兎来栄寿2022/06/30人生で最も憧れた父親キャラのひとり #父の日永遠の名作と言って差し支えないでしょう。 まだ昭和だった1987年に連載が始まり、35年経った現在も『Cocohana』で続いている榛野なな恵さんのライフワークと言っても良い作品です。 本作は、年齢よりも大人びた主人公の小学生の女の子知世(ちせと、顔もスタイルも良く芸術に造詣の深い人気作家である父親の信吉(しんきち)の二人を中心にした、温かなドラマです。 キムタクの娘さんたちが「もし付き合うなら少なくともパパより格好良くないと」と言っていて、身内のレベルが高すぎると大変だなぁと思いましたが、本作の主人公の知世ちゃんも正にそんな感じです。最愛のパパは外見的にも格好良い上に穏やかで知的で優しく、愛情深く、家事も万能。同級生の男の子なんか目にも入らず、ちょっとファザコン気味になってしまい、 「同じくらいの年の男のコと遊ぶってことは つまりおもりするってことなのよ」 などというセリフが飛び出してくるのも無理はありません。 私の憧れの父親キャラとして、二大巨頭は『カードキャプターさくら』の藤隆さんとこの『Papa told me』の信吉さんでした。子供の頃に読んだ頃は、「こんなパパが欲しいなぁ」でしたが、読み返す度に歳を重ねていつしか「もし父親になるとしたらこんな風になりたいなぁ」という憧れへと変わっていきました。 本作の魅力は、何と言っても根底に流れる暖かさです。読んでいて、こんなにも心が洗われるような気持ちになる作品は寡少です。 時には傷つき目を塞いでしまいたくなることもあるこの世界で、自分が傷つけられていたことにも気付かなかったことをそうと教えてくれながら、時には衣のように、時には杖のように、優しく寄り添って心を支えてくれます。 また、プリミティブでイノセントな知世からも、そうでない登場人物からもこの世の真理を端的に表すセリフが頻出します。 「たしかに我々には 大きく欠けた部分がありますが それ故に見えてくるものもあるんですよ」 「良い芽か悪い芽かなんて育って花が咲いてみなくちゃわかんないでしょ?それに私はどんなお花も好きだわ」 といったような、ハッとするセリフも沢山あり魅力的です。 そして、 「世界の中で せめてこの腕を広げた幅くらいの安全な場所は作ってやれると思っていたのに いつの間にかそれはどんどん狭くなってくる」 というシーンに表される「子供を守る親としてできることが徐々に狭まってくる寂しさ」のような、粒度の高い感情の描写も非常に秀逸です。 疲れている時や辛い時にこそ読むと力をもらえるので、この混迷の時代にこそ再評価されるべき作品で、全人類に読んで欲しい作品のひとつです。 現在10巻ほど無料で読めるキャンペーンが行われているそうですので、ぜひこの機会に読んでみてください。Papa told me榛野なな恵7わかる
兎来栄寿2022/06/04正統派中華後宮ファンタジー #1巻応援極めて王道的な中華風後宮ファンタジーですが、このジャンルに馴染みがある方もそうでない方も楽しめるであろう傑作です。 近隣諸国を次々と落とす南の大国である煌燿国の源族が世界の中心となっており、北の小国である天河国の姫である主人公・サラーナは齢14にして和平のために煌燿国の後宮へと嫁ぐことに。 正規の妃の座を狙う他の姫たちとのドロドロとした争いや、聡明で高潔ながら外の世界を知らない皇帝とのロマンスなど、押さえるべきポイントはしっかり押さえられています。 サラーナは馬と共に生きることを誉とする一族であり、乗馬が得意であるなど持ち前の逞しさが魅力的です。表紙にも描かれている狼が可愛くて、死なないことを祈りながら読んでいました。 この1巻は「天翔ける狼」と「白玉牡丹」の2本の中編でそれぞれ完結しているのですが、特に後者の方が胸に迫り、強く惹かれました。 1冊でも十分まとまっていて楽しめますが、現在続きも描かれており秋には2巻も発売予定ということで非常に楽しみです。煌燿国後宮譚江平洋巳3わかる
兎来栄寿2022/06/04少年は彼方の地で居場所を見つける。 #1巻応援「君はたまたまここになじめなかった それだけのことさ なら別の場所に行けばいい ″生まれた場所″(ここ)は世界の全てじゃない 居場所を作るんだ」 いつの時代にも、世界のどこの場所でも、自分の居場所がなくて苦しんでいる人はいます。そんな時に、こんな言葉を掛けてくれる人がいたら。 時は大正9年。大阪の船場で自分の居場所の無さに喘いでいた少年が、とあるきっかけでイタリアへと渡りエチオピア人の少年、ナポリの少年とバチカンで生活を共にして新たな居場所を得ていく物語です。 全く新しい環境で文化も規律も何もわからない所で始まる新生活を、違う時代に生きる私たちは主人公と同じ目線で興味深く眺めることができます。