イブニングの感想・レビュー290件<<89101112>>言葉の力に翻弄されていく普通の人達レッド 1969~1972 山本直樹名無し事件関係者達の手記をかなり忠実に再現している。 この漫画をきっかけに連合赤軍に興味を持った。主要人物や事件に至るまでの流れを一通り把握することができるので、連合赤軍入門書としてはかなり良いのではないだろうか。 「言葉の力に翻弄されていく普通の人達」という切り口で連合赤軍事件を描いた作品。 物語の主人公格は赤城(=永田洋子)という女性指導者と、岩木(=植垣康博)という男性メンバー。 一般的に、永田洋子は「優れたメンバーへの嫉妬心から大量殺戮を行った鬼婆」として語られる事が多い。だが、物語前半の赤城は、感情的な面はありつつも人並みの思いやりや理性は持っており、けして「鬼婆」ではない。 しかし、もう1人の指導者・北(=森恒夫)により、「革命家として問題があるメンバーを殴る事で、彼らの欠点を克服させる」という理論が提唱されると、彼女はささいな理由で(美人だとか頭が良いとか)メンバーを摘発し、彼らへの暴力を指示するようになる。 メンバーを殴る時に「頑張れ!頑張れ!」「あなたのためなのよ」という台詞がよく使われていることが印象的。 リンチのはほとんど、北(や赤城)がメンバーの些細な行動を「彼らの欠点は革命家として致命的であり、それを克服させるために殴る」ともっともらしい言葉で問題化することから始まっている。 もっともらしい言葉で理由付けがされることにより、言いがかりのような批判から始まるリンチに対しても「自分たちは仲間のために正しい事をしている」と思い込めるようになっていく。 元赤軍派メンバーの男性が言った「地獄への道は善意で敷き詰められている」という言葉が印象的。 北(=森)や赤城(=永田)も、岩木(=植垣)も、英雄でも狂人でもないごく普通の人たちだった。そんな彼らを冷酷極まりないリンチに追い立てたのは、言いがかりのような批判を正当化する言葉と、「仲間のために正しい事をしている」という自己暗示だったのではないかと思う。 同じく連合赤軍を再現した作品に若松孝二監督の「実録・連合赤軍」があるが、見比べてみると永田の捉え方が随分違う。 実際の事件関係者の手記を読んでみても、森・永田に対する印象は人によってマチマチだったりする。連合赤軍事件は語る人によって全然違った「真実」が見えてくる事件なんだと思う。 この作品も若松映画とは違った角度からの「連合赤軍の真実」として、後世に読み継がれていったらいいなと思う。劇画・長谷川 伸シリーズ劇画・長谷川 伸シリーズ 小林まこと 長谷川伸名無し長野県伊那市には「伊那の勘太郎」というヒーローがいます。地元のヒーローがどんなものか、調べてみたら、戦中の大ヒット映画『伊那節仁義』の主人公で、いわゆる「股旅もの」の「侠客」とのこと。いわゆる……といわれても、「股旅」も「侠客」も現代っ子の私にはよくわかりません。果たして侠客とはなんなのか?ヤクザものとは違うのか?どのあたりがヒーローなのか?時代劇素養の全くない私にも「侠客」のカッコ良さを教えてくれたのがこの「劇画・長谷川 伸シリーズ」です。 長谷川伸の書いた戯作を素材に小林まことが漫画として構成したこのシリーズは、『関の弥太っぺ』『一本刀土俵入り』『沓掛時次郎』『瞼の母』の4作品があります。『関の弥太っぺ』『瞼の母』の名前ぐらいは、アーリーゆとりの私でも聞いたことがありましたが、中身は当然、知りませんでした。 読み終わって、なぜ「股旅もの」があんなにも人々の心を掴めたのか、わかったような気がします。どの作品テーマとして描かれるのは、男と女、親と子、男と男の、損得や欲望を越えた情です。 『沓掛時次郎』の主人公・沓掛の時次郎は流れ者です。一宿一飯の恩義のために、見も知らぬ男・六ツ田の三蔵を斬ることになります。一騎打ちの末、なんとか三蔵を倒した時次郎は、今際の際の三蔵から、妻おきぬと子・太郎吉のその後を託され、雇い主を裏切り逃走劇がはじまります…。 