兎来栄寿
兎来栄寿
1年以上前
中年女性主人公の名作がまたひとつ。 40歳にして4,5年の結婚生活に終止符を打って東京から何もない地元に戻ってくるも、新しい職はなかなか見付からず自身の調子や周囲の人間模様などさまざまなところで加齢の影響を感じずにはいられない主人公の朝子。昔すごく好きで楽しく吹いていたトロンボーンも、今では全然吹けなくなってしまっていました。 高校生までずっと委員長を続けてきて、部活も勉強も仕事もとにかく真面目にやり抜いてきた朝子。自分の存在を軽んじられても思わず作り笑いで濁してしまったり、無思慮な言葉に傷つけられる朝子に共感を覚える方も多いでしょう(田舎の悪い部分のリアルさも巧み)。 そんな朝子が「それでも本当に好きなもの」を支えに前に歩んでいく姿には、ポジティブなエネルギーを貰えます。人生の選択で迷った際は心が踊る方にすべきだし、本当に大切にすべきは自分の「好き」という気持ちであるなど大事なことを物語で示してくれます。 朝子に厳しく当たる青年の過去のエピソードに起因する関係性や、朝子との立ち位置のコントラストも秀逸です。すんなりと生きていない人だからこそ、誰かを勇気付けられることもあるんですよね。 令和3年のデータによると男の平均寿命は 81.47 年、女の平均寿命は87.57年。つまり、40歳というのは平均してまだまだ人生の半分にも満たないわけで、ここからまだまだ長い旅路が続いていくわけです。 丁度10月は『あした死ぬには、』の最終巻も出ましたが、この年代が主役の面白い作品はこれからますます需要が増していくと思いますし、これからの時代にますます価値を放つ一作だと思います。実写化にも向いていそうですね。
名無し
1年以上前
『リベリオン』というアクション映画があります。画期的だったのは拳銃を用いてスピード感あふれる近接戦闘を行う「ガン・カタ」と呼ばれるアクションの導入でした。近作では『ジョン・ウィック』やアニメ『リコリス・リコイル』の着想源となった作品として名前を聞いたことのあるひともいるのではと思います。 そんな『リベリオン』の影響をジョン・ウィックよりもリコリコよりもまっさきに画面の中へ注ぎ込んでいたのが本作『グレネーダー』です。 当時ケーブルテレビでアニメを見ていたのですが、やたら温泉シーンが挿入されていた記憶があるのはご愛嬌。 胸の谷間から予備弾丸を跳ね上げ、空中に浮かせたそれら目掛けて勢いよく拳銃を振り抜きシリンダーに流し込むことで一気に装填を行ういわゆる「おっぱいリロード」が代名詞とされる本作、とにかく銃器の描写が冴え渡っています。 文字に起こした限りでは「どうかしている」としか思えないアイデア、当時はネタにされる向きも強かった(というかネタでしかなかった)ですが少し時間を置いた今、ネットに上がった動画なんかを見てみるとバカバカしさ以上にアニメーションに精確さと迫力があることに驚かされます。ちゃんとしてるぞ、グレネーダー。 コミカライズ版でもガン・アクションはガチで、試し読み部分だけでも本作の何たるかが一発でわかると思うので、少しでも興味を持たれた方には見てほしい。あわよくばアニメの作画も確かめてほしい。 ちなみにKindle Unlimitedでは全巻読めるようですよ。