あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
1年以上前
「ふたなり」は百合にとって、最大の禁忌の一つ。それ故にこの作品を試し読みした百合好きは、嫌悪の眼差しを向けるかもしれません。 また、そういう禁忌を超えた、新たな百合(?)が待っているのかも、という期待も、ラストに軽く打ち砕かれます。 そう、この作品は、百合ではありません! ……だとしたら、ふたなりでも問題なしですね!物凄く生々しくお下品な下ネタギャグを、心置きなく堪能していただきたい。 (補足すると、百合的な部分はネタとして笑いに昇華されていくので、百合ギャグ作品として捉えても全然アリだと思います。百合と捉えるかどうかは読む人次第という事で、ひとつ) とてつもなく古い一族の男系継承を守るため、亡き兄のイチモツを移植された女子高生と、彼女の為にあたふたする親友のお話……もうこの時点でどうかしている……。 ふたなりの秘密も命を狙われる危険も、とにかくあっけらかんと描き、イチモツのグロさも「グロい、グロいよ!」とギャアギャア笑いにしてしまいます。これが可笑しいんだ……。 女子高生の言葉と共に動くイチモツが、段々可愛く思えて来ます。横山まさみち先生のオットセイを思わせる、生きているみたいな?イチモツ表現は、意外とBL読者に親和性が高いかもしれません。あとは『寄生獣』が好きな方とか。
名無し
1年以上前
『ファウスト』『百物語』と手塚がゲーテの「ファウスト」をテーマにした作品を続けて読んできて、最後にこの『ネオ・ファウスト』を読みました。 https://manba.co.jp/topics/25040 https://manba.co.jp/topics/25073 舞台は学生運動下の1970年代。悪魔メフィストと契約し、記憶を失った一ノ関教授は50年代にタイムスリップし、大会社の社長と懇意になり「坂根第一」として新たな人生を歩み始めます。 このタイムスリップの期間の短さがキモになっていて、坂根が冒頭の1970年代に辿り着き、自身の正体を取り戻したところで物語が一気にドライブしていきます。 坂根自身の欲望と、彼の恋する女学生、まり子へのメフィストの嫉妬により物語がこじれ、追い詰められていくのは主人公と恋仲に落ちた『百物語』の悪魔スダマの影響を感じさせます。 二作の「ファウスト」をテーマにした作品を経て、手塚が最後に選んだ舞台は高度経済成長期の日本でした。前二作の主人公の欲望は美女を手にする・大金を手にするといったあくまで素朴なものです。 しかし本作の坂根の最終的な目標は新生命を生み出し、自身が神になるという壮大なものです。原典でも人造生命ホムンクルスの創造を試みるシーンがありますが、坂根は現代の科学技術をもってそれを行おうとします。 ここに「出来てしまうかもしれない」という、生々しくグロテスクな味わいがあります。 「ファウスト」を下敷きにすることで描かれてきた人間の欲望の力強さと愚かしさの究極のありようが、本作において結実しているように感じました。