あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
1年以上前
本作は台湾で伝説的児童雑誌『王子』を創刊した、蔡焜霖さんの人生を描いたノンフィクション。戦前の日本統治時代から白色テロ時代、そして現代の民主化した台湾までを通して描く作品は、おそらく今までにないのではないか、と『綺譚花物語』翻訳者の黒木夏兒さんはおっしゃっていました。 全四巻のうち1巻と2巻が同時発売。両方を通して読んでみると、この二冊が同時発売された意味が分かる気がします。 1巻は戦前。台湾語を喋りながら日本語を学ばされる時代を、それでも大家族の中でおっとりと優しく育つ焜霖さんの少年時代は、穏やかなタッチで描かれます。 しかし1巻末、世界は暗転します。 2巻では、謂れのない罪を着せられた、政治犯としての過酷な10年が、暗く・痛々しいタッチで描かれます。 登場する人物も皆、焜霖さんが出会った実在の人物。さまざまな出会いも、大切な人も、容易に奪われてゆく。その悲しみ……とりわけ彼らを失ったのは自分のせいかもしれない、という焜霖さんの苦しみは、巻末の一人ひとりの解説を読むと、いっそう強く伝わるのです。 失われた者や時への焜霖さんの思いが、3巻以降、どのような形になるのか……続きを待ちたいと思います。
名無し塾
1年以上前
『沈黙の艦隊』潜水艦やまと VS 空母JFK ニューヨークの国連を目指す 潜水艦やまと。 それを阻止すべく 立ち塞がる 空母JFK。 やまとは何としても、空母JFKの壁をこじ 開けて進みたい。 両者譲らず前進を続け、遂に正面衝突‼ 原付バイクと大型ダンプカーが衝突するような もので、やまとは一たまりもない。 だが、やまとは船体を左に傾け、衝突の衝撃を 緩めていく。 それでも空母JFKは船体を覆い被せ、やまと を海中に沈めてしまう。やまと万事休す!? とその時、やまとは JFKのスクリュー回転 から生ずる 大量の気泡の中に入っていく。 その浮力を得て、潜水艦やまとは再浮上に成功。 空母JFKの壁を突破するのだった。 この間、やまと艦長 海江田は、艦橋に体を縛り 付けて 一歩も退かない態度を示す。 衝突後は 海中に沈んだままとなり、海江田の 安否が心配される。 だが、海江田は再浮上する やまとと共に生還を 果たすのだった。 この奇跡の生還劇に、ニューヨーク市民は大喝采 を送ったのだ。 こうして潜水艦やまとは、国連 本部にたどり着くことに成功した。 潜水艦と空母との 正面衝突のガチバトル! これはどんな戦記物にもない 大スケールの名勝負 だと、今でも読み返して思います。
『沈黙の艦隊』潜水艦やまと VS 空母JFK

ニューヨークの国連を目指す 潜水艦やまと。...
六文銭
六文銭
1年以上前
SNS上の誹謗中傷によって自殺まで発展する事件をみると、他人事でありながら得も言われぬ不快感を覚えます。 実際、すごいですよね。 会ったこともない人間に対して「死ね」だの「消えろ」だの直接伝えられるとか。 恐ろしいです。 本作は、そんな被害者と法的措置をサポートする弁護士の話。 なんとも今っぽい題材で、内容自体、非常に興味深いです。 特に、誹謗中傷を書きこんだ人間の情報開示までの流れの、困難さは度肝抜きます。 また、名誉毀損にあたるあたらないなども、世間一般(というか私の尺度)よりも大分厳し目なのがびっくりしました。 そりゃ、ネット上の書き込みが何でも名誉毀損になったら裁判所はパンクするでしょうから、なんでもかんでもそうしないのはわかるのですが、どうも釈然としない。 加害者が 皆やっていることだから全く悪気がない むしろ被害者は言われて当たり前だろ みたいな態度をとる感じが、ホント胸糞悪い。 もっとも、ジャンルとしては「もやスカ」な題材なので、最終的にはきちんと成敗されるので、その点も魅力です。 読んでいてスッキリします。 ただの主婦だったり、会社員だったりが、ふとしたストレスのはけ口でしてしまう感じはSNS、現代社会の闇だなと痛感します。 余談ですが、開示請求されれば、いつどこで書き込んだかバレるようなので、会社PCでSNSとかはやめしょう。そう心に誓ったのでした。