吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)
1年以上前
異世界転生ジャンルとか関係なく、普通に面白かった。 前世で通り魔に襲われ、亡くなりゆく意識の中で獲得していったスキルが、異世界へ転生後発揮され、体はスライムに、そしてスライムには持て余すほどの強いスキルを手に入れ、目覚めた直後にいた最強のドラゴンを捕食し、吸収。 序盤から敵なしの最強スライムが誕生する。 だが、スライムだ。 スライムゆえに不自由な部分を、もがきながら快適にしていく痛快サクセスストーリー。 システムの勝利かと思ったら話も面白い。 世界観やシステムをスキルに説明させることができるので、試行錯誤の部分がもう本当にいろいろ省力できるし、捕食することでその者が持つスキルを手に入れられるのでぐんぐん強くなっていく。 ということは、ほぼノンストレスでストーリーパートをぐいぐい進められるということで、詳しいあらすじ読んでる並みのスピードで話が展開していくから気持ちいいのなんの。 スライムなのに~、と、スライムだからこそ~、が散りばめられているのもいい。 個が力を持った先に何があるかというと、強すぎる個だけでは対応できないこと、つまり大規模な政治。 早々に軍団を作り上げて近隣とも政治をしていって政治的にもどんどん力を持っていく。 強さは戦いだけじゃないよというのも良いし、転生ものの醍醐味である前世の知識もそれなりに活用している。 そして、やはり絵が上手いし、漫画も上手い。 女の子もかわいいし、男もかっこいい。 ギャグもいける。 これは売れるわーと思うが、やはり苦労と絶望をしてほしい部分はあるな~。その振れ幅を楽しみたい。 危機的状況にあってもわりと簡単に解決できちゃうのはノンストレスでいいのだけど、それはこの作品に求めることではないのかしら。 気軽に読めるのが何よりの魅力だとしたらいらないんだろうな。
兎来栄寿
兎来栄寿
1年以上前
野球マンガの歴史自体は1940年代頃から始まっているが、現在に至るまでの野球マンガの基礎となる部分を規定したのは貝塚ひろしの『くりくり投手』である。それまでは打者中心だった野球マンガを、この作品以降は投手中心に描くようになった(近年でも『おおきく振りかぶって』や『ダイヤのA』、『群青にサイレン』や『ビッグシックス』など投手中心に描かれた野球マンガは枚挙にいとまがない)。 そして、この作品で初めて俗に言う「魔球」が登場し、また打者も必殺技的な打法を使う言わば「超人スポーツマンガ」の先駆者的な存在となっていた(ちなみに、魔球という言葉自体は変化球を指す言葉として戦前から存在したと言われている)。 その流れを受け継ぎ、ちばてつやの画風とシリアスな物語展開で硬派な魅力も併せ持ったのが『ちかいの魔球』である。記号性の強い絵である『くりくり投手』に比べ、男性は格好よく女性はかわいくとよりキャラクターのリアルな魅力が絵からもエピソードからも溢れていた。 王貞治が一本足打法に開眼し、長嶋茂雄とのON砲が国民的人気を誇り始めたのが1962年だが、『ちかいの魔球』はそれに重なるように1961年〜1962年の間に黎明期の週刊少年マガジンで連載され大人気を博した。彼らや巨人のV9時代を率いた川上監督など、実在の有名プロ野球選手が作中に多数登場するのもこの時代の野球マンガの特徴だ。 17歳でデビューし、少女マンガで活躍していたちばてつやは21歳にしてこの『ちかいの魔球』を少年マンガ誌でも描き始め、ブレイクし始める。その後、マガジン誌上で『紫電改のタカ』や『ハリスの旋風』を経て68年には爆発的な人気を誇る『あしたのジョー』へと至るのはご存知の通り。 止まる魔球、分身魔球、消える魔球と、後の野球マンガや野球ゲームでも頻出する魔球が60年近く前のこの作品には登場している。 球が増える魔球自体は『くりくり投手』にも存在したが、『ちかいの魔球』での大きな変化は、魔球のメカニズムに理由付けがなされたことだ。それはあたかも当時マンガ表現全体に影響を与えた白土三平の忍者マンガにおける忍術や武器の解説のようであり、また大人が読んでも楽しめる骨太なドラマ作りにも白土三平の影響が感じられる。 66年に連載が始まる野球マンガの金字塔『巨人の星』との設定的な共通項も数多く、知名度では『巨人の星』に及んでいないものの本格的な野球ドラマの大きな一つの源流となった作品である。 『あしたのジョー』くらいしかちばてつや作品を読んだことはないという人も多いかもしれないが、野球マンガ及び超人スポーツマンガのルーツとして触れてみるのも良いだろう。
六文銭
六文銭
1年以上前
エチエチな作品かと思ったら、その点だけでなく、映像制作の観点でも謎に学びが多かったというのが最初の感想。 内容としては、ヒロインである夏帆(表紙の女性)は、誰かに見られていないと興奮しないある種の露出狂で、ひょんなことで主人公白沢が彼女を撮影することになる。 映画監督を父親にもつ白沢は、映像に対しても強いこだわりがあり、表面的なものでは満足せず、より彼女を淫らに興奮させるべく試行錯誤するという感じ。 歪んだ関係というか、倒錯的な愛情表現ですが、ノーマルにはないまた別の魅力があります。 途中、二人の間に女教師も現れて、ジャマをするかと思いきや色々とサービス旺盛なのもグッドです。 特に、私4巻の表紙で買ってしまったのですが、4巻の表紙可愛すぎだろと発狂せずにはいられません。(1~3巻は露骨すぎて、ちょっと) 題材に負けないくらい、画力が高いので、その点もご安心ください。 ただ上述の通り、エチエチなシーンよりも、映像制作の過程の葛藤も多いので、期待していた人はそこらへんが野暮ったく感じるかもですが、個人的には興味深く読めました。 映像とるのに、前段階で色々考える必要があるんだなぁと(バカ)