の名作『塩の街』のコミカライズ作品 #1巻応援

塩の街 ~自衛隊三部作シリーズ~ 弓きいろ 有川浩 有川ひろ
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この作品は『図書館戦争』『阪急電車』『フリーター、家を買う。』などで知られる有川ひろさんのデビュー作である小説『塩の街』のコミカライズ作品です。 舞台は突如発生した「塩害」により関東の人口が3分の1にまでなってしまった日本。 一般的には塩害とは塩分の影響により農作物などに被害が生じることを言いますが、この作品における「塩害」はそれとは全く異なります。 それは、作中で描かれている街中にまるで雪のように塩が積もっていることからも分かると思います。 そんな「塩」に囲まれた東京で生きる女子高生の小笠原真奈と、彼女と共に暮らす秋庭高範の2人を描いていくのがこの作品です。 『自衛隊三部作』と呼ばれるシリーズの1作目に数えられるこの作品は、ミリタリー要素や「塩害」の正体にまつわるSF的な要素も織り交ぜつつ、真奈と秋庭の2人に訪れる数々の出会いと別れを通して変化する2人の関係性を描いていく、崩壊寸前の世界で育まれる純粋な愛の物語です。 原作を読んだことのない人はもちろんですが、"塩"の描写がビジュアライズされるだけで世界観の理解度がグッと高まるため、原作既読の人にもおススメしたい作品です! ※ ちなみにこの作品のWikipediaには「塩害」や物語全体のネタバレが書かれているので、作品を楽しみたい方はWikipediaを見る前に作品を読むようにしてください(笑) 1巻まで読了

わたしの契約結婚にはウソがある。

自殺未遂から突如舞い込んだ結婚生活、しかしそこには"ウラ"がある #1巻応援

わたしの契約結婚にはウソがある。 タナカトモ 諸星サロ
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主人公の18歳の女性・門司ヨウコは、幼い頃に親に捨てられた上に養護施設でも学校でも見た目がブサイクだからといじめを受け、おまけに仕事もお金もなく、人生二限界を感じ自殺しようとしていました。 そんな彼女を助けたのが通りがかりの謎のお金持ちのイケメン男性・霧原鑑。 彼はヨウコに「死ぬくらいなら僕と結婚しよう」とまさかの提案をしてきます。 生まれて初めて人に優しくされたヨウコは鑑の"プロポーズ"を受けることになるのですが、鑑から1つだけ結婚の"条件"を提示されます それが、「鑑の理想の顔になるために美容整形を受けること」。 ヨウコは怪しい話だと思いながらも、もともと死のうとしてた所に舞い込んだ話のため、鑑の条件を受け入れ、美容整形を受けた上で彼と結婚することになります。 しかし、彼女が整形した「鑑の理想の顔」にはある秘密がありました。 それをヨウコはテレビ番組を見ているときに偶然知ることになります。 テレビに映し出されたのは、ヨウコが整形した「鑑の理想の顔」と全く同じ顔、そしてそれは10年前に顔を切り取られた変死体で発見された被害者の顔だったのです。 この導入の時点で物語に引き込まれるのですが、マンガとしての見せ方も上手く、2話以降も読みたくなるような力があります。 そして2話以降も、2人の結婚生活の日常的な部分も描きつつミステリー要素の深堀りもあるという絶妙なバランスで展開していくので、「契約結婚のウソ」の部分はもちろん、物語全体を見ても楽しめる内容になっています。 1巻まで読了

クイーンシャムロック

広告代理店に勤める女性が出会ったのは"テキサスホールデムポーカー" #1巻応援

クイーンシャムロック トラ太郎
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この作品は大手広告代理店に務める高坂みつばが、会社の飲み会の二次会で偶然入ったカジノバーでテキサスホールデムポーカーと出会う物語です。 みつばの持つ大きな特徴が、めちゃくちゃ数字に強いということ。 その強さは初めてのポーカーのプレイ中に「最初に配られた2枚がペアである確率」を一瞬で計算できてしまうほど。 その数字の強さと持ち前の負けず嫌いさでポーカーの魅力にハマっていき、その過程で少しずつ、ポーカーで勝つために数字以外に大切なことを知っていきます そして、この物語における重要な要素の1つが彼女の上司・剣崎拓海の存在です。 職場でも有能な彼でしたが実はその界隈では有名なポーカープレイヤーで、物語の途中でプロのポーカープレイヤーになるために会社を辞めることになります。 その経緯からも彼の存在は、ポーカープレイヤーとしてだけではなく、職場の上司としても大きな影響を与えることになります ということでこの作品は、みつばがポーカープレイヤーとして成長していく姿と、拓海が辞めたあとの会社でみつばが社会人として成長していく姿、その両方を描いていく作品で、そのためポーカーが好きな人にも未経験の人にも刺さる熱量を持っている作品です。 1巻まで読了

無抵抗主義

奇想天外なキャラクターたちが紡ぎだす美しい結末 #1巻応援

無抵抗主義 乃原美隆
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この作品は、『フィール・ヤング』で掲載された読み切り3作品を収録した短編集です 3本の物語に共通しているのは、登場人物がみんな一筋縄ではいかない型破りなキャラクターということです。 例えば表題作である『無抵抗主義』の主人公は、来るもの拒まずの"無抵抗主義"の考え方が行き過ぎた結果、20人もの女性と付き合っている時坂真也という男子大学生です。 そんな彼の身を案じた幼なじみが彼をある女性の元に連れていきます。 それが"西棟の魔女"という異名のついた薬学部の先輩・小津叶絵。 彼女は自身で作った謎の薬を使い、時坂の彼女全員から"彼の記憶を消して"しまいます。 といった感じで、ともすればファンタジーのような、現実感を感じられないかもしれないストーリーとぶっ飛んだキャラクターで作品が展開していくのですが、物語の最後にはそれら全てに綺麗に辻褄の合った、強いカタルシスを与える美しい結末が待っています。 この感動はそれぞれの物語を最後まで読まないと味わえないので、試し読みなどではなく、騙されたと思って単行本を買って作品を読んでみてほしい、そんな短編集です。

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