追っ手から逃げ続ける辛い旅のなかで、段々とおきぬに心惹かれていく時次郎ですが、それを言葉にすることはありません。自分が斬った男の妻と思い、気を使いながら旅を続けます。おきぬも時次郎の気持ちに気づいていますが、気を使う時次郎のことを思い、口に出せません。そんな微妙な関係がとてもよいのです。そんな二人の関係にも、やがて変化の時が訪れます。三蔵を斬ってしまった自分に踏ん切りをつけるために刀を捨てていた時次郎は、身重のおきぬのために再び刀を手にするのですが…。ベタといえばベタな展開ですが、最後の最後まで心を揺さぶられっぱなしです。 話もそうですが、絵も本当に素晴らしい。どのコマも躍動感あふれているのですが、特に殺陣は本当にかっこいい。腰を下ろすヤクザものの構えから白刃が何度も交わされ、そして一瞬の決着へと繋がる…本当に動画を見ているような気持ちになります。個人的には合羽をバサッと跳ね上げるシーンも好きですね。ただそれだけの動作で主人公たちのカッコ良さが際立つのです。義を胸に生き、自分のした事が受け入れられなくともかまわない、そんな男たちの背筋がはっきりと出ているのです。“カッコイイ”とはこういうことだ。そんな気持ちになりました。変わった構成のマンガ北の翁〜無双絵師異伝〜 ふじいきよみつ名無し葛飾北斎の作品にまつわるエピソードと、いかに絵にすべてを捧げた人生だったかが分かりやすく描かれている。 曲亭馬琴て誰だと思ったら、滝沢馬琴のことだったのね。 もしこれが連載化したら面白いことになると思う。陸より空の方がいいような気がしてきた前略 雲の上より 竹本真 猪乙くろ 竹本真名無し電車や新幹線も好きだけど、空港など巨大な施設も昔から好きで、飛行機に乗るたびにワクワクしていた。 けどこの漫画を読んで自分は空港の魅力をほとんど知らずにいたことを知った。 パーキングエリアみたいに、飛行機には乗らずに空港で遊ぶだけでもアリな気がする。 ただ、課長がめんどくせ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!厳選!読んでほしいこのマンガぼっち死の館著者:齋藤なずな1巻まで刊行作品情報はこちら恋人の前で〇〇できる?スイートプロポーズ 二階静名無し生理現象だから、という正論は置いといて、やっぱりしちゃったら恥ずかしいし、されたらガッカリなんてことは誰でもあると思います。 この読切を読んで思うことは、 「ぷう」だけで済んだユリちゃんは幸運の持ち主だし、 「ぷう」だけであんなに動揺する拓男は小さい男だなと。 あとユリちゃんは拓男の前ではパーフェクトな女の子を演じてるだけで家ではおっさん女子だと思う、なんとなく。アスペルガー症候群の男が父親になったらプロチチ PROFESSIONAL FATHER 逢坂みえこ名無し専業主夫の育児漫画といえばそうなのですが、主人公の徳田直は人間関係も仕事も全く上手くいかず、産休を終えた妻が職場復帰したのと同時に専業主夫として家事育児をほぼワンオペで行うことになった、アスペルガー症候群の男です。 直は一つのことに固執したり、人の発言をそのまま受け取ってしまう、また嘘や社交辞令が一切言えないため、周りの人から距離を置かれることも多いが、どうすれば息子の太郎を無事に健やかに育てることができるかを、納得できるまでとことん考え、調べ、時には自分で実験し、身につけてゆく。 バリバリ働く妻が、とても明るくて物分りが良く直の最大で唯一の理解者です。周りの人もだんだんと理解を示していきます。 難しいことは描いていないので、サラサラ読めます。 発達障害に対する理解につながるだろうし、育児するうえでの有効な知識も得られると思います。 結局、育児は母親と父親どっちがやろうと大変であることには違いがないですね。でもやらないと得られない発見や楽しみがあるんだろうな、と思います。人間を自動販売機に改造する『或る機構』 #読切応援或る機構 まちざわstarstarstarstarstar_borderかしこ※ネタバレを含むクチコミです。