兎来栄寿
兎来栄寿
1年以上前
『マキとマミ~上司が衰退ジャンルのオタ仲間だった話~』が最高すぎて全幅の信頼を寄せていた町田粥さんの新作は想像以上に素晴らしかったので全世界に推していきたいです。 宝塚歌劇団は言うまでもなく女性だけで構成された歌劇団ですが、この物語の吉祥寺少年歌劇団は男性だけの歌劇団です。「娘役」なども男性がすべて伝統的にこなしている世界です。 主人公の格好いい男性に憧れていたにも関わらず、生来の背の小ささなどもあり娘役に認定されてしまった少年・瑞穂。彼とは逆に、娘役に憧れながら背が高すぎてなれない少年や、自分の希望に反した家庭の事情がある少年など、思春期らしい悩みを抱えた少年たちが集団生活をしながら、仲間でありライバルでもある人間関係の中で鎬を削り、時に傷を負いながらも成長していく。そして、やがてはひとつの歌劇を大成させていく……。往年の少女漫画の「寄宿舎もの」を彷彿とさせる良さみも深く堪りません。 1話目最後のモノローグが 「僕らは出会い  そうしてすぐに傷つけあった  それが始まり」 ですよ? 最高じゃないですか? そして、それら素晴らしいドラマを町田粥さんの美しい絵が彩り更に言葉の要らない説得力を以って紙面からオーラをぶつけてきます。 もっと長く見ていたかったという思いもありますが、この物語は1巻で完結します。しかし、この上なく濃縮された上質なドラマを味わうことができ、満足感はお墨付きです。 町田粥さんのマンガから摂れる栄養を今後もずっと摂らせていただきたいです。 『かげきしょうじょ!』のアニメ化で歌劇の世界に興味を持っている方も多いタイミングだと思うので、そういった方にももちろんですが、そうでない方にも広くお薦めしたいです。
兎来栄寿
兎来栄寿
1年以上前
『星明かりグラフィクス 』山本和音さんの、2008年の赤マルジャンプ掲載のデビュー作から講談社で発表したもの、そしてハルタなど2020年までに描かれた11作品をまとめた短編集です。 8月に行った「最高の夏」をテーマにしたマンバ読書会では、本書にも収録された表題作の「夏を知らない子供たち」を紹介させていただきました。夏に読み返したくなる一篇です。 とりわけ私が大好きなのは、本書の最後に掲載されている「恋と夜をかけろ」です。世界全体で学問は行うと恥ずべきもの・禁止の対象とされ(ギリギリ合法扱いのかけ算の本は「成人向け」指定となっている)、代わりに恋愛が学生の本分となっている世界のお話です。不倫や多重恋愛が社会的な評価に繋がり、恋より読書や勉強が好きな主人公が父親から「お前彼女何人いる?斉藤さんや木本さんとこは10人近くいてちゃんと夜な夜な遊び歩いてるんだぞ 生物として恥ずかしくないのか?」と詰められるシーンなどは秀逸です。そして、実在の書名を連呼するシーンはとても愛しくて堪りません。 藤子・F・不二雄の不朽の名作短編である「気楽に殺ろうよ」では性欲と食欲に対する価値観が逆転した世界が描かれましたが、それを髣髴とさせます。こういうif系の短編は大好物です。 また、「雨は止んだか」などは正にハルタ系ど真ん中の絵で魅せてくるタイプの掌編で、山本和音さんの画の力を堪能できます。 「まどか、田園へ行く」もヒロインのキャラクターが愛しいしオチも好きです。 全編を通してサバサバしたキャラクターが多く、絵柄も程よい描き込み具合が絶妙で見易く、読み心地が軽快です。その上で趣向の凝らされたストーリーを美味しく味わえる、素敵な短編集です。
サミアド
サミアド
1年以上前
イモ虫のクリームが可愛いです! 漫画図書館Zで無料で全話読めます。 雑誌Gファンタジーの作品ですが、続編を連載したゼロサムが未収録話などを収録した新装版を出しています。 魔法専門学校の『アニマルマスター科』の話。 大きな設定やストーリーがあり、感動する話や心に残る名言もあります。 しかし個人的に特筆したいのは畳み掛けるギャグ部分! 主人公兼ヒロインの顔芸!ボケ!イモ虫愛! 幼なじみ男子のハリセン!叫び!存在がツッコミ! 褐色少女の毒舌! 牛好きと牛! 担任教師の超髪! イモ虫の変顔!つぶらな瞳!キャベツ!もりもり!! 独特な絵やノリが苦手な人も居ると思います。イモ虫と牛 以外のアニマル達はメイン回以外、影が薄いです。 セイウチのせいぞう君にもっと出番を… 魔法やギャグに目を奪われますが、青春漫画としても良い作品だと思います。 続編の『トリプルスター』で伏線回収&完結しているので、ノリや絵柄が気に入った方にはそちらもオススメいたします。 イモ虫のクリームが可愛いです!(念押し) 画像は友情を育む為にスーパーファイヤーレシーブを打つ牛型マジックアニマルです。
イモ虫のクリームが可愛いです!
漫画図書館Zで無料で全話読めます。

雑誌Gファンタジー...