そこにはもちろん苦労もあり、アジア人であったり肌が黒いということであったりで謂れのない迫害を受ける時代の雰囲気も存在していますが、天真爛漫な主人公の性格が周りの人々にも影響を与えながら良い方向へと進んで行く感触が気持ち良いです。 煌びやかなベネツィアや荘厳さに震えるほどだったバチカンに行った時のことを思い出しながら、またイタリアに行ってジェラートを頬張りたいなと思わせられました。 世の中には幸せで愛しい窮屈さもある。そんな窮屈さを感じられる瞬間、それを生んでくれる周りの人々を大事にしたいものです。おおきくて窮屈なこの世界で。あすかいくに6わかる
兎来栄寿2022/06/04骨太な時代劇、されどスタイリッシュで現代的 #1巻応援魅力溢れる主人公が、バッサバッサと悪党を斬り倒していく。正に時代劇の真骨頂と爽快感がここにあります。 本作の主人公・堤平九郎が営むのは表向きは飴屋、しかし真の姿は「くらまし屋」。高額な報酬と引き換えに人間を「くらます」ことを生業としています。手練れが跋扈する江戸の街でそんな芸当を可能にするのは驚くべき彼の設定。現代的に言えば「チート」とも表現できるその部分はぜひ読んで確かめてみてください。男の子はこういうの大好きなんですよ。 また、本作は『Driving Doctor 黒咲』でも秀逸だった、ユウダイさんの画力の高さが非常に光ります。男は格好良く、女の子はかわいい。そして、江戸の街の風景や小道具までが非常に写実的に描かれていて目だけでも楽しめます。 ヒロインの七瀬はかわいいだけではなく頭も切れて参謀役となっているところも非常に魅力的です。派手な殺陣もありつつ、頭脳的にピンチを切り開いていくシーンもあり、抑揚のついたエンターテインメントとして楽しめます。 非常に上質な時代物で、このまま実写化されてもまったくおかしくないなと思える作品です。くらまし屋稼業ユウダイ 今村翔吾1わかる
兎来栄寿2022/06/04この主従関係が卑怯2022 #1巻応援まず、1話目の「エミリーは魔女」を読んで「ズルい! こんなの皆大好きでしょ!?(キレ気味かつ満面の笑み)」となりました。 そのテンションがずっと続いていくのか、とドキドキしながら入った2話目の「イースターエッグをみつけて」では奥深い人間の心の機微に触れるお話が描かれており、「ああ、この作品はこの後もきっとこのような感慨を様々に与えてくれるのだろうなあ……」と、半ば確信めいた期待が芽生え、そしてそれは見事に満たされていきます。 恋愛が主軸の良い少女マンガをお求めの方には、2022年でも筆頭として推したいです。 大上貴子さん、これが初コミックスとは思えない素晴らしき一冊で、今後もぜひご自身の萌えを世界に解き放っていただきたいです。あなたのマンガで皆が幸せになります。メイドのエミリーは今日も笑わない大上貴子4わかる
兎来栄寿2022/04/294月お薦めの解像度高め短編集 #マンバ読書会注目の新鋭、ハトリアヤコさんが近年に『アフタヌーン』、『ビーム』やWeb等で発表された作品を集めた短編集です。 家賃1万円の部屋に移住したら幼馴染の生霊が現れるようになった「真夜中の訪問者」は、切れる縁の一方で、繋がる縁もあるということにしみじみと思いを馳せさせてくれます。 絶妙な距離感の高校生の日常が描かれる「根部くん干垣くん」は、自然体が気持ち良くスッと入ってくる掌編。8人しかいない野球部の試合を休んで、本初子午線を見に行くというシチュエーションが好きです。 小学校の同窓会に行くコンビニバイトの女性を描く「カタツムリ溶かす」に宿る若気の至りや歪んだ感情は、人によっては強く共感し刺さるところでしょう。 学校内カーストでは下の方でありながら、とても仲の良い友達との悲喜交交の日常が切り取って呈される「鈴木と山田。」は、それぞれのワンシーンの解像度の高さが光ります。同じクラスの退学したヤンキーの彼は今どうしているのかな……。 田舎の女子大生に生じる微妙な感情が紡がれる「花のつぼみ」には、言語化し難いところを上手く掬った『ちーちゃんはちょっと足りない』を髣髴とさせる部分もあります。 「ミモザより」は読んだ後に心が軽くなり、そしてもう一度最初から読み返してしまう物語。私も3月にミモザを買ってドライフラワーで家に飾ってあります。 「日常ポリッジストーリー」は一番最近の作品ですが、今だと「タコ○○(ピー)」を思い出さざるを得ない宇宙からの来訪者が登場するお話。読了後の爽快感がとても素敵で、更なるマンガ力の高まりも感じられる作品です。 帯には幸村誠さんの「この方の描く漫画には、人の心をかきみだす何かがある!」というコメントが寄せられていますが、良感情・悪感情どちらのベクトルにも引っ張ってくれる確かな力量があり、今後のご活躍もますます楽しみです。真夜中の訪問者 -ハトリアヤコ作品集-ハトリアヤコ8わかる
