nyae
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1年以上前
決して難しい話ではなくて、漫画としても非常に読みやすく、人種差別を理解するのにとてもふさわしい作品です。この手記が発見された当時、奴隷が書いたにしてはあまりに知的であったためフィクションと誤認された、とあるように(翻訳の際に多少読みやすくしていたとしても)、年齢問わずわかりやすい内容になっています。学校のクラスに1冊ずつ置いても良いかもしれない。 実は「重いかな…」と思って買ってから1ヶ月以上寝かせてしまっていたんですけど、今日こそと思って読んだんです。そしたらあっという間に読み終わってしまいました。 人身売買が当然のように行われる。家族とは簡単に引き離される。人をモノのように扱う。自分の希望など何ひとつ通らない。それがここで描かれる現実です。理不尽に振りかざされる権力には、本当に絶望します。 これを読んで、なにか行動を起こす人もいれば、そうなんだ、で終わる人もいるでしょうけど、黒人差別は当時から、そして現在も無くなることのなくつながっている。それがわかるだけでもこの漫画の存在意義があるんじゃないでしょうか。 そしてこれは1巻完結ではないので、主人公リンダの戦いはまだ続いています。2巻が出た時に、いまより更に多くの人が読んでいでいて、売り切れてしまうくらいになればいいですね。
nyae
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1年以上前
自分がゲイであることを受け入れてもらえなかったことで家出してから、実家との縁を断っていた主人公・昭が、父の死をきっかけに田舎に帰ります。そこで出会った謎の青年・舟は、生前の父親とやけに親しかったようで…同性愛なんか認めない父親が、どうして?(しかもこんなイケメンと!?ずるい!) まるで死んだ父親を含めた歪な三角関係が出来上がってしまっているようにも見えます。しかし地元を離れていた約十年のあいだ、父親がどう生きてなにを思っていたかは昭は知りません。何もかも上手く行かない人生にくすぶっていた昭も、舟に出会ったことでその空白の十年と向き合い、変わっていく様子が描かれます。最初は素性の知れない舟に対してピリピリしっぱなしだった昭も、舟と同居するようになってどんどん丸くなります。そして逆に、昭と出会ったことで舟も本当の自分に気づき始めます。 ボーイズラブであることには間違いないですが、若い頃、田舎に残してきた"しこり"といつかは向き合わなければならないことを思い出させるような、そういう話でもあると思います。あと個人的に、ふたりが両思いになるまでに長い時間を使うのは好きな方です。2回くらい昭が下心出したときに舟からすごい拒絶のされ方してますからね。そう考えると昭のメンタルは強靭だな… 脇役もみんないい味出してます。