ミステリーとしても人間ドラマとしても一級品Op-オプ-夜明至の色のない日々 ヨネダコウsogor25「囀る鳥は羽ばたかない」等、BL方面では知らない人はいないと言っても過言ではないヨネダコウさんの、おそらく一般紙(講談社イブニング)初連載作品。 主人公は保険調査員という、保険金の支払いが発生する事案に対して保険会社から依頼を受けて詳細を調査するという仕事をしている夜明至(よあけいたる)という人物。キャラ自体の魅力もさることながら、保険調査員という特殊な立ち位置ゆえに、警察ほど正義感を振り翳す存在でもなく、かといって探偵ほど自由に動いたり被害者に過度に寄り添ったりしない、あくまで事案の事件性や過失度を中立な立場で判断するというのが、謎解きものとしてこの作品を見たときには新鮮に映る。 そして、夜明さんおよび夜明さんが預かることになる少年・高比良玄(たかひらくろ)の持つ過去や能力の描き方が巧妙で、特に玄が持つある"能力"については、物語の起点としても絵の表現としてももっと前面に出していいはずなのに、あえて作品の重心から少し外れた位置に配置してより人間関係の描写に焦点が当たることを意図してるようにも感じる。夜明さんと玄、2人のバディもの、および周囲の人々も含めた群像劇としても魅力の高い作品。 「囀る鳥は羽ばたかない」等のBL作品でもそうだったけど、恋愛要素を中心に置かずとも人間関係をこれだけ魅力的に描けるというのは流石の一言に尽きる。 1巻まで読了。なんだこの終わり方!モテキ 久保ミツロウティモテ※ネタバレを含むクチコミです。なにこれすごい…!!発想の勝利&疑似体験スケルアイロニー 三原すばるホラーマン※ネタバレを含むクチコミです。鳥宮はバカ!おもしろかった #読切応援鳥宮はバカ! 三原すばる名無しちょっとおバカな鳥宮は水泳部の先輩のことが大好きで、卒業式の半年前から第2ボタンが欲しいと交渉している。しかしファスナー式の制服なので残念ながらボタンがない!どうしても第2ボタンが欲しくて四苦八苦する鳥宮と、なんやかんや言いながらも優しい先輩のラブコメディー。第2ボタンの代わりになる物ってなかなか難しいね!!新企画も準備中らしいので楽しみ。もっとこの作家さんの描くラブコメ読んでみたい。これは紙で読んでほしい!!スケルアイロニー 三原すばる名無し最後のオチのためだけに描かれたマンガ。 透視ができるようになった幼馴染の男子が、女子の心も読うとしたとき… あー!透けてるーーーーーーー!!!!笑 勘が良い方はなんとなく言ってることはわかると思いますが、 「透け」の仕掛け方が良いです。声出して笑いそうになりました。 こ、こぇえ〜 でもありうる現実リウーを待ちながら 朱戸アオむ1巻今無料期間みたいですね。 インハンドを読む前に、気になってたのでまず1巻読了。 こ、怖ぇ〜!!!! 表紙からなんとなくいちえふみたいな感じなのかなぁと思ってましたけどパンデミック系医療漫画か… バタバタ感染症で死んでいくのをどう防ぐかっていう医療漫画ですかね。 ペストとか参考に資料をみるのも躊躇われそうな題材。 でもありえないことはない現実… 母親の弁当を食べない反抗期の娘が、母親の最期に作った弁当を感染症にかかるかもしれないのに食べるシーンとかシチュエーションがリアルで悲しくなります。 全3巻なので読みやすそう。 ちょっとゾワっとなる漫画ですかね、3巻数一気に読んでみます。 季節ごとの溶接あるあると広島弁が楽しいほっこり漫画とろける鉄工所 野村宗弘名無し本当に大変な仕事だろうな…と思いつつ、溶接愛がひしひしと伝わる、本当に素敵なマンガ。 テレビドラマのような、小さな町工場ががむしゃらに頑張るストーリーではなく、鉄工所のみんなとその家族と一緒に春夏秋冬を過ごし、溶接の奥深さを知ることができる。 あとはこの作者にしか描けない、独特すぎるキャラデザも見所。 主人公北さんの上司である小島さんの頭部の造形は芸術です。 そういうキャラたちの中にいるからか、北さんが不思議とイケメンに見える。 