兎来栄寿2022/04/18小学校の保健の時間に少年サンデーSで『清楚なフリをしてますが』を連載していた倉地千尋さんがTwitterで6年連載されていた、実体験を元にしているという作品です。 タイトル通り、初めて自身に訪れた生理のことを恥ずかしくて家族にも友人にも言えず、何とか隠し続けて生きようとする少女のお話です。 女子の体に対する知識もなく想像力も働かないクラスメイトの男子の無思慮な言葉に傷付けられてしまい、それがより自分の体に起こっている変化を隠し通そうという方向へと向かってしまうのは現実でもたくさん起こっていそうです。 保健の授業で習えること、あるいは家族から教われることは人によって大きく差があるでしょう。特に男性は知識としては習って知っていても、この作品で描かれているような個別具体的な悩みや羞恥心、苦しみというのはなかなか想像しにくいものであろうと思います。逆に言えば、このマンガを読めば理解できることは沢山あるので、保健の時間に読む教本にして欲しいくらいです。 血の付いたパンツを隠し続け、最終的に庭に数多のパンツを埋め続けた、という筆者の行動にあなたは何を思うでしょうか。 急激な体や心の変化に戸惑う第二次性徴期の心理的な動きや、友達との関係性なども非常にリアルで当時のことを思い出しながら読んでいました。あの頃の自分は、そんな状態になっていた子に対して上手く接することができていたかな……。 Kindleで全巻0円で読めるので、ぜひ多くの方に触れてみて欲しいです。生理を隠し続ける女の子の漫画倉地千尋2わかる
兎来栄寿2022/04/02残念すぎる美人彼女の正体タアモさんの『アシさん』に登場する山猫先生と、その彼氏である教師歴5年の成瀬の物語です。 付き合って3年経つにも関わらず、成瀬は山猫のことをよく知らない……というのも実は山猫先生はBL大好きな女性向け漫画家。ナウシカの腐海の植物がもぎたてフレッシュに思える程に腐りに腐り切っている残念な美人なのです。 しかし、成瀬は非常に天然で物事をすべて良いように解釈してしまいます。山猫先生が仕事でなかなか会えないことに関しても、少し浮気が頭をよぎりながらも自分なりに納得してくれます。また、たとえコラボカフェに連れて行かれても、2.5次元の舞台に連れて行かれても、他にも女オタク特有のありとあらゆる行動や妄想に巻き込んでも一切引くことなく受け入れてくれる、ある種神のような彼氏。 ただ、それでも山猫先生は彼氏よりも「彼氏と付き合う彼氏ができたらそのカプと付き合いたい」という邪な願望の方を強く抱いてしまう業の深すぎる女。 全体的に山猫先生の腐ムーブがパワフルすぎて思わず噴飯します。個人的には6話で、山猫先生と成瀬の生徒である中田さんが同カプであることを確認してすごい顔で理解し合えたことによる握手をするコマが大好きです。 なお、こちらは単体でも十分面白いですが、『アシさん』から読むことでより楽しめます。 言うまでもないことですが、タアモさんの絵は本当に可愛くていらっしゃいます。シリアスも好きですが、ギャグに振り切った作品も好きだなあ。愛しの彼女は隠れオタクタアモ2わかる
兎来栄寿2022/04/02エンタメ性&現代性全開ファンタジーファンタジーと現代文明が融合した世界設定や、獣人やモンスター系も入り混じった多種のキャラクター設定が綿密に作り込まれており、それを非常に高い画力で全編カラフルに描いて現出させている読むテーマパークのような作品です。 幕間やカバー下にも詳細設定が掲載されていますが、こういったものを読み込んで世界に浸るのが好きな人にとっては堪らないでしょう。 魔法、ダンジョン、エルフにドライアド、忍者に吟遊詩人といったファンタジー要素がある一方で、スマホ、SNS、動画配信など現代性を感じさせるものが同居している世界観の中で、様々なキャラクターが群像劇的に描かれてそれぞれの物語が展開します。 筋肉で何でも解決しがちな市長や、BL妄想の激しい秘書サキュバスなど個性溢れるキャラたちも非常に魅力的。異種族間の恋愛要素もあり、好きな方には深く刺さるかもしれません。 また、画面の密度が濃い上に作劇のテンポも非常に良く、また構成も非常に良くて(影響を受けた作品にも解る解るとニヤリとします)、並の1冊のマンガを読んだだけでは得られない満足感が生まれます。 シンプルに絵もマンガも上手いので、今後のご活躍もとっても楽しみです。ビーストリングス山本四角3わかる
