私は貴兄のオモチャなの

タイトル通りの話ではある

私は貴兄のオモチャなの 岡崎京子
名無し子

主人公の星山星子は空知くんのことが好き。何年も片思いしていて何回も告白してフラレ続けているがそれでも好き。しかし夏休みのある日に空知くんから電話で映画に誘われます。そして失恋で自暴自棄になった空知くんから「俺のペットになれ」と言われてしまいます。タイトル通り『私は貴兄のオモチャなの』というような展開になる訳ですが、ここに別の男達も加わって星子はかなりめちゃくちゃな目に合います。最終的に空知くんが星子に対して「酷いことをしてごめん」と謝って二人は別れるけど、星子は空知くんのことを嫌いにならなかったという話です。 岡崎京子先生の絵じゃなかったら読めないようなバイオレンスなシーンがあるし、あらすじにも「賛否両論の激しい反響を巻き起こした表題作」とありますが、私は好意的に受け取りました。岡崎京子作品は普通だったら犯罪や事件になるような出来事にキャラクター達がよく巻き込まれますが、ラストはおとぎばなしみたいに「めでたしめでたしチャンチャン♪」で終わるのが特徴ですね。『pink』では主人公のユミちゃんがスリルとサスペンスを得る為にワニを飼っていましたが、星子がどんな暴力も愛だと思えたのはそれが一番リアルだったからなのかもと思いました。

おじさん、ドル活はじめました!

アイドルを好きになることのポジティブな効果

おじさん、ドル活はじめました! シバタヒカリ
hysysk
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私もおじさんですが最初にK-POPを好きになったのは約10年前。KARAや少女時代、2NE1が活躍していた頃です。f(x)が初来日すると聞きつけて東京国際フォーラムにも行きました。めちゃくちゃ女性客が多くて、こんなに女性のファンがいるのか?と驚いたのですが、一緒に出演していたSHINee目当てだったことが判明(青春不敗というテレビ番組の記念イベントだったのだけど、そういう文脈を知らなかった)。女性ファンのお洒落さと、いい匂いに衝撃を受けました。 当時男性ファンが中心のアイドル現場に行くと、悪臭で不快な思いをするし、服装もだらしないので、正直周りから同類だと思われたくないという気持ちが強かったのですが、女性ファンには「好きな人に会いに行く」という意識を感じました(握手の前にお手拭きを使っている人もいた)。 前置きが長くなり過ぎました。 話自体はおっさんがアイドルを好きになることで、会社でも若者と打ち解け、家庭の絆も深まり、いいことづくめというご都合主義的なもの。でも、これ実際本当にいいことづくめなんですよ。アイドル達はダンス、歌、語学とあらゆる面で努力しており、その姿を公開しています。ファンはそれに刺激されて、自分も頑張ろうと思う。そういう熱量が描かれています。熱量だけでなく、節度(自分の振る舞いが周りにどう影響するか)についても。当初は3話の予定が7話になったとのことですが、もっと長く続けて、K-POP業界の仕組みや文化(カムバックとかトレーニングとかオーディション番組とか)も解説的に描いて欲しかったです。 私もNizi ProjectをきっかけにK-POP熱が再燃、TWICE、ITZY、BLACKPINKとはまっていき、挫折した韓国語の学習も再開し、ようやくハングルは読めるようになりました。早く歌詞や会話をダイレクトに理解できるようになりたい。そして踊れるようになりたい。。

デイト

交わらない視線のメロドラマとして

デイト 南Q太
影絵が趣味
影絵が趣味

表題作の『デイト』を始めとして、南Q太の漫画のキャラたちは、大抵ひとりあらぬ方角に視線を向けている。メロドラマの描き手として、南Q太は、もうたったのこれだけのことで勝利しているといっても過言ではありません。 メロドラマですから、お年頃の男女が出合う。まあ、南Q太のばあいは、男と男のときもあれば、女と女のときもありますけど、性別はどうであれ、必ずといっていいほど出会った二人が視線をたがいに介そうとしないのです。デビュー当初から比較的ラフな線画でドライなメロドラマをいくつも描いていますが、どれもキャラの黒目には力が入っている。とりわけ、その黒目がどの方角を向いているのかが如実に描かれているのです。 南Q太はこのように視線を中心にしてメロドラマを構築する。視線がたがいに交わらないということで、そこに何かしらの関係性を描いてしまうのです。 表題作の『デイト』で言うなれば、まず交わらない視線劇の積み重ねがあり、その状況を打開するために、居酒屋の座敷で向かい合う男女、のぶおくんはテーブルの下に足を伸ばして、みどりさんのひざを小突く。これが決定的な瞬間となるわけです。視線は交わらないし、会話だって上手くいかないのは分かっている、だからこそ、この些細な行動が決定的な瞬間として利いてくる。事実、次のページで二人はラブホテルにいて、やっぱりおかしいよ、とか何とか言いながら身体を重ねてしまいます。そして、事後にはまた交わらない視線にもどってしまうんですけど、二人の関係性は事前とは大きく変わっているのです。