sogor25
sogor25
1年以上前
小犬丸さんは、ちょっと不器用でちょっと臆病な女性。なので就職先でも仕事が上手くできず、人間関係も上手に立ち回ることができず、でも不満を誰にも打ち明けることができない。そんな彼女と同じアパートに住む男性・木下さんが偶然アパートの屋上で出会うところから物語が始まる。 社会に上手く迎合できない主人公の女性とそんな彼女を助ける男性という構図は、どことなく「アスペル・カノジョ」を彷彿とさせる作品。違いを挙げるとするなら、小犬丸さんは特別奇怪な行動をするわけではなく、あくまでちょっと人より不器用で、自己肯定感が低くて、引っ込み思案な女性だということ。それが極端にデフォルメされて描かれているように見えるけど、誰しもがどこかしらに彼女への共感を覚える部分があるはず。公式のあらすじには"「コミュ障」なのか「アスペ」なのか…"とあるけど、私には彼女そういう病名ではなく、等身大の1人の女性のように見える。 そして彼女に対する木下さんの振る舞いはというと、場面場面で臨機応変に立ち回っているけど、基本的には"全肯定"で一貫している。これが小犬丸さんの自立へと向かう物語なのであればもっと違った方向性があるかもしれないし、そういう意味でこの作品は全ての人に好まれるような作品ではないのかもしれない。それでも、この小犬丸さんのこと、延いてはこの作品の存在を認めてもらえるような世界であればいいなと思う。 1巻まで読了
名無し
1年以上前
誰もが「理不尽なしうち」は経験する。 仕事でも、私生活でも。 そして漫画やドラマの中では、それらの理不尽を スカッと解決してくれるヒーローが多数登場する。 頼れる家族や仲間、プロフェッショナルな弁護士や医者。 仕事人や魔法使いやドラえもんなど。 だがこの漫画「理不尽のみかた」の主人公・佐倉縁は、 凄腕だとか敏腕だとか豪腕だとかの解決人ではない。 検察審査会事務局員。 ザックリ言えば裁判所の事務員さん。 不起訴になった案件について、その判断が適当だったか 再検討をする場の運営に携わる公務員だ。 佐倉自身が理不尽に白黒をつけるわけではない。 はなからそんな裁量や決定権がない。 むしろ、徹底して第三者でいなければならず、 被疑者側・被害者側、どちらにも利益を提供しては いけない立場の人間だ。 あえて言うなら問題に対して無力だ。 その場の空気でいなければならない存在だ。 普通ならドライな感覚に徹して、 仕事を事務的にこなせばいい。 いっそ、他人の不幸は蜜の味、と楽しむことも可能。 だが佐倉は自身も過去に体験した理不尽を引きずっており、 毎日毎日、目の前で繰り広げられる理不尽群像劇を 見せつけられ、かなり疲れていた。 そんな佐倉のアパートの隣の部屋に、 イケメン外国人留学生が越してきて、 成り行きでボランティア的に観光案内をしたり、 天然ボケに振り回されることに。 より疲れてしまう佐倉だが、偶然の作用もありながら、 迷惑をかけたりかけられたりしたときの 心の持ち方など色々なことを考えるようになる。 そして「なにもしない」とか「できない」とか、 「仕方ない」ということにたいしての、 自分なりの答えを見出していく。 主人公は理不尽に対してオールマイティな解決策や 必殺技を持っているわけではない。 だからといって無気力無関心には逃げない。 空気の立場で出来ることを模索し、 カン違いや結果オーライなだけなこともあるが 理不尽なめにあって心臓がいたい人を 空気な立場で「味方」になって支える。 また、その空気感が適度に(自虐的だったりもするが) 明るくて前向きで良い。 理不尽話を少しだけれど笑い飛ばせる。 ちょっと独特な「理不尽の見方」をする個性的な漫画。
誰もが「理不尽なしうち」は経験する。
仕事でも、私生活でも。
そして漫画やドラマの中では、...
野愛
野愛
1年以上前
生きることは難儀だなあ。 読んだ直後なんとも言えない気持ちになって思わずTwitterで呟きました。 激しい被虐趣味を持つペス山ポピーさんが様々な男性とプレイ(というか殴られる)をしながら、自らの性的嗜好や性自認の根源にあるものと向き合っていくお話です。 イケメンにボコボコに殴られて恋してハッピー、なんて一筋縄ではいきません。 殴られたいという欲求に真摯に向き合ったことで、浮かび上がった性自認。殴られて恋をしたせいで、その性自認が再び自分の首を絞めることになる。 なんて生きづらい。 男と女の二種類しかいないのは何故なんだ、恋してセックスしてそれが当たり前だなんて傲慢だ。 人の数だけ性別があっていいし、性的嗜好があったっていい。それで人類が滅んだって別にいいじゃないか。 というのは極論なのかもしれません。 でも、みんなが苦しまないで生きられたら、自分を否定しないで生きられたらそれがいちばんいいことだと思います。 ペス山さんも自分を肯定して元気に過ごしててくれたらいいなあ。 生きることは難儀です。みんな生きてて偉いです。