兎来栄寿2022/04/02「おつれあい」というタイトルの絶妙さ『はたらくすすむ』安堂ミキオさんの新作です(『はたらくすすむ』を読んでいた方はニヤリとできる要素があります)。 本作では、保険レディの主人公もなかと、その旦那で少し癖のあるのぼたんの「おつれあい」を中心とした群像劇が描かれます。 『はたらくすすむ』で見せてくれた絶妙な人間ドラマは本作でも健在。味わいのあるキャラクターが続出します。 安堂さんの描くキャラクターはどうしてこんなに人間味に溢れていると感じるのか? それは、ひとえにお弁当屋さんのご主人のエピソードに代表されるような、人間の不器用さにある気がします。 他人に良く思われたいという見栄や欲望と、他人に優しくありたいという気持ちの間には隔たりがあるようで実は地続き。そのグラデーションの中で卒なく生きたり意思思疎通したりはできないけれど、根底には共に生きて行こうとする気持ちが通う人間同士の暖かさが感じられるのです。 単純に「夫婦」というにはどこか本質的に理解し合えない部分があるけれども、それでも互いに歩み寄り合える部分が確かにあり共存していくことが持続的に可能なこの関係は確かに「おつれあい」というのは絶妙な表現で、良いタイトルだと思います。 安堂さんの描くヒューマンドラマは無限に読みたいです。おつれあい安堂ミキオ
兎来栄寿2022/04/02期待の新鋭が紡ぐ上質なストーリーモーニングゼロやちばてつや賞でその才能の片鱗を見せていた及川滲さんの待望の初連載、面白くない訳がなく! まず高い画力が非常に魅力的。離島を舞台に紡がれる上質のヒューマンドラマは1冊で心地良い読後感を醸成してくれます。 東京でOLをやっていたつばめの所にやってくるのは、明らかに堅気ではなさそうな顔に傷のある男。生来の性格により男を放っておけないつばめが彼と共に島で船を使って観光案内をしながら新たな生活を営んでいくストーリーとなっています。 荒天によって本来の予定が崩れたが故に、至高の景色に出逢えて「昨日が雨で良かった」と思い直す新婚カップルの話などは正に人生そのもの。 ままならず思い通りに行かないのも、想像もしなかった偶然によって最高の体験に遭うのも、すべて愛すべき人生の一幕。人と人が出逢い別れ、あるいは再会し、そうして紡がれていく縁や絆が織りなす物語の愛おしさたるや。 及川滲さんのこの先のご活躍にも大いに期待したいです。つばめゴンドリエーレ及川滲1わかる
兎来栄寿2022/03/25全5巻の超傑作SF #マンバ読書会「全5巻の名作」として思い浮かぶマンガの筆頭、少女マンガでは『獣王星』です(『ポーの一族』や『アンの世界地図』など無限にありますけれども)。『OZ』も後から出た版では全5巻であり、樹なつみさんの2つの名作SFは併せて想起されます。樹なつみさんは他にも『朱鷺色三角』や『ヴァムピール』なども全5巻ですね。 『OZ』も『獣王星』もハードなSFで、重厚な設定のの下に一度読み始めると続きが気になって仕方ないサスペンス性の高いドラマが繰り広げられます。それぞれ80年代後半、90年代前半から描かれた作品ですが、今読んでも十分面白いです。 『獣王星』は、地球から離れた星系とコロニーの中で繁栄する未来の人類を描いた物語です。なぜか極秘裏にされほとんどの人がその存在を知らない流刑星である「獣王星」。そこに主人公の少年が陰謀に巻き込まれて落とされるところから物語は始まります。 常に命の危険に身を晒され生き残ることすら過酷な環境で、未知の星の生態系やルールに抗いながらサバイバルしていく部分だけでもエンターテイメント性たっぷりです。謎が謎を呼ぶ展開で、怪しい人物が多過ぎて誰の言っていることが真実なのか、真意はどこにあるこか解らなくなります。SF的な設定を巧みに用いながら目まぐるしく状況が変わっていく中で、全5巻でテンポよく駆け抜けてしっかりまとめていく疾走感はたまりません。 現代の地球とは異なる様々な価値観の下で、懸命に生きる人々に触れられるところも良質なSFの良さが溢れています。 『獣王星』に限りませんが、樹なつみさんの絵はスタイリッシュで美しく、内容的に男性が読んでも楽しめるという点でお薦めしやすいです。 #5巻くらいのマンガ獣王星 完全版樹なつみ5わかる
