ナベテツ
ナベテツ
1年以上前
漫画家マンガというジャンルが広く描かれて久しいのですが、その描き方は十人十色であり、人柄やクリエイティブというものが色濃く反映されているところに、ファンは強く惹かれると思います。 湘南爆走族で鮮烈な連載デビューを飾った𠮷田聡先生が描いた本作では、まだ何者でもない青年のもがき苦しむ様がリアルに描かれています。 デビュー作が大ヒットし、様々な漫画家さんに影響を与え、映像化までしたという事実でもって、読者は順風満帆な漫画家生活なのだろうと思い込んでしまいがちなのですが、この作品で描かれているのは、明日の自分への不安を抱え、必死に「ヘッショナル」を目指す等身大の物語でした。 主人公の時田青年が𠮷田先生をどれだけ投影しているのかは、読者には正直分かりません。ただ、そこには「真実」というものもあるのだろうなと、中年の読者は過ぎ去った青春というものに思いを馳せます。 𠮷田先生のファンを公言している藤田和日郎先生が、本作を読んで涙を流したというツイートを以前みかけ、さにあらん、という感想を抱きました。夏の終わりに、過ぎ行く季節を感じる作品なのではないかなあと思います。
かしこ
かしこ
1年以上前
元々2人のファンだったのでご夫婦と知って大興奮しました!私の勝手な妄想ですが夕飯時に晩酌しながら漫画談義とかしてそう…。後書きで嫁のかき揚げが美味いって惚気ていてニヤニヤしました。岡村星先生が作ったネームを沙村広明先生が直してくれるってエピソードが語られてましたが、ストーリーもお互いの意見を取り入れて作ってるんだろうな。収録作品全て面白かったです!! 以下、個人的な作品ごとの感想です。 「樫村一家の夜明け」引きこもり息子の苦悩が真面目に語られるところからの親父の本気が炸裂するぶっ飛んだ流れが面白すぎる。何回でも読みたくなる。 「アンチ・ドレス」自分が作ったドレスによってSNSの裏アカで虚勢を張るような女の子になってしまった…と気づいたファッションデザイナーの男が「俺が新しい呪いをかけるんだ」というところ。女達が本来持ってる魅力を活かすことも「呪い」と言うのがいいな。ファッション業界の話だから「何であんな色の口紅が流行ってるんだ…?」とかワードセンスも洗練されていてカッコよかった。 「ミッシングコード」すごい深い話だった。人間はみんな罪深いって本当その通りですよ!今年読んだ漫画の中で一番刺さったかも。
たか
たか
1年以上前
眼鏡の主人公・想一と面長ツーブロック・友梨は、大事な友人の春樹を事故で失ったばかり。想一は春樹の遺品に未開封のコンドームを見つけ、「春樹の好きだった女の子・吹石さんをレイプしよう」と友梨と計画する。 ### 何を言っているんだお前は…???🤔🤔🤔   もし1ページ目の **「選考委員・藤島康介氏、困惑!」「いい意味で、気持ちの悪い作品」** というアオリを読んでいなかったら読むのをやめていたかもしれないレベル。 想一曰く、「セックスする時、膣に直接触れているのは春樹のゴムだから、それはもう『春樹のセックス』」という理屈らしい。なるほど、一応筋は通っている。 吹石さんはいつも外を走っているスポーツ少女で気が強く、「春樹が仲良かったのはこんな意味不明なことを考えるやつらだったのか」と2人のことを唾棄している。 吹石さんをレイプするため、2人は綿密に計画を立て前向きに努力を重ねていくのだが、計画を実行しようとしたその瞬間、吹石さんは別の男たちに連れ去られてしまう。 主人公たちは致命的にモラルと知性が欠けているのに、その一生懸命さ・純粋さになぜか感心させられてしまった。 藤島康介先生の **「どう考えてもゲスで嫌われる視点で描いているのに、なぜか青春になっている。妙に信念がある、怪作」** というコメントがこの作品の全てを的確に表現していて唸りました。2019年の怪作読切をぜひお楽しみ下さい。 https://comic-days.com/episode/10834108156671800747
名無し
1年以上前
作者さんの最新作「忍者と極道」の続きがあまりにも待ちきれず久々に読み返したら第一話の時点でワクワク感が"""偉大(パネ)ェ"""し、めちゃくちゃに心をかき乱されるほど面白すぎて泣いちゃった。なんで終わっちゃったんだろう。 「烈!!!伊達先パイ」も大好きなので、新連載が始まった!と本当に毎週楽しみにしていて、本誌の掲載作のどれよりも先に読んで毎週アンケートも出して、新キャラたくさん出てきた!盛り上がってきたな~!と思ったあたりで本当に終わった。 そのときの衝撃は本当に忘れられない。常に全掲載作を読んでいるわけではないとは言え、ジャンプを25年程度読み続けてきた中でもトップクラスの「えっ!?ここで終わる!?」だったと思う。 連載終了後、しばらくジャンプを読めず数週間溜め込んだ。ジュウドウズが載ってないこと、もう続きが読めないことを認めたくなかったから。当時それくらい好きだった。 単なる一介の読者の分際でめちゃくちゃ悔しかったから、作者さんはそれを遥かに超えてどれだけ悔しい思いをしたのかと考えるだけで胸が痛む。 数年経って読み返して、そんな気持ちをまた強く思い出させてくれるほど自分の中ではすごく意味のある作品に出会えたことを幸甚に思う。 あと主人公の母親が最強。絶対何かしらの性癖が目覚めたキッズたち、いるだろう?私は詳しいからそういうのがわかるんだ。 おすすめです。