華子
華子
1年以上前
ヤンキーマンガと言えば同じチャンピオンで連載されていた、クローズが若手俳優総出演で人気をはくしましたが、ワタシはこちら派でした。 箕輪道伝説が好きだったので、一巻が発売されていると知ったその日に近所の本屋へ走って予約に行った程です。 受け付けたのが凄いおばあちゃんだったので、タイトルを聞き取って貰えず、五回ぐらいレジで復唱した遠い記憶。 二回目くらいから、半笑いでした。 ヤンキーバディと言えばトオルとヒロシが定番ですが、こちらはナオミとアキ。 名前がオシャレ(?)。 かたや硬派で案外真面目なナオミと、ちゃらちゃら軟派だけど、本当は真面目なアキのコンビがヤンキー相手に全国喧嘩行脚(?) というかヤンキーなのか?最後は巨悪と闘うヒーローへとなって行きます。 喧嘩強すぎて。 ちょっと暑苦しい部分はご愛敬。 一番お気に入りだったのはアマギンです。 古いベンツのカブリオレに乗ってるし、ハーレーに乗ってるし、グリーングリーングラスオブホームがテーマソングなところも十九ごときで渋すぎる。 作者が一番思い入れのある登場人物なのかも知れませんね。 最終巻の最後のページは感涙しました。
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
1年以上前
宇宙人の侵略をきっかけに、怪人や怪獣の脅威に次々と晒される近未来の地球。しかし地球人の中からは、それに対抗するヒーローも生まれ続けていた。 あちこちで繰り広げられる様々なヒーロー達の闘い。しかし、ヒーロー達にもそれぞれ悩みがあった……そんな彼らの相談に乗るのは、防衛軍相談課の北鹿姉妹。妹は、かつて最強ヒーローだった……。 ★★★★★ 特撮フィクションのお約束を打ち壊すように、怪獣も怪人もあちこちで同時に出現するし、それに対抗するヒーローも盛り沢山。ライダー系、ウルトラ系、戦隊系、マーベル系、魔法少女系……アベンジャーズもビックリの多彩さだ。燃える! 宿敵を倒して力を失ったヒーローは闘えないことに悩み、特殊能力を得たばかりの人間は力の振るい方に悩み、強力なヒーローも時に心折れ闘えなくなり……様々な事情を抱えた超人達は、相談課の世話になる。 それに対応する北鹿姉妹の妹は、無類のヒーローオタク。そして、かつて最強のヒーローとして活躍し、今は力を殆ど失っている存在。そんな彼女はヒーローの本心を突き、的確なアドバイスをするが、実は少しだけ残った力のせいで自分の呪縛を解けずにいる。そしてそんな妹を、姉は心配し、何が何でも守ると誓う。 妹の為にあろうとする姉と、苦しみ故に甘えずにはいられない妹の過剰に想い合う心は、甘いトキメキに近い感情を感じさせる。 暗躍する勢力に削られ続けるヒーロー達。その残酷さとグロテスクさ、黒幕の壮大な世界変革のストーリーは、現人類の終末を悲愴に演出する。 コメディもありながら、かなり暗く生々しい物語に引きずり込まれる。平和の無い世界で寄り添う姉妹の行く末と、希望の光として闘うヒーロー達の超パワーが炸裂するド派手なバトルを、手に汗握りながら見つめたい。 全てのヒーロー・特撮・魔法少女好きの心に、熱く・甘く・不穏に響く作品! (勿論百合好きにもね!)