兎来栄寿2022/03/25全5巻完結ラブコメの金字塔 #マンバ読書会「5巻完結の名作」というと色々と思い浮かぶ作品はあるのですが、私の中で真っ先に出てくるのはこの『ラブロマ』です。新装版でも全5巻ですが、とりわけまだとよ田みのるさんがこれを初単行本として出したフレッシュな時に描かれた、初々しさも残るコピックで塗られたカラフルな表紙の方の全5巻を思い出すのです。 本作は、主人公の少年・星野がクラスメイトの根岸さんに人目も憚らず告白するところから始まります。二人が付き合うところまでは非常に早く、付き合ってからの甘酸っぱい時間がじっくりことこと煮込むように描かれます。その後に完成する美味しい料理を早く食べたいような、完成に至るまでにずっと漂ってくる甘美な匂いに浸っていたいような、不思議な感覚を与えてくれます。 二人以外の周囲の人間の個性や関係性も含めて青春の粋が詰まっており、無限にかわいらしく無限に愛しみが湧く物語です。二人を笑顔と拍手で応援するモブが好きすぎる! そして、意外と清らで品行方正なわけでもないところもまた魅力です。星野は根岸さんとキスはしたいし、乳にも触りたいし、何なら「みかん」もしたい。少し変わった性格の星野は、その欲望すらも包み隠さず明け透けに見せてちょくちょく根岸さんに殴られます。たがそれがいい。こういうのがいい。 一人一人全然違う人間同士が一生懸命生きて、時にぶつかり合いながらも同じ時を過ごして感動を共有する瞬間の尊さ、掛け替えのなさ。この作品から溢れ出るそういったシーンの輝きに、読む度に心を満たされて幸せになります。 全5巻を読んで最後に必ず笑顔になれる傑作です。ラブロマ 新装版とよ田みのる4わかる
兎来栄寿2022/03/15ネタバレ7巻収録のポメラニアン回について📷保護犬のポメラニアンをお迎えして家で飼い始めてから1年と少しが経ちました。それまでほとんどの時間をケージで育ってきたうちの子は、最初に抱き抱えた時には怯えてずっと震えていました。 しかし、今では自分からぽてぽてと歩いてきて人間にぴったりと寄り添ってくれます。毎日元気にお散歩をし、最初はあまり食べなかったご飯もパクパク食べるようになり、たくさんお昼寝して幸せそうな寝顔を見せてくれています。愛くるしいにも程があり、すっかり「うちの子かわいい」を連呼する親バカになってしまいました。 1巻発売時にもクチコミを書き、実際に犬を飼い始めてからより実感を伴ってためになりながらますます面白い『DOG SIGNAL』なのですが、最新刊の7巻にはポメラニアンが主役となる回が描かれます。 元気いっぱいの若いポメを熟年男性が飼い始めるエピソードなのですが、このお話は多くの飼い主さんやこれから飼い主さんになる方に読まれるべき大切なことを描いています。 男性は「自分がリーダーである」ということを犬に示していかないといけない、としつけの本から学び忠実に実践していきます。本に書いてある通り、時には愛犬が怖いと思うことも心を鬼にして実行していきます。しかし、その結果ポメラニアンは男性を怯えるようになり他の人にだけ心を開くようになってしまいます。 悩んだ末に相談すると、読んだ本の初版が20年以上前であり、かつて正しいとされていたオオカミの研究に基づく「飼い主はリーダーであるべき」論は既に古いものであると教わります。インターネットを常用する私自身もこの論を聞き齧っておりアップデートできていなかったので、紙媒体しか触れない世代では尚更そういう方も多い気がします。 現在正しいとされていることも未来にはどうなっているか解らないので知識を更新していくことも大切ですし、何より人間と同じように個々によっても性格が違うので「犬だからこうする」と簡単に括らず、自分の愛犬が何を望み何を嫌がるかをしっかり向き合って理解していくことが最も大事だと教えてくれます。 学びの多いマンガですが、純粋に犬のかわいさも最高です。自分が飼っている犬種だとより細かな仕草のディティールに「あるある!」と頷くこと頻り。改めてお薦めしていきたい作品です。DOG SIGNALみやうち沙矢5わかる
兎来栄寿2022/02/25初めて「クワドラプル」という言葉を覚えた『銀のロマンティック…わはは』について北京の冬季五輪では、羽生結弦選手が挑戦した前人未到のクワドラプルアクセルが大きな話題になりました。 私が「クワドラプル」という言葉を知ったのは、川原泉さんの『銀のロマンティック…わはは』でした。 川原泉ファンの間でも屈指の名作とされており、花とゆめコミックス版では単巻で発売されていたのですが、電子化されているのは文庫版『甲子園の空に笑え!』の中に収録されているものだけです。『川原泉傑作集 ワタシの川原泉』というシリーズの3巻にも収録されていますが、こちらも紙版書籍のみとなっており、電書派の方からは非常に見付かりにくくなっていると思うので、これを機に紹介しておきます (『甲子園の空に笑え』自体や「ゲートボール殺人事件」も面白いのですが、そちらは別で非常に熱いクチコミが書かれていますのでそちらをご参照ください)。 本作は、元々スピードスケートの選手だったものの競技中に怪我をしてしまいフィギュアに転向することになった影浦忍と、父親が世界的な天才バレエダンサーでありながら母から教わったスケートの方が好きで初のジャンプでトリプルアクセルを飛べてしまう才能を持つ由良更紗の二人がペアを組み、ペアスケートという道で戦っていく物語です。 