はたらくすすむ

66歳のおじさんが面接に行ったらピンサロ店で即採用だった

はたらくすすむ 安堂ミキオ
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

コミティア行ったとき新刊が出ていたら買っていた漫画がいつのまにか商業誌で連載していたので購入。 これはよかった! 定年後、妻を亡くし四十九日後も悲嘆に暮れる進さん(66歳)は、新しくスタートを切ろうと清掃の仕事を見つけるが、行ってみたらそこはピンサロのお店だった。 風俗には行ったこともなかったが、覚悟を決めそこで働くことにした進さんは、若い嬢たちとの交流の中で風俗というフィルターを通して今までサラリーマン一筋40年では得られなかった学びを日々獲得していく。 たまに生々しい描写もあるが基本的には楽しくポップな描き方で話は進んでいく。 彼女たちはたくましく仕事をして生きているのだ、と仕事に携わる人間として向き合って描いている。 この漫画で、すすむさんのスタンスが妙に面白いなと思うのは、愛した妻を亡くしたから悲しんでいるのではなく、妻を愛していたが冷めてしまい幸せにしてあげられなかった自分への不甲斐なさで泣いている点だ。 そこに自覚がない。 自分に足りなかったものはなんなのか、とあくまで自分に理由を求めている。 実はこの考え方って独りよがりでそこに相手がいない。 これが問題だ。 ここで効いてくるのが第一話の妻のセリフ「私をただのマネキンだと思ってるのよね」。 すすむさんは自分にしか興味が無いのか、偏見に捕らわれてしまっているだけなのか。 この意味をすすむさんが本当の意味で分かるのはおそらくまだ先だろうが、この言葉をきっかけに知ろうと前へ進み始める。 妻しか女を知らなかった真面目な男が、66歳にして開放的なピンサロ嬢たちと触れ合い、ガチガチに決めた自分ルールを自覚しぶっ壊した先にこそ、妻を亡くした本当の悲しみがあるのかもしれない。 早く続きを読みたい。

筆とあいつがいればいい。

やっぱりスペリオールの新連載には期待してしまう!

筆とあいつがいればいい。 中田アミノ
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

主人公の女の子がかわいくてこじらせてていい感じに意地が悪いのが良い!! 人から良く見られちやほやされることを生きがいにしている女子高生の瓦木叶(かわらぎかのう)ちゃん。 クラスメイトに乗せられうっかり絵が上手い発言をしてしまうが、実際はクソど下手な叶ちゃんのもとに現れた他の人には見えない手のひらサイズの小さなじじい。 寝てる間に身体を乗っ取り凄まじい絵を描くそのじじいの正体は葛飾北斎!? 葛飾北斎は満足するまで絵を描きたい。 叶ちゃんは完璧でありたい。 互いに利害が一致し利用し合うことに! 他人にはいい具合に無害な女の子の小ズルさというか、本質は置いておいて良く見られたいという浅ましさが出ていてとてもいいし、たまに出すかわいくない顔芸も素晴らしいし、じじいがちょうどちょっとキモくて絵が凄くて生活に小波乱を起こしそうないいバディ感を醸し出している。 女の子は良く見られたいという理由で頑張っている基本的にはちょっとアホで残念な女の子なので必然的に幽霊であるじじいがいいツッコミ役になっていて、誰がツッコミやってんだよ感はあるものの、何も知らないアホな小娘よりすべて知り尽くして無茶苦茶やるじじいのほうがまともだわなと納得。 2話目で早速葛飾北斎が大いにやらかしているので、叶ちゃんのその場しのぎのカバー力が試されていて面白かった。 今後、絵画の素材や技法がたくさん出てきそうなので単純に面白くなりそう。 ブルーピリオドなどと合わせて読みたい。 もしも葛飾北斎が人生の続きを現代で生きたらという妄想はロマンがあってとても好き。 シオリエクスペリエンスのジミヘンや、少し違うけど刃牙道での宮本武蔵然り。 現代で無双するのか、どこの時点で成仏するのか、いやそもそも絵に終わりははいから満足しないでしょ?とか、ヒカルの碁的に叶ちゃん自身も成長するのか、どう展開するのか楽しみ! 少し気になるとしたらタイトルが葛飾北斎目線っぽいところ。 いや、どっちとも取れるか・・。

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