兎来栄寿
兎来栄寿
9ヶ月前
女の子同士のバディものは古来から名作が多いと相場が決まっています。そして、ちょっと啀み合っているくらいがちょうどいい。そう思う方には、うってつけの作品です。 コールドスリープから目覚めると、自分がいた2020年代から60年経った2080年代の東京にいた東雲菊。その時代では通称「特能」と呼ばれる外部神経を体外に伸ばしてコントロールする超能力が極一部の人間に発現しており、法規制されているものの犯罪が後を絶たない状況に。悪化する治安を食い止めるべく、民間企業に警察の業務が委託され「民警」と言われる民間警察が普及しているという世界設定です。 菊の相棒となるのが、菊のことを「おばあちゃん」と呼ぶ16歳の月下香(つきさがりきょう)。世界で唯一の「クラス9」の特能使いで、大量殺人を行った凶悪犯罪者です。地雷がどこに埋まっているかもわからず、何かあると菊も殺そうとすらする危う過ぎる人物なので緊張感もありながら、その中で発生するコミュニケーションに面白さがあるコンビです。 時代によって失われた誰かを守るために真っ直ぐであろうとする価値観を持ち続けて戦場で駆ける菊。そんな菊の在り方に、ときに苛つきときに戸惑いながらも少しずつ距離を縮めていく様子が良いです。 コロコロレーベルということで対象年齢はやや低めに作られていますが、子供のころからこうした良質なバディものに触れられたなら素敵な大人に育っていくだろうなと思わずにはいられない作品です。
ゆゆゆ
ゆゆゆ
9ヶ月前
第一話の途中、浮気現場を目撃したところで、「何が二度目なんだよう、浮気が実は二度目なのかよう」と、あらすじを初めて読んだ。 最後の「暴走したトラックに轢かれてしまい――」のフレーズに、昼ドラ系じゃないの?!なんだこれは?!と混乱…。 そう、「優しい夫が実は浮気をしている」という、昼ドラのようなドロドロな状況から、何故か流行り(?)のトラック転生ならぬ、トラックタイムリープもの(なお、本体が生きているかは不明)へと変わる。 タイムリープ先は、2007年5月。 高校生で、夫となる人と付き合う前らしい。 心と知識は30代、体は高校生のせいで、いろいろ達観している主人公。 そんな物語の状況よりも、2007年という、ガラケーやら、アドレスは赤外線通信で交換やら、キャリアメールでのやりとりやら。 2007年の香りを感じるものを思わず探してしまう。 なつかしいな!と思ってしまった。 ちなみに読後の感想は、タイムリープものって「未来が変わってしまうから何もしてはいけない」派と、「タイムリープすら歴史の流れの一部だから、変えてOK」派があるよなあというものだった。 本編の内容をあらすじ以上に書くと、ひどいネタバレになるようなタイプの漫画なので、なるべくネタバレなしに書こうと思ったのだけど。 考えたら、タイムリープもひどいネタバレの一部だった。 まさかリープするとは。