この作品が書かれた1986年には、まだ公式戦でクワドラプルを成功させた選手は現れていませんでした。それから2年後、カナダのカート・ブラウニング選手が1988年の世界選手権で初めて4回転トウループを成功させることとなります。伊藤みどりさんがトリプルアクセルを決めて世界を沸かせて本格的なスケートブームが日本に訪れるのもその後の時期です。川原さんがフィギュアスケートを題材として選び、(「アーティスティック・インプレッション」など現在では採用されていない基準ですが) ルールの解らない読者にも懇切丁寧な解説を挟みながら、クワドラプルに挑戦していく様を時代を少し先取りして描いたのは流石の慧眼と言うべきでしょう。 本作のみならず川原泉作品に通底する特徴としてシリアスとギャグのバランスの良さが挙げらます。中でも、この作品は特に抜群です。時にメインキャラクターが酷い境遇であったり、理不尽が襲い掛かったりするのですが、抜け感のすごい絵柄によって悲しみが緩和されながらも心の奥底にはしっかりと届く作りとなっています。シリアスな絵柄と混ざり合い、しかし決めのようなシーンでも絵が抜けているところはあり、それでいて深い感動を与えられる……。こんなにも軽やかでありながら沁みるマンガを描ける人はそうそういません。「川原節」と言うべき、独特の読み味を実現しています。 元々はB6サイズ1冊に収まるお話ですが、その分テンポも良く充実感も大きく、何度も何度も読み返したくなる名作です。 時代は移り変わり、とうとうクワドラプルアクセルを現実に行う選手が現れたことに目を細めながら、クワドラプルという単語を聞くといつもこの作品の「ある見開き」と、最後の二人の表情を思い出さずにはいられないのです。甲子園の空に笑え!川原泉3わかる
兎来栄寿2022/02/07心の窓が開き風が流れこむお話たち #1巻応援『アドレスどちら』、『魔法自家発電』、『いちばんいいスカート』などでお馴染みの、谷和野さんが手掛ける読切シリーズが単行本になりました。 収録作品は 「風の開け閉め」 「花ゲリラ」 「藍の上青の下」 「星拾い」 の4本。 どこか懐かしくほっとするような美しい絵柄で紡がれる、心の繊細な機微を丁寧に掬い取った作品たち。西洋系でファンタジックなお話が中心かと思えば、現代日本が舞台で野球部の少年を描く作品も登場して緩急が生まれています。 個人的には、「星拾い」における主軸の二人の心の変化に自分の過去の体験を重ねて古傷の痛みを思い出すようでした。 総じて心の窓の扉が開かれ、清新な風を受けたような読後感です。 端的に言って、私は谷和野さんが描く世界が大好きです。シリーズはまだ続くようなので、今後も楽しみにしていきたいと思います。オープンクロゼット谷和野8わかる
兎来栄寿2022/02/07元気良すぎるモブたちも愛しいラブコメ #1巻応援タイトルから想像されるのは、女性が主人公でかっこいい幼なじみがいる物語でしょうか。半分はその通りなのですが、本作の特徴は男性側のみならず女性側も超絶にイケメンすぎるというところです。 ヒロインのいつきは、容姿も性格もイケメンすぎて冒頭から女生徒に告白されます。そんないつきの幼馴染で、彼女のことを想い続けている男子・あおいもまた文武両道で性格も外見も文句のつけようのないパーフェクトイケメン。 スパダリ×スパダリの両片想い、一体どうなっちゃうの〜!? という本作ですが、もうひとつこの作品で面白いのは、この二人が全校生徒の「推し」と化しているというところ。モブたちがエネルギッシュな強火オタクさながらに、二人の関係性が少しずつ進展していくのを尊さに身悶えしながら応援していく様子がたまらなく面白いです。 「寿命伸びすぎて不老不死になったわ」 「顔、良…ッ!!」 「著名美術家の彫刻かよ……」 「まぶすしすぎる 朝だっけ?って思うくらいまぶしい」 「(吐血)」 と時に語彙豊かに、時に人語を失って元気なモブたちが大好きです。 茶畑真さんは初単行本だそうですが、絵は綺麗でネーム的にも読みやすく、マンガが上手な方だなと思います。今後も楽しみです。幼なじみがイケメンすぎる茶畑真3わかる