個人的にはみんなで年一で社員旅行にいく回が好きです。鬼才✕新鋭の本格派ミステリー「四月一日のエマ」四月一日のエマ リチャード・ウー 幾田羊名無しベルリンを舞台に描く本格派ミステリー!鋭い洞察力を持つ画家のエマが事件の秘密に迫る! 【著者】リチャード・ウー 【作品】 警部補 ダイマジン クロコーチ 【著者】幾田羊 【作品】 ブダペスト・シンドローム (第31回イブニング新人賞 準大賞) http://www.moae.jp/comic/budapestsyndrome 2080ATLAS (第29回イブニング新人賞奨励賞) http://www.moae.jp/comic/2080atlas/1 いいボーイ・ミーツ・ガールバスを釣るなら 鬼頭莫宏名無し釣りのことは全然わからないから、釣りの描写を真に楽しめてはいないと思うんだけど、それ以外の自然の描写とか小学生男女のやり取りが生み出す空気感が良かったただ悲しいだけじゃない一冊よろこびのうた ウチヤマユージかしこ老夫婦が火葬場で心中した実際の事件をモチーフに描かれている。「現実に起きた事と同じ結末になっているけどそこに到るまでは作者の想像である」と、あとがきに丁寧な注釈があった。全1巻で映画1本に相当するくらいの読み応え。ジャンルにするとサスペンスだけど絵がシンプルなので恐くはない。何も知らずに読んでもマンガとして十分に面白い。この夫婦にストーリーを想像することで弔いになっていると感じた作品。もし二人が読んだら喜ぶと思う。編集部の遊び心で2/22限定でムーコが猫に⁉いとしのムーコ みずしな孝之名無しhttps://twitter.com/eveningmagazine/status/1098632829758394368品がなくて好きよんでますよ、アザゼルさん。 久保保久 シマダヒデアキ(LocalSupportDepartment)ぱにゃにゃんだーお腹の毛がなぜか視界に入らず、ゆるキャラの漫画なのかなと思い、完結するまで読むことはありませんでした。試し読みがあったので読んでみたら、キャラデザはユルいんですが、ユルさの免罪符が注ぎきれないほどの品のなさで、とても笑いました。 3巻の表紙なんか思い返せば狙いすぎで、ゆるキャラで読者を釣る作戦なんですかね。アザゼルさんらしい罠でそういうとこも好きです。 以下あらすじですが、素晴らしいですね。担当さんが考えてるんですかね。ナイスなあらすじです。 「…ひと言で言うと、「こんの野郎――!!そのスカしたツラにウンコ塗りたくってやんぜ―――!!」(第2話「エリートはお熱いのがお好き」より)――という感じの漫画です!」「老いるとはどういうことか」を示してくれたマンガヘルプマン! くさか里樹たか大学生だった2012年頃によんでますよ、アザゼルさん。を追うためにイブニングを読んでいて出会ったのがヘルプマン!22巻に収録されている「介護企業編」でした。 主人公・飛石が介護ビジネスで一儲けしよう企む過程で誰もやっていない、利用者を喜ばすケアプランを思いつくものの、プラン内容は全て国の定める介護保険法に違反することを知る。 当時、今は亡くなった祖母が施設に入っていたこともあり、飛石と同じ目線で驚きながら介護について学ぶことができました。 次の「認知症予防編」は、元宇宙飛行士の女性が父を介護することになり、認知症の衝撃的な現実を(壁に…)目の当たりにするというエピソードもすごく好きでした。 ヘルプマン!は後半のこの2編しか読んでいないので、ずれ全部読み通したいです。正義も悪役もいないストーカー浄化団 オオイシヒロト オオガヒロミチ名無しストーカーを懲らしめる集団。そこまでは誰でも想像するけど一巻読み終わると「なるほど、そういうことね」と納得する。 行き過ぎたストーカーを止めるのはヒーローではない。 無償で被害者を助けるヒーロー的なものは存在しないということ。 「被害者側」も「加害者側」もこの「ストーカー浄化団」もそれぞれエゴを持ってて最終的に全て綺麗に解決する様、見てて気持ちいいです。 