(とりあえず)名無し
(とりあえず)名無し
1年以上前
笠辺哲をなんと評価すれば良いだろう。 なに気にキャリアのある人で、もう期待の俊才などと言うのも失礼だろう。 「ゼロ年代コミティア系の良心」? いや、別にコミティアに「悪心」が他にあるとも思っていないのだが。 SF的なテイストだと宮崎夏次系のほうがハードコアだが、笠辺哲には独自のつかみどころのない気持ちよさがあって、とにかくいつ読んでも絶妙に「宙ぶらりん」な読後感を味わわせてくれる。 絵柄も話も、少しユルいヌケたところがあって、それなのに描いている世界はちゃんと棘があり、読み重りがする。 かつての小説界であれば、「奇妙な味」というのが相応しいような、貴重な才能だ。 それはともかく。 なんでこの人は、このペンネームなんだろう。 どう考えても映画監督・俳優のジョン・カサヴェテスから取って付けていると思うのだが、その作品に、カサヴェテスっぽさは特にない。 この作品集が刊行された時のインタビューがネットで見つかったが、そこでは、自分から「(アイデアの)ベースになりやすいのが映画」と話題を振って、好きなのはタランティーノ『パルプ・フィクション』、黒澤作品、デビッド・リーン作品、キューブリック作品、『天井桟敷の人々』とズラズラ列挙するのに、カサヴェテスのことはまったく触れていない。 音の響きが面白いから借りた…くらいのことなのだろうか? 不思議。 (もちろんそれで全然構わないのだが。自分のように、カサヴェテスの名前に惹かれてコミックス買っちゃったヤツもいて、その辺もまたつかみどころがない感じがして、なかなか良いと思います)
(とりあえず)名無し
(とりあえず)名無し
1年以上前
正直、2000年代に入って以降、こんなに面白いと思った漫画は他にない…と断言したくなるような、とんでもない傑作である。 物語を味わうということ、SFを味わうということ、漫画を味わうということ、そして山田芳裕という無類の才能を味わうということの、他に比べるものが思い浮かばない陶酔を、連載を追いながら毎回噛みしめるように感じていた。 テセラックという存在の息をのむような異質感は、地球外生命体の表現として、世界のSF映画史を見渡しても白眉と呼びうるほどの、惚れ惚れする素晴らしさだ。 この真のモンスターであるテセラックに、人類代表の我らが度胸が挑む…なんと心躍る展開か! …もちろん、既に読んでいるかたはご存知の通り、その「戦い」が描かれることはなかった。 今作は未完なのだ。 この連載をしていた週刊ヤングサンデーは、当時、本当に充実していた。 新井英樹『ザ・ワールド・イズ・マイン』、山本英夫『殺し屋1』、松永豊和『バクネヤング』のような、超問題作がズラリと並び読む者を煽っていた。 (もちろん、遊人や『海猿』のようなヒット、喜国雅彦・西原理恵子・古屋兎丸などの切れのあるギャグもラインナップされた、恐るべき誌面だったのだ) だが、編集部はある時から、それらパワー溢れる意欲作群に、軒並み「打ち切り」という判断を下していった。 新井英樹が、山本英夫が、そして山田芳裕が、その異能を存分に発揮していたはずの「代表作」の終焉によって、雑誌を去って行った。 『度胸星』の最終回を読んだ時の感情は、今も鮮烈に記憶している。 それは、人生の喜びを奪われてしまった絶望感、としか表現のしようがない。 噂では、新しい編集長が「スポーツ物と恋愛物以外はいらない」と言ったと聞いたが、本当のところは分からない。 やがて、気の抜けたグラビア誌もどきのようになったヤンサンは、アッと言う間に凋落し廃刊となった。 ここでは、講談社から出た「新装版」にクチコミを寄せる。この新装版でも、特に物語の続きが描かれているわけではないのだが。 かつて連載に熱狂していた者としての感謝と、その最終回に感じた絶望の思い出として。 しかし、たとえ未完であるとしても、『度胸星』は今もその面白さを一切減じてはいない。 まるでトマス・コールの名画「青年期」のように、日本SF史に「永遠にたどり着けない幻の城」として屹立しているのだ。 ぜひ、一人でも多くのかたに読んで興奮していただき、自分と同じような重い「悔しさ」を感じていただきたい。 ちなみに、SF作家としての鬼才・山田芳裕は、連載中の『望郷太郎』で鮮やかにシーンに復帰している。 これだけ先が楽しみな漫画は今、他にそうはない。 慶賀に堪えない。