兎来栄寿2022/02/07「うちの子かわいい」と言える日々の愛しさ #1巻応援自分でも犬を飼うようになってから、すっかりこういった作品への共感度が高くなりました。 ある日から家にやってきた、愛犬の生態と日常を愛情たっぷりに描いた作品です。 顎乗せや伸びといった仕草。 人間と後ろの物体との間の狭い空間に潰れるのも辞さず入り込もうとするところ。 変な寝相。 病院の診察台の上でプルプル震えて固まるところ。 伸びる皮。 近所の人のアイドルになっているところ。 寝ながらキックしてくるところ。 シャンプーのいい匂いも一晩の命であること。 軟体動物と化す様。 飼っている犬種は違ってもかなり共通する「あるある」、そして「うちのこ」へのたゆまぬ愛が詰まっていることに穏やかな笑みが溢れました。 単話版から追加された幕間の「ひとん家のいぬの話」ではよその色々な犬種の子たちのかわいいお話も(コーギー 成分が多めでした。コーギー姐さんかっこかわいい)。 終盤の展開にはいつか訪れるその日が迫ってくる様に胸を搾られます。何気ない日常を、より愛おしく感じさせてくれ大事に過ごしたいと思える作品でした。うちのいぬのはなし。【コミックス版】山尾お茶丸
兎来栄寿2022/02/07確かな質量を持ちながら、軽やかに沁みる短編集 #1巻応援『緑の罪代』や『お兄ちゃんは今日も少し浮いてる』など秀作を次々と送り出してくださっている梅サトさんの短編集です。 表題作の「ユカリさんはクローン」は、人口の1/3がクローンで占められるようになり自分と同じ顔の人が様々な場所で違うことをして活躍している世界を描いたお話。すこしふしぎ感のあるSFで、「複製された私たち」というモノローグにアイデンティティについて考えさせられました。 「放課後の最後の晩餐」は、レオナルド・ダ・ヴィンチの名画の中の使徒たちを絵画の通りに演じてみてその気持ちに迫るという授業を描いたお話。見るだけなのと実際にやってみるのには大きな隔たりがあるのはすごく解ります。物語を普通に読むのと、人に聞かせる朗読をするために読み込むのとでは全く解像度が違うように。 「妖精裁判」や「アンコンシャスワールド」では、それぞれ1ページ丸々使った決めのページが印象に残りました。 5つ目の「最期の人形」も含めて、5篇に通底したテーマを感じさせてくれますが、そこには敢えて触れません。実際に読んで確かめてもらえればと思います。 シリアスな雰囲気の作品がメインではあるものの、肩の力を抜いて自然体でいるような軽やかさがある短編集です。過去作と同様の梅サトさん作品の良さが味わえます。 あとがきでは作者の梅サトさんがどうして梅が好きなのかが語られていますが、まさに梅が綺麗に咲き始める時期、冬が終わり雪の下から草花が芽吹くような春の訪れを少しずつ感じるこれからの季節に読むと良い塩梅な一冊だと感じました。梅サト傑作よみきり集 ユカリさんはクローン梅サト1わかる
兎来栄寿2022/01/20スクライド電子化!https://twitter.com/torimusi/status/1484030979190964226?s=21 マンガ版『スクライド』が! 全5巻! 本日電子化! 青春のシェルブリットォォォォ〜〜〜〜!! お前に足りないものはッ それはッッ! 情熱・思想・理念・頭脳・気品・優雅さ・勤勉さ! そしてなによりもォォォオオオオッ!! 速 さ が 足 り な い !!!!!!! とクーガー兄貴に言われないように、超速で記念クチコミを書きにきました。 20周年おめでたいですが、自分が歳を取るのもラディカルグッドスピードなことには目を瞑りましょう。 もしこの激アツ作品を未体験の方はアニメ版と一緒にドラスティックにあるがままに身を委ね、魂に火を点けてください。スクライド戸田泰成 矢立肇 黒田洋介7わかる
兎来栄寿2022/01/10悲しみを乗り越えて生きていくふたりおじいちゃんが育児をするマンガといえば『じじいくじ ~元最強刑事の初孫育児~』がありますが、あちらよりもかなりシリアス寄りな作品です。切なく、しかし心温まる内容になっています。 妊娠報告を受けた時に「もう帰ってくるな」と勘当して以来会っていなかった娘が、その5年後に交通事故で帰らぬ人となってしまい、遺された5歳の男の子・尓太郎(にたろう)を引き取ってふたり暮らしを始める68歳の老年男性が本作の主人公です。 5歳にしてしっかり初対面の人への挨拶やごみの分別ができる孫と、葬儀の仕事一筋だったため家は散らかり放題で味噌汁すらろくに作れない祖父。色々といびつなふたりが、それぞれに支え合いながら否応なく始まる新生活の様子が描かれます。 (ご愁傷さまの) ”愁とは憂い 傷とは痛み 心の傷を癒やすには 思い出を分かち合うこと” というモノローグと共に、孫から見た母親である自分の娘の話をするシーンが印象的です。自分を「じじちゃん」と呼び、自分にも母親にも似た部分がある孫の愛しさといったらないでしょう。 私自身も割とそういう子供で、その時分に『こどものおもちゃ』を読んだ際にも同じことを思いましたが、幼くして老成せねばならない境遇は不幸です。が、それ故に他者に優しくなれる部分もあると思います。 生前にもっとできることがあった、掛けられる言葉があった、という後悔は一生消えないでしょう。それでも、悲しみと共にそれらを乗り越えて新たな小さな幸せを得ていく彼らを応援してしまいます。尓太郎くんが元気で優しい青年になりますように。じじまごぐらし【単行本版】森脇葵3わかる
