ゼロ
とある時代、一触即発の緊張状態が続く隣り合う国々。隻眼の運び屋・ザングは、「六の国」の女王から仕事を依頼される。その仕事とは、二人の人間を「四の国」まで無事運ぶこと。一人は「四の国」に嫁ぐ薄幸の姫君・ビビエナ。そしてもう一人は、姫君の声なき護衛・トキオ・刺客の目を欺きながら、謎めいた三人の道行きが始まった――。
夜の童話
貸し猫屋を名乗る少年が、心の奥に忘れていた気持ちを映し出す『夜の童話』、夢のなかに故郷の風景を浮かべる『家路』ほか、『家路』の関連作『バイエルのワルツ』を単行本初収録。8つの物語全てにあたたかく優しい気持ちが溢れる珠玉の作品集!
いとめぐりの素描
日本刺繍を営む家に生まれた高校生の繍子は、ある日、亡くなった祖母が集めていた刺繍の教習布を見つける。漠然とした未来に焦燥を覚えていた繍子だったが、時代と国を越えて少女たちが紡いできた刺繍に触れるたび、少しずつ自分のなかに答えを見出していき――。一枚一枚の刺繍を通して少女の成長を描く叙情派ストーリー。
春待ヴァルツ
今カノと元カレの間でワタシは揺れている――。女子高生・三澄糸は高校三年生になった春、親友の加古川莉緒に告白されて付き合い始める。女の子同士だけど「好き」をかみしめる二人。そんな中、新しく赴任した非常勤講師の男性を見て糸は驚く。彼は、かつて糸と付き合っていた年上の幼なじみ・佐倉巴だった――。心ざわめくラブ・アンサンブル第1巻!
11
ある人は彼に焦がれ、ある人は彼の境遇を想って泣いていた。語り口や記憶、時間の流れや経験によって異なる「彼」の姿。新鋭・いがわうみこが、笑いと涙で贈る、ある男の物語――
花族ワルツ
時は西洋文化が花開く、大正時代。女学生「みどり」はある目的を持って、華族の家に家庭教師として下宿し始める。身籠りつつこの世を去った親友… その恋人は一体だれなのか? 親友の恋人を捜すため、奮闘するみどりを待ち受けていたのはまるでタイプの違う兄弟と、そして――!?
誤発注した大量のオイルサーディンと共に勤め先をクビになった橘良太は、地元で「なんでも屋タチバナ」を開業。頼まれた仕事で殺人犯の濡れ衣を着せられた良太の前に現れたのは、わずか10歳にして探偵を名乗る無垢で無謀な美少女・綾羅木有紗!ヘタレ三十男とお嬢様が難事件に挑む!!『謎解きはディナーのあとで』東川篤哉、本格ユーモア・ミステリーのコミカライズ!!
春の夜の闇はあやなし…と口にしたのは凡河内躬恒であり、紺野キタ先生の『つづきはまた明日』の主人公・藤沢杳(はるか)少年だった。視覚を制限される夜に、出会う感覚は豊かで、月夜歩きは意外なほど自由。 そして夜は、何かが生まれる場所……朝、生誕、故郷……へ辿り着く。 暗い闇を歩んだ者・不安を共有する者しか辿り着けない、豊かな感慨のある詩的短編集。夜に一つずつ、ゆっくりとどうぞ。 ●『家路』…夢の故郷を絵にしてみた。それが画集になる時、彼の夢はどうなる? ●『庭』…姫の庭には、園丁の少年が眠る。姫が悲嘆に暮れる時、庭は姫を受け止める。 ●『バイエルのワルツ』…営業の谷川君は、事務の時枝さんの結婚話を聞いてしまう。夜道で彼は思い切る! ●『春を待つ家』…奔放な父に振り回される姉弟。それでも共に桜を見る父が好きだ。 ●『カラカラ』…かつて事故に遭った時、祖父と空を操った。 ●『眼鏡売りの男』…月夜の下を不思議な眼鏡を売り歩く男が、出会い・配る物とは? ●『あかりさき』…病院の前で、裸足の少女と出会う。一番星を灯す彼女に託される物。 ●『夜の童話』 ①長いこと借りていた「猫」を返す。 ②三匹の捨て猫と心配な子供達。 ③猫を見つけたお礼に初恋(概念)を貰う。