かしこ
かしこ
1年以上前
サブタイトルに「ある連続殺人者の生涯」とあったので、あぁそういう話かと分かった上で読んだのですが、生まれた場面から物語が始まるので、こんなに可愛い赤ん坊が殺人鬼になってしまうのか…となかなかしんどいものがありました。 昭和27年、主人公の梅川一期は土木建設業を営んでいる父親の元に生まれます。年を取ってから生まれた子供なので父親は息子を可愛がるのですが、生まれて間もない一期が麻疹をこじらせて片方の肺を取ったことで、祖父から体の弱い子は梅川家の跡取りに相応しくないと言われて里子に出されてしまいます。 里親の老夫婦はいい人たち(おばあさんがイタコをやっていたり、寝かしつけに日本神話を聞かせるのは少し普通じゃないけど…笑)でしたが、おじいさんから丈夫に育ててもらった一期は「どうして自分だけが家族と一緒に暮らせないのか」と不満に思い、山奥から一晩中歩いて家族の元に帰るのです。 こうして家族と暮らすことになった一期ですが、その頃には弟の利行が生まれていて、自分の代わりに跡取りとして育てられていました。一期はこの頃から肺を取った時に出来た大きな傷を見ながら「自分には何かが欠けている」と思うようになります。 小学生になると体の傷のことでいじめられ、クラスに馴染めずにいた一期でしたが、そこへ顔に大きな傷がある文也という転校生がやって来ます。お互いに仲間意識が芽生えた二人は親友と呼べるまで仲良くなりますが、ある日ふとしたことで文也の顔の傷が偽物だということを知り、一期の運命が大きく変わるのです…。 こうして一期の幼少期を振り返ってみて、どうしたら殺人鬼にならなかったかも考えてみたけど、何をやっても悲しい結末になるのは変えられないような気がする…。 物語の中盤で、高校生になった一期が文也の父親に会いに行くシーンもすごかったけど、夢の中で母親が川を泳いでアパートにやって来て「隠してるものを見せなさい」と言われるシーンもすごかった。 終盤は(ネットの感想で「一期が就職してから」と書いてるがいた…笑)どうなんだろう…。私は世の中に不満がない平凡な人間なのかもしれないって思ったなぁ。だからこそ弟の利行が一期に対して持っている歪んだ感情の方が共感しやすい。でも昭和天皇の崩御と同じタイミングで全てが終わっていく最終話は、タイトルもそのままズバリ「死」の一文字で、かっこいい終わり方だと思いました。
野愛
野愛
1年以上前
土山しげる先生の漫画を一作でも読んだことがあるもしくはインターネット大好き好きマンなら絶対にハンター錠二のことを知っているはず。そして、ハンター錠二のことを笑うひとはいてもハンター錠二のことを嫌う人間はいないはず。嫌いって言ってる人はたぶんOKFFの人です(喰いしん坊!参照)。 そんなハンター錠二がつかず離れずの距離感で東北のうまいものを紹介してくれるのが流浪のグルメ。ハンター錠二と出会う人達はハンター錠二がハンター錠二であることを知りません。 なんかよくわかんないけどグルメで説得力があってテンガロンハットにサングラスの謎の男として出会うのです。 飯を死ぬほど大量に食う訳でも箸を両手に麺を食う訳でもないハンター錠二、なんかいいんです。大食い甲子園のときのコーチ姿もよかったけど、姫トラお京とのやりとりにリアコ味すら感じるんですよ…恥ずかしながら…!! そんな冗談はどうでもよくて(6割5分ガチだけど)東北は本当に美味しいものがたくさんあるので、グルメガイドブックとして読んでも参考になると思います。 魚も肉も野菜も美味しいし、B級グルメや甘いものも魅力的なものたくさんあります。 旅行なんて難しい状況ですが、お取り寄せなんかも盛んな時代ですから!! 漫画読みながら東北の美味しいものを食べればハンター錠二のリアコ味をあなたも感じられるはず…です。