兎来栄寿2022/01/10特別でないからこそ大事なものこの単行本を家に置いておいたら、家族が「この方!!個人サイトの頃から十数年追ってた!!!!」というガチのファンであることが発覚しました。何でも、お気に入りの絵をプリントアウトしたものをずっと大事に携行していたそうです。Twitterで時折上げてらっしゃるのでそちらをご覧いただければと思いますが、水彩画がとにかく言葉を絶する上手さです。 しかし、昔はどちらかというと一枚絵中心だったので、近年マンガも描いてくださるようになったのはマンガ好きとしては大変に喜ばしいことです。 絵が上手いのはもちろんのことなのですが、オリジナルのお話もとんでもなく上質。これまではコミカライズが主でしたが、お話作りまでハイレベルとは神は二物を与えるのか……いえ、ご本人のたゆまぬ努力の賜物なのでしょうね。 本作はとある家族の何の変哲もないそれぞれの日常を描いた作品ですが、読んでいて本当にあたたかく幸せな気持ちに包まれます。 ひとつひとつのできごとは自分の日常で起きたとしてもあまり気にも留めないであろうことの積み重ねです。些細な喜び、些細な驚き、些細な幸せ…………。 しかし、それを俯瞰して見た時にそれがどんなに尊いことか、と噛み締めることができます。人生の最後に走馬灯のように回想した時には同じように感じられるかもしれません。 これを読んで、更に美しい水彩画の数々を見たら稲空穂さんのファンにならざるを得ません。これからも稲空穂さんの手から沢山生み出されていくであろう素晴らしい世界が楽しみです。特別じゃない日稲空穂6わかる
兎来栄寿2022/01/08漫画村と戦った弁護士が描くリアルマンガに対して大きな愛を持ち、漫画村などの違法アップロードサイトに強い危機感を覚え、コンテンツ産業を守るために実際に漫画村やファスト映画と戦ってきた中島博之弁護士。何と、その中島弁護士が原作者となっている作品です。 しかも、この作品の序盤では違法マンガアップロードサイト「漫画谷」と法的に戦っていく様子が描かれます。 もちろんフィクションなので脚色してある部分はありますが、海外にサーバーを置く違法アップロードサイトに対してどのように法的な責任を追及していくのかの一部始終を漫画として読めるのは凄いことで、このエピソードだけでもコンテンツ産業に携わる方・興味がある方は必読です。 その他にも、巷で話題になっているSNSを使ってお金やプレゼントを配るという名目で金を稼ぐ悪徳集団との戦いなど近年の社会情勢を色濃く反映した内容になっており、リテラシーを上げるために小中学生に読ませても良い内容です。なぜ、海賊版サイトでマンガを読んではいけないかということも教えられそうです。 今後も様々なテーマを面白く、学べるように描いて行けそうで楽しみです。 なお、作品の印税収入は海賊版サイト撲滅のために使われるそうですので、ぜひ支援のためにも買って読んでみてください。弁護士・亜蘭陸法は漫画家になりたい武村勇治 ゆうきまひろ5わかる
兎来栄寿2021/12/09長距離バス運転手の日常私も以前は年間30回くらい夜行バスに揺られていたので、長距離バスをテーマにした作品というだけで興味津々でした。バスタ新宿がメインの舞台として出てくるだけで「おおっ」と嬉しくなってしまいます。 長距離バスは長い距離を一人だけで運転するのは安全面での心配があるため、基本的に男性二人組の交代制が多いです。なので、そのバディ関係を物語にした作品はあって然るべきですね。得心しながら読み進めました。 主軸となるのは、性格のタイプがまったく異なる二人のイケメン。元ホストで情に厚い陣と、クールで普段は口数が少ないけれど言う時ははっきり言う鳴瀬。彼らの仕事の大変さもその上にある喜びも描かれます。 バスの運転手も接客業であり、厄介なお客様からワケアリなお客様までさまざまなお客様を乗せる中で上手くいかないこともあれば心が穏やかになる時間もあり、上質なヒューマンドラマが胸に降りてきます。 また、各サービスエリアのグルメは私も行く度にチェックして色々と買い食いしますが、長距離移動の楽しみですよね。「浜名湖サービスエリアの三ヶ日みかんが美味しい」というセリフにうんうんと首肯。富山の白エビかき揚げ蕎麦はぜひ現地で食べたいです。 彼らがもっと色々なところへ走っていき、色々人と出会って別れ、色々な景色や色々な美味しいものに出会う時間を見続けたいです。おかえり、南星バスまどさわ窓子5わかる