かっこよくも見えてくるし、恐ろしくも見えてくる。夭逝の天才・青山景の遺作よいこの黙示録 青山景mampuku もう7年以上も前になります。32歳という若さもあり、ショッキングな事件でした。 「SWWEEET―スウィート―」「ストロボライト」「チャイナガール」を経て、イブニングで連載されていた本作。徐々に知名度を上げながら着実に階段を駆け上り、「このマン」上位進出も有望視された中での急逝……当然ながらこの「よいこの黙示録」は既刊2巻で未完となりました(厳密には、既に連載されていた分と第6話のネームおよび下絵、設定画などが第2巻としてまとめられ翌年刊行されました。) 内容に関しては、永遠に未完となってしまったことが悔やまれるほど素晴らしいもので、続きが気になる、というより結末が気になる複雑怪奇なストーリーでした。クラスを言葉巧みに操る一人の天才的少年の手によって、新任教師・湯島朝子をも巻き込んだ新興宗教「神童教」が誕生していく様子が描かれている。一人称主人公であり唯一の大人であるはずの朝子が、無意識のうちに取り込まれていくのがとても面白かったのですが、首謀者・伊勢崎少年の素性がこれから明らかになるか……といったタイミングで終了となってしまいました。 宗教という、人類社会の繁栄と密接な関係にある普遍的テーマと、小学校の教室という特殊な閉鎖環境、この奇妙な組み合わせが斬新で、緻密に練られたストーリー展開にワクワクさせられました。 2巻にはその後の展開も含めたプロットが載っていて、これがまためちゃくちゃ面白く、この内容が漫画化される日はこないという残酷な現実に絶望させられます。(プロット案によると朝子は伊勢崎によって完全に手籠めにされてしまうようです。ショタおね大好きなのでこれ是非は見たかった……!!)清流のように爽やかな2人見上げると君は 小堀真たか1巻を読み終えるのが早すぎて呆気にとられた。 なにより「小さい男の子と背の高い女の子」という使い古されたテーマで、これほど夢中になれるとは嬉しい驚きだった。 もっと、もっと2人を見せてくれ…!!! どうしてこんなにもこの作品にハマってしまったのか? それはたぶん、渋木くんと高峯さんが「自分の魅力に無自覚」だから。 渋木くんはかわいいけれど、かわいさを利用してない。 高峯さんはかっこいいけど、誰かのためにかっこよく振る舞っているわけではない。 この2人が自然体でいるところが、読んでいて清々しい理由なんだと思う。 ※なお見開きの高峯さんがイケメン過ぎるので、電車の中とかで読むときは表情筋の崩壊に注意してください岡田准一はイケメン過ぎた海賊とよばれた男 須本壮一 百田尚樹mampuku「日本国紀」が賛否を呼んでいる百田尚樹氏のベストセラー。「日本国紀」は未読なので言及は避けますが、議論の経緯や論点はこの記事がわかりやすかったです。 https://news.yahoo.co.jp/byline/yamamotoichiro/20181222-00108643/ 「永遠の0」では太平洋戦争を、そしてこの「海賊と呼ばれた男」は戦後の復興を描いています(どちらも同じ作家さんがコミカライズを担当しています。)どちらも単純に読み物として面白いです。 主人公・鐡造のモデルは出光興産の創業者・出光佐三氏。戦争で焼けた会社を立て直し、石油をめぐり英米と渡り合いながらイランとのシーレーンを切り開いた痛快な半生の物語です。鐡造は愛国的で厳格で、同時に封建的で古臭い人物として描かれています。昨今の働き方改革の世代とはまるで違う生き物のようです。どちらが優れているとかではなく、時代がそうさせたというか、結果的に豊かな日本を築いたのは彼ら戦前生まれの人々でした。 「日本国紀」といい、学校教育や大メディアをなぞるだけでは知ることのない不可視の歴史にスポットを当てるのが好きなようですね。「これが真実か……!」と鵜呑みにさえしなければ「永遠の0」もこれも面白い本だと